PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

Nikon Z 30 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

ニコンから動画向けのミラーレス一眼が新登場です。その名も「Z 30」。名前だけを聞くと「Z 50」の兄弟機かな?と思ってしまいそうです。実際センサー周りやシャッターなどカメラとしての根幹部分とその性能はZ 50とほとんど同じですが、実機を手にしてみると出立ちからして別のところを目指したカメラだということがわかります。「スチルの合間の動画」ではなく、動画もスチルもしっかりこなせるカメラ、特に動画においては「Vlog」撮影を主眼に置いたコンパクトなカメラに仕上がっているようです。ニコンではおそらく初の試みかと思いますが、あのキレッキレのZクオリティで気軽に動画も撮れるとなると期待も膨らみますよね。早速外観からご覧ください。

( Photography & Text : Naz )


LOOK & FEEL

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最大の特徴の一つは「EVF非搭載」でしょう。動画撮影にも寄せたカメラとしてはこれが正解なのです。Vlogなどで歩きながら撮影する場合、安全上ファインダーを覗くわけにはいきませんし、自撮りにいたっては言わずもがなですよね。もちろんファインダー搭載が不正解というわけではありませんが、潔く非搭載とすることで405gという超軽量ボディを実現しています(バッテリー、メモリカード込み)。メリットは他にもあります。電力を使用するEVFが無いことはバッテリーライフにも寄与していると思われ、実際にZ 50よりも長くなっています(静止画で50コマ増の約330コマ)。グリップは従来のZシステムのボディと同様ホールディング性の高いデザインを採用していますが、録画ボタンはグッと撮影者側に寄せられ、動画も見据えたデザインになっています。

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実際にZ 30とZ 50を並べてみました。簡単に言ってしまえばEVFの有無が最も大きな違いですが、この角度で見るとボディサイズがここまで変わるのかと驚きました。これは想像以上です。しかも、ボディを手にした時のホールド感は同じですから、小さくなって使いにくくなったということもありません。ストラップホールはZ 50の三角環を用いるタイプから、スリットタイプへ変更されました。カチカチと音がしないのは、動画撮影には嬉しいアップデートですね。マウント基部、向かって左のボタンは、Z 50同様にFn1とFn2キー。任意の機能を割り当て可能です。

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タッチパネルを採用した液晶パネルはバリアングル式。自由に液晶の角度(向き)を調節できますから、ハイアングルやローアングルに加え、カメラ前面に向けた自撮り撮影にも最適化されています。もちろん裏返して収納すれば、バッグへしまうときなどデリケートな液晶パネルの保護にも役立ちます。

  • PHOTO YODOBASHI動画関連のアクセサリーを多数展開するSmallrigブランドの、Z 30用グリップとウィンドマフ(いわゆるモフモフ)も登場しました。リモコンには「Nikon」のロゴも入り。軽量なボディに合わせてグリップも軽量な仕上がりで、片手でも重量を感じずVlog撮影がしやすく感じました。
  • PHOTO YODOBASHI別売の外部マイク(Sennheiser MKE200)を装着してみましたが、マイクコネクターがバリアングル液晶に干渉しない配置となっています。開いた液晶モニターに隠れていますが、外部インターフェイスとしてHDMIとUSB Type-Cコネクタも本体側面に備えています。

SPEC OVERVIEW

製品名 Nikon Z 30 Nikon Z 50
発売時期 2022年8月 2019年11月
センサー 2088万画素 APS-C CMOS DXフォーマット 2088万画素 APS-C CMOS DXフォーマット
画像処理エンジン EXPEED 6 EXPEED 6
EVF なし あり
液晶モニター バリアングル式3.0型(タッチパネル) チルト式3.2型(タッチパネル)
ISO感度 常用:100~51200、拡張:204800相当 常用:100~51200、拡張:204800相当
手ぶれ補正 レンズシフト方式(VRレンズ使用時) レンズシフト方式(VRレンズ使用時)
シャッター 電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター、電子先幕シャッター、電子シャッター 電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター、電子先幕シャッター、電子シャッター
連写機能 低速連続撮影:約1~4コマ/秒、高速連続撮影:約5コマ/秒、高速連続撮影(拡張):約11コマ/秒 低速連続撮影:約1~4コマ/秒、高速連続撮影:約5コマ/秒、高速連続撮影(拡張):約11コマ/秒
測距点 ハイブリッドAF(位相差AF、コントラストAF):209点 ハイブリッドAF(位相差AF、コントラストAF):209点
顔認識 瞳AF/動物AF:静止画、動画 瞳AF/動物AF:静止画
(動画は顔認識のみ)
動画機能 4K UHD(3840×2160)~30p
フルHD(1920×1080)~120p
フルHDスロー(1920×1080):30p(4倍)、25p (4倍)、24p(5倍)
4K UHD(3840×2160)~30p
フルHD(1920×1080)~120p
フルHDスロー(1920×1080):30p(4倍)、25p (4倍)、24p(5倍)
その他 Wi-Fi機能内蔵、Bluetooth4.2、USB充電(Type-C)対応 Wi-Fi機能内蔵、Bluetooth4.2、USB充電(Micro-B)対応
幅 × 高さ × 奥行き 約128×73.5×59.5mm 約126.5×93.5×60mm
本体重量 約405g 約450g

