PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/640, F5.6, ISO 100, Photo by EYTZ.T

Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンからDXフォーマット用の超ワイドズームレンズが登場しました。35mm換算で15mm相当のスタートとなる超広角域を有するズームレンズとなっています。主な特徴としてはまず軽くて小さいこと。非球面レンズを3枚使用することで、コンパクトさを維持しながら高い描写性能も実現させました。さらに約3.5段分の手ブレ補正機能を搭載、ステッピングモーターも採用するなど、贅沢な仕様の1本となっています。それをこの価格で出せるところにニコンの懐の深さを感じますね。最短撮影距離はズーム全域で0.22mとかなり寄れるので、寄って迫力のある画、引いてスケール感のある画などいろいろチャレンジできそうな予感がしてきます。今回作例を担当したのは「バリっバリの東京都内のスナップ」を題材にEYTZ.T氏、「日常的な光景」を題材にRica氏。得意分野の全く違うふたりがどのような画をたたき出してくるか楽しみです。


Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/320, F8, ISO 100, Photo by EYTZ.T

TOKYO High & Low

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/250, F6.3, ISO 100, Photo by EYTZ.T

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/15, F5.6, ISO 140, Photo by EYTZ.T

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/400, F4.5, ISO 100, Photo by EYTZ.T

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/15, F5.6, ISO 3600, Photo by EYTZ.T

広角ズームが生きる東京ならではの「高さ」

超広角のワイドズームによる、大都会、すべてを写し込むストリートスナップは楽しさこの上ありませんでした。
見上げればビルの隙間からゴジラが襲いかかってきて、見下ろせば深い螺旋階段を吸い込まれるような渦を描きました。何気ないバスの車窓からのショットも、暗い高架下でシャッターを落としましたがいい具合に手ブレ補正も効き、流れるようなスピード感を演出する事が出来ました。とにかく超ワイドでの強烈なパースは中毒性がありますね。ほとんどワイド端でのショットばかりとなってしまうほどです。歪曲もよく抑えられているなと感じました。大きいというイメージが先行してしまう超広角ワイドズームですが、本レンズはとてもコンパクトで街中で振り回すにもさり気なく、なんの躊躇もなく使うことができました。広角ズームの入門編的な一本ではありますが、APS-Cの利点を生かしたいいレンズだと感じました。また、色味などの発色もニュートラルで、ニコンの記憶色とでもいうのか、とても自然な色味で好感がもてました。(EYTZ.T)


Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/400, F10, ISO 100, Photo by Rica

とりたてて美しくもない、愛すべき日々

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/400, F10, ISO 100, Photo by Rica

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/320, F9, ISO 100, Photo by Rica

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/30, F5.6, ISO 2200, Photo by Rica

Nikon D7100, AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR, 1/15, F8, ISO 250, Photo by Rica

安心してください、この画角は…

今回撮影したのはAF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR。実は広角レンズには非常に苦手意識があって、ただの一本も所有したことがありません。子育てしながら働いていると、そんなに広々とした景色を見ることなんてほとんどないんですよ…。見ているのは子どもと台所、ときどきスマートフォン。優雅な暮らしには程遠く、日々をバタバタと過ごしているので、部屋も頭のなかもなにもかも雑然としていますから、背景をぼかしまくりなんとなくいいところだけを可能な限り切り取って非日常感を演出しているわけです。ですから、広角レンズなんてもってのほか。あっちもこっちも写ってしまっては、現実がつまびらかになってしまうではありませんか。…とボヤいているわけにもいきませんので重い腰を上げて撮ってきたわけですが、ズームリングを回すと妙な既視感。こ、これは…。AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRはAPS-C用なので、35mm版換算で約15-30mm。私の持っているスマートフォンのカメラの画角を調べてみると約28mmとありました。なるほど。わりと普段から広角レンズを使っていたことになります。それに気づいてからはちょっと気持ちがラクになり、普段よく見ている場所を雨のなかガシガシ歩いて撮りました。広角レンズですから当然といえば当然なのですが、遠くにあるものはより遠くへ、近くにあるものも遠くへ写るのがなんだか面白くなってきて、気付けばずいぶんシャッターを切ってしまいました。セレクトしながら撮った画を見ていると、そこには特に美しくもなく、よく見る景色が写っていましたが、ただなんとなく眺めていた景色のなかにある、さまざまな空の色、工業地帯と空港の匂い、湿度や、子どもの息づかいがとても近くに感じられ、この何の変哲もなく、とりたてて美しくもない日常に意外なほど愛着が感じられました。広角ズームとひと口に言っても、ワイド端ではドラマチックに、テレ側へ向かっていくにつれ日常感が増し、この1本で思いのほかいろいろな撮影ができたことも驚きでした。もう雑然とした毎日も怖くありません。背景を整理しなくても、ぼかさなくても、そこに写った何かから、新しい発見ができることに気づいたからです。(Rica)


