PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
ハッセルブラッド
撮影対象を選ばない中判システムの構築
1957年のハッセルブラッド 500C発売以来、中判システムのリーダ的存在としてプロユースの中判機材を牽引してきたハッセルブラッド。信頼性の高さはもちろん、豊富なシステムによってどんな条件でも撮影が可能なシステムです。1969年アポロ11号で月面写真を撮った機材がハッセルブラッド 500ELというのはあまりにも有名なお話。特にシステムの中心であるレンズラインアップはとても充実しており、Vシステムで使用可能なものは、30mm~1000mmまで(同じ焦点距離でレンズ構成が違うものも含め)約80本、長い歴史があるとはいえここまでの数を製品として世に出してきたことに脱帽です。
ハッセルブラッドはミラーレス用中判デジタル、Xシステムの新しいレンズラインアップを提供し始めています。2017年にX1D-50cが発売された際には4本だった交換レンズが、2020年には10本+テレコンバーターとかなりハイペースで新しいレンズを製品化しています。ここでは2020年に発売されたばかりのレンズ2本をご紹介します。
Hasselblad XCD 3.5-4.5/35-75
XCDマウント初のズームレンズ
XCD 3.5-4.5/35-75は、35mmフルサイズ換算で28mm-58mmのXマウント初めてのズームレンズ。広角の風景からポートレートまで、一本でほとんどのシーンを撮ることができる焦点距離。最大撮影倍率はテレ側で1:6.5倍、そのときの撮影距離は60cm。テーブルにある料理を撮影するために立ち上がる必要のない距離です。コンパクトな中判デジタルX1D II 50cにレンズ一本で旅をしたい、それに答えてくれるニューフェイスです。
ポイント
広角から準標準域をカバーするXマウントで初めてのズームレンズがラインアップに加わりました
まとめると
重量1115g(レンズシェードを除く)、コンパクトなX1D II 50cにつけると総重量が1881g。この組み合わせだけでほとんどの撮影が可能と考えると軽いレンズといえるのではないでしょうか。少々望遠側が不足すると感じても5000万画素もあれば思い切ってトリミングをするという手も使えます。機材は軽いほうがいい、少ないほうがいいと旅慣れた人は考えます。旅先の出会いは一度と考えると、機材のクオリティーは落としたくない。確かにこのセットは高額になるのは事実ですが、パッケージ全体のコンパクトさと他では得られない画を買ったと思えば安いのかもしれません。
Hasselblad XCD 4/45P
コンパクトかつ軽量の標準レンズ
45mmは35mmフルサイズ換算で36mm相当。スナップで使いやすく人気のある焦点距離です。Xシステム用には同じ焦点距離で開放値が違うXCD F3.5/45mmが発売されていますが、そのレンズをさらに小さく軽く、最短撮影距離を35cmと短くし、携帯性と使いやすさを向上させています。
ポイント
中判デジタル用オートフォーカスレンズとして最軽量の320g
まとめると
待望のレンズのリリースといえるのではないでしょうか。コンパクトなX1D II 50cに薄いレンズ(XCD F3.5/45mm)は、いわゆるカメラバッグではなく、日常使っている鞄に収納できます。たとえばスナップではカメラの存在をできるだけ消すことに注意を払いたいもの。このレンズの登場で、上手く街に溶け込んだ撮影が可能になりそうです。