Leitz Phone 3
- Leitz Looks
- 可変絞りの採用
- 1.0型センサー/約4720万画素
- 8K
ライカが本体デザインとカメラシステムを監修した、撮ることにこだわったスマートフォン「Leitz Phone 3」を紹介します。メインカメラはF1.9のズミクロンレンズ(フルサイズ換算で19mm相当)、センサーは有効画素数約4720万画素の1.0型を搭載。Leitz Phoneの一番の特徴は、ライカらしい写りを楽しむことができるレンズシミュレーションソフト「Leitz Looks」。このライカ独自のソフトウエアは代が変わるごとに進化し、3代目には新たに「可変絞り」が搭載されました。絞りの効果をシミュレーションできる機能が加わることで、ライカらしい撮影感覚をより味わえそうです。進化した「Leitz Looks」を中心に撮影をしてきました。
アウトカメラ |
(19mm相当)4720万画素 / F1.9
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インカメラ |
(27mm相当)1260万画素 / F2.3
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ディスプレイ |
6.6インチ(2730×1260) / Pro IGZO OLED
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- アルミフレームのボディはブラックに。側面のロートレック加工に加えバックパネルにダイヤモンドパターンが施され、ホールド性が向上しました。
- 付属のシリコン製のケースを装着した状態。
- マグネットで着脱できる付属のレンズキャップもブラックになり黒で統一されたデザインに。
Photo Gallery
Leitz Looks
「Leitz Looks」はライカレンズの持つ特徴をソフトウエアで再現するレンズシミュレーションソフト。ライカ独自の描写に近づけるため、レンズの癖まで考慮して開発されており、M型ライカで撮ったかのような写真がスマートフォンで楽しめる機能です。ライカの代表的な3本のレンズ「Summilux 28mm」「Summilux 35mm」「Noctilux 50mm」が用意されており、ディスプレイで確認しながらそれぞれの写りを味わうことができます。その機能に新たに「可変絞り」が搭載されました。F1.2、F1.4からF8までのレンズ絞りをシミュレーションすることで、実際に絞りを変えたような効果が得られます。スマートフォンで絞りの役割まで意識させるとは、さすがライカということでしょうか。では絞りを変えることで画がどのように変わるのか、比較をご覧ください。
Noctilux 50mm
絞り値F1.2で撮影。ピントピークの周りに収差がかなり残っている(残している)のがわかります。Noctilux 50mmは開放値(F0.95、F1、F1.2)によって描写が異なりますが、若干ソフトフォーカスがかかったような雰囲気は、ノクチルックス第2世代のイメージでしょうか。
Noctilux 50mm
F5.6で撮影。収差もなくなりキリッとした描写になりました。どちらが好みかは別として、絞り設定を変えると描写がガラッと変わることがわかります。
Summilux 35mm
絞りをF5.6に設定し被写界深度を深くすることで奥までピントを合わすことができます。手前のカーテンの柄も緻密に描写されています。
Summilux 35mm
F1.4で撮影。ボケ量も十分にあり、ピントピークは繊細で美しい描写です。これぞズミルックスという写りではないでしょうか。
Summilux 28mm
絞り値F1.4で撮影。開放での描写は髪飾りのハイライトに若干ハロが感じられる柔らかいイメージです。まるでレンズレビューのようなコメントを書いてしまいましたが、あくまでレンズの特徴をシミュレーションした描写です。
Summilux 28mm
F5.6まで絞ると被写界深度が深くなるだけでなく、収差がほぼなくなりピントが合っている面は驚くほどシャープな描写に。
Leitz Looks+フィルター
Summilux 35mm
「Leitz Looks」撮影時には併せて「Monochrome」、「Cinema Classic」、「Cinema Contemporary」、「Vivid」、「Enhanced」の5種類のフィルターをかけることができます。こちらは新しく追加された「Vivid」。より鮮やかでダイナミックな写真が撮れます。
Summilux 28mm
絞りをF8に。新しく追加されたフィルター効果「Enhanced」はコントラストを高めて影が締まった印象に。フィルター効果と併せて、画面全体をシャープな印象にするためにF8をセレクトしパンフォーカスに。イメージ通りに仕上がりました。