  • PHOTO YODOBASHI大都会に突如現れるゴジラを捉えました。都会の撮影では、さまざまな被写体との出会いがあります。広角ズームを使えば、その驚きとともにシャッターを切るだけでビルとゴジラが見事な共演を果たしてくれます。
  • PHOTO YODOBASHIワイド端、開放で捉えたアガパンサス(ユリ科)。本レンズは超広角にも関わらず、ググっと被写体に近づいて撮影することで背景のボケも味わえます。ボケは自然でクセがなく、合焦部分にはキリッと立体感があり、見事な表現力です。
  • PHOTO YODOBASHI離陸直後でとても近くを飛んでいるはずの飛行機ですが、ワイド端で撮るとこの通り。撮影している間はもっと近づきたくて目前の海の上に立ちたいくらいの気分になりましたが、撮影後に画像をPCで見てみると、悪天候が功を奏し、雲の様子がとても印象的。超広角ってこういうことか!と合点のいった1枚でした。周辺は流れてしまうのに、コントラストが良好でとても引き締まった写りです。
  • PHOTO YODOBASHI子どもは“最短撮影距離”なんて言葉を知りません。この日は新しい自転車を買いに行き、それが嬉しくてものすごくウキウキしていたので、レンズを向けるととにかく近づいてきます。でもこのレンズ、最短撮影距離はズーム全域で0.22m。かなり寄れるんです。レンズに鼻が当たりそうなくらい近づいたところでシャッターを切りました。スイミングスクール後の充血した白目もバッチリ写っています。

PHOTO YODOBASHI

小さく、軽く、価格もユーザーフレンドリーな超広角ズーム

PHOTO YODOBASHI“前モデル”ともいえる「AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED」が出たのが2009年ですので、およそ9年ぶりのニューモデルとなるのですが、スペックを見てビックリでした。質量は前モデルの460グラムから半分の230グラム。どこをどうやったらそうなるのか?おそらくレンズ本体の金属部分を精査し金属である必要のないところはプラスチックに置き換えたのだろうと思われます。それでいて鏡胴のデザインはニコンらしさを失うことなく、非常にかっちりとした作り。前モデルよりも絞り値が暗いと思う方もいらっしゃるでしょうが、安心してください。約3.5段分の手ブレ補正効果があるVR機構を搭載することで、この問題は解消です。スローシャッターでも手持ちで攻めていきましょう。絞り値に余裕ができた分、レンズ長は短くスリムになりました。そしていちばん驚くべきはその価格。ここまでいいところばかりで気持ちを高めておいて値段でダダ下げるベタな記事ではありません。このスペックでなんと前モデルの約半額。一瞬レンズってグラム売りだっけ?と考えたくらいです。まさに軽くて懐にも優しい純正超ワイドズームレンズがここにあるのです。魅力的なサードパーティ製レンズも増えているなか、そこに一石を投じることのできる魅力を持ったレンズではないでしょうか。

また、今回の撮影ではニコンから発売されたばかりの高性能保護フィルター「ARCREST PROTECTION FILTER」を装着して行いました。超低反射ARコートと高い光学性能を実現し、NIKKORレンズにも使われている高品質な光学ガラスに撥水・撥油コートが施されています。悪天候時に水滴などが付着した際にも、さっと拭き取るだけですぐにキレイになり、雨の多かった今回の撮影中はとても便利でした。超薄型のフレームですから、超広角ズームでもケラれることはありません。レンズ性能を損なうことなく、しっかりとレンズ前玉を保護できますから、特にニコンユーザーにはおすすめしたいフィルターです。

( 2017.07.14 )

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ニコンDXフォーマットで超広角の世界を気軽に楽しむことができる広角ズームレンズです。最新の光学設計、非球面レンズを3枚採用し、さまざまな収差を抑制しながらも高い描写性能を実現しています。

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高品質なガラスは、NIKKORレンズにも採用されている光学ガラス。レンズの描写性能を損なうことなく、大切なレンズを保護します。撥水・撥油コートで高い防汚性能が備わっており、汚れが付着しにくくメンテナンスも容易です。

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