DXフォーマット(APS-Cサイズ)の20MPセンサーに映像エンジン「EXPEED 6」を組み合わせ、十分な処理能力を持ちながら画質には一切の妥協がありません。スマートフォンでも高画質なスチル/ムービーが撮影できる昨今ではありますが、本機ではその上を行くクオリティを手軽に得ることができます。特に常用ISO感度は51200(動画時は25600)を誇る高感度性能は、センサーが大きなミラーレスカメラの優位点ではないでしょうか。

スペック表の通り、Nikon Z 30の性能は、比較したZ 50とほぼ同一となります。相違点としては、背面液晶がバリアングル化され、EVFが省略となり、給電可能なUSBコネクターがType C化されました。また動画撮影時のAFについても動物認識等強化されています。重量については10%軽量化され、外形寸法は写真をご覧いただいたとおり、数値以上に小さくなった印象です。


PHOTO GALLERY

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

ボディ単体で405g、Z DX 16-50mmと合わせても540gとAPS-Cサイズのミラーレスカメラとしても軽量です。EVFがないことで、コンパクトデジタルカメラを使っているかのような軽快感となり、スチル撮影においても勢いよく被写体へ挑むことができます。

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

「Z 50」や「Z fc」と同一のセンサーに「Z 7」と同じ映像エンジンを組み合わせ、Zシリーズらしいキレのある画を描き出してくれます。スチール製の椅子の形状や塗装の剥げや錆びなど、緻密かつ克明に再現してくれています。

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

キットレンズは開放からキレがあり、絞る必要性を感じないものの、開放F値が暗めなのもまた確か。薄暗い条件ではISOオートにしていると感度が跳ね上がります。ただ露出不足にさえならなければ、ISO 1600〜3200でも十分常用できる印象でした。

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

動画撮影用に人物や動物を検出可能にし自動追尾するAFを搭載。この追尾AFはスチル撮影時にもとても有効で、ピントを合わせたい被写体をタッチパネルでタップすれば、カメラを動かしたり、ズーミングをしても被写体を自動追尾しフォーカスを合わせ続けてくれます。

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

明暗差の大きな条件ですが、雲のグラデーションから暗部となった看板の裏側まで余すことなく描き出してくれました。

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz


Nikon Z 30にキットレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」をマウントして撮影しました。足場の悪い山道ということもあり、歩いている時はVRの限界を超えてしまい映像が上下していますが、立ち止まって撮影した映像では手ブレがなく安定しています。歩きながら滑らかな映像を撮影したい場合は、ジンバル使用がよいようです。

ボディに風切り音を低減するウィンドマフを装着しない状態で動画を撮影しました。「ボー」と聞こえる音が風の音ですが、小さなウィンドウマフでもその効果は絶大です。


Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz

Nikon Z 30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Naz


PHOTO YODOBASHI

スチルにも、ムービーにも。
割り切って欲張った本格派ボディ。

いかがでしょうか。スチルだけでなくムービーにも最適化されたキャラクターとなっていますが、作例をご覧いただいてもその素性のよさが理解いただけたのではないでしょうか。キレのあるZのレンズと有効画素数2088万画素の高精細なセンサー、そして上位機種と同じ映像エンジンが組み合わさり、クラス以上の画で魅せてくれました。動画撮影では4K 60P、フルHDでは120pにも対応し、最長125分までの連続撮影が行えるとのこと。

実用性が高いボディは、EVFを廃することでZ 50と比べても手頃なプライスとなっていますが、このカメラの位置づけをみれば、これはコストダウンが目的ではなく、Z 50よりもより動画撮影に振った結果として生まれたデザインなのだと理解できます。ボディが小さく、軽いということは本格的な動画撮影を行う時にも、より小さなジンバルにカメラを載せることが可能となり、Vlog撮影のような少人数での撮影でも機動性を犠牲にすることなく上質な映像が手に入るということでもあります。そしてスチル撮影においては背面液晶のみというスタイルは少々物足りなさを感じるかもしれません。ただこれも、コンパクトデジカメやスマートフォンでの撮影と同じと割り切ってしまえば、さほど不便さは感じません。むしろサブのボディとしてみれば、メインボディと異なるキャラクターがそれぞれの存在価値を高めてくれるでしょう。もちろん、スチル撮影をメインとしてきた方にも、このボディで動画撮影をぜひお楽しみください。

( 2022.08.18 )

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この性能で...と、お値段みるとびっくりですね。動画にもスチルにも、小さいながらも頼れる1台です。

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「専用」と言ってしまっていいでしょう。Z 30と相性抜群のグリップです。足を開けばもちろんミニ三脚としてもお使いいただけます。

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沈胴式のコンパクトなキットレンズがついたお得なセット。このレンズ、1本持っていると想像以上に使えると思います。自動りするにも使いやすい、フルサイズ換算24mmスタートです。

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標準ズームに加えて望遠ズームもセットになった欲張りキット。フルサイズ換算で24〜375mmまで広くカバーしてくれます。

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バッテリーはわりと小さめ、予備があると安心です。

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動画撮影も楽しみたい方は、より高速でより大容量なSDカードを。持っておくと安心です。

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Z 30専用のウィンドマフ。スペアがあると紛失しても安心ですね。

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より本格的なVlog撮影に。風防と衝撃吸収の機能を搭載した指向性のあるオンカメラマイクです。

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