Summilux 35mm
絞り値F1.4で撮影。若干彩度を抑えたい時は「Cinema Contemporary」をセレクト。落ち着いた色味で撮影できます。
ライカ・パースペクティブ・コントロール
「Leitz Phone 3」にスマートフォンとして初めて搭載された「ライカ・パースペクティブ・コントロール」は、主に建築写真におけるパースの歪みを補正するための機能。シャッターを押した瞬間にジャイロスコープがカメラの角度を測定すると、画像補正が計算され、補正された写真が撮影できるとのこと。ディスプレイに白いガイドが表示されるので、写っている範囲やパースの補正具合を確認しながら撮影できます。
※撮影時のディスプレイ表示はレビュー後半のUser Interfaceで紹介します。
マニュアル撮影モード
「マニュアル撮影モード」では焦点距離、ホワイトバランス、シャッタースピード、ISOなどが細かく設定でき、撮影者の意図通りの写真に仕上げることができます。ディスプレイで確認しながら、白い画面に花が浮いてくるように露出を決めました。
ハイレゾモード
標準設定で記録される画素数は4つのピクセルを1つにまとめて使うクアッドピクセルのため1180万画素。それ以上の画素数が必要な場合は「ハイレゾモード」を選択すると約4720万画素で撮影できます。「マニュアル撮影モード」と同じように撮影時の設定を細かく変えることが可能です。
8K動画
光の状態を判別する14chスペクトルセンサーにより色を正確に表現するとのこと。精密な8K動画で色を追ってみました。(1分15秒)
Top Feature
Summilux 28mm
F1.4で撮影。Leitz Looks+モノクロフィルターには驚きました。何も言われなければM型ライカで撮ったかのように見えます。M型使いの方はお分かりかと思いますが、M型のファインダーで正確にピントを合わせられる最短撮影距離は70cmのため、本来猫がここまで寄ってくる写真は撮れないです。ライカのレンズ描写にこだわる方は、Mレンズで厳しい条件時には、「Leitz Phone 3」で撮影するのも手ですね。
User Interface
「Leitz Looks」撮影時のディスプレイです。ディスプレイで絞り(画面下、赤丸5.6)をタッチするとF1.2からF8の絞り値がセレクトできます。絞りによる効果は、すぐにディスプレイで確認することができます。
「Leitz Looks」の操作画面は、レンズ名が変わるだけで基本同じです。Summilux 35mmは開放値がF1.4までなのでF1.2が表示されていません。こういう細かな点まで配慮されているところが嬉しいですね。
画面右上の丸が二つ重なったマークをセレクトすると5種類のフィルター+NONEが表示されます。好きなフィルターを選ぶとディスプレイでその効果がすぐに確認できます。絞りはF8、フィルターは「Enhanced」をセレクト。
「マニュアル写真」を選び画面右下の台形マークをセレクトすると「パースペクティブ・コントロールモード」になります。パースが補正されている様子が白いガイドラインで表されるので、仕上がりを確認しながら撮影できます。補正はJPEGのみで処理され、RAWデーターは補正されることなくそのまま保存されます。
「マニュアル写真」の撮影画面です。ホワイトバランス、ISO、を決めシャッタースピードを変えることで露出をオーバーに持っていきました。
画面の「その他」から「ハイレゾモード」を選択できます。インターフェースはマニュアル撮影とほぼ同じです。画面上の白い枠は写る範囲を示しています。まるでM型ライカのブライトフレームのようですね。「Leitz Looks」にも搭載してほしいギミックです。
「その他」から様々なモードにアクセスできます。
唯一無二のエフェクト「Leitz Looks」が絞りを持った
「Leitz Looks」(カメラ)を選び、使いたいレンズをセレクト、フィルター(フィルム)を決め、そして絞り値を設定し撮影する。「Leitz Looks」に可変絞りが搭載されたことで、「Leitz Phone 3」での撮影の流れに、ライカで撮っているかようなリズムが生まれたように感じます。もちろん描写に与える絞りの影響も顕著で、作例を見ていただいた通り被写界深度、ボケの量に加え画質の変化も感じられるものでした。レンズの特徴だけでなく、絞りの効果をもレンズごとに付け加えていくことは、個性的なレンズを数多く持つライカにとって簡単な作業ではなかったのではと思います。「スマートフォンで少しでも実際の描写に近づけたい」「ライカを使う感覚を味わってほしい」という思いが伝わってくる進化ではないでしょうか。実際全てのライカレンズを使うことは一生涯できないかもしれません。ただ「Leitz Looks」であれば、そんな夢が叶うかもしれません。