PHOTO YODOBASHI

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半径1時間の撮影場所さがし
Vol.1 森

「撮影に行く」となると、期待を込めてしまうだけにどうしても大がかりなものを思い描いてしまいます。でも実際にはそんな撮影にそうそう出られるもんじゃありません。時間は有限ですし、遠くへ行くには出費もかさみます。筆者も「機材を買ったら撮影に出るお金が〜」なんて経験がよくあります。一方で、新しい機材を手にした時のように「とにかく撮影へ出たい、写真を撮りたい」と思いが募るのもまた確か。だからこそ、身近なところにパッと撮影へ出られる場所をいくつか確保しておくと、何かと役に立つものです。金曜の晩に夜更かしをして目が覚めたらお昼!なんて時でもさっと出掛けられる、半径1時間ぐらいで行ける撮影場所を探していくコラム記事です。

( Photography & Text: Naz )


“森”って何だろう?

今回の題材は「森」。都会暮らしをする方にとっては対極ともいえるレア環境です。例えば東京なら、奥多摩の山間部まで行けば深い森が沢山あるものの、おおよそ気軽ではありません。「大自然の中でスケールの大きな風景写真を」とはいかないまでも、森や自然を感じられる場所。このあたりを狙ってみたいと思います。

撮りたい「森」のイメージは、森という題材を活かした写真。もう少しわかりやすくいうと、樹木を活かしたスナップや樹木そのもののポートレートといったところでしょうか。でもその前に「“森”って何だろう?」とイメージしている森の定義を考えてみました。

  1. 雑木林より木々が深い
  2. 人工物がない
  3. 植生が豊かかつランダムである

こんなところでしょうか。筆者の勝手なイメージですが、写真の題材としてみればそんなに外れていないでしょう。

今回行ってみたのは埼玉県さいたま市の秋ヶ瀬公園にあるピクニックの森。この場所もこれらの条件に当てはまっているように感じます。初めて訪れたのはずいぶん前のことですが、きっかけは荒川河川敷をサイクリングする際の折り返し点にしたのがこの公園。とても広大な敷地で「これは撮影にも使えそうだ」と改めてカメラを持って探索してみたのです。以来、何度も撮影に行っていますが、自然が相手だけに季節や天候によって見える光景や表情も異なり、非日常が撮影意欲をかき立ててくれます。

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森を周回するメインの通路があり、そこから見える森の中。ここが「森の入口」といったところでしょうか。中には池が点在し、単に樹木が広がるだけではなく、撮れる光景に変化を与えてくれます。


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実はモノクロと相性がいい

モノクロでも撮ってみました。色の少ない冬、暗めに撮影したこともありますが、カラーよりも森の深さや静けさ、重厚さが強調されるように感じます。また色に視点を左右されないため、様々なものが写り込む中で画面を整理・構成しやすく、主要な被写体を浮かび上がらせやすく感じます。カラーで撮ったものを後からモノクロ化するのではなく、カメラを構えるときからモノクロを意識し、光と影を見ながら被写体を探してみるといいでしょう。

PHOTO YODOBASHI背景の空との輝度差が大きく、木々がシルエットのように。森を図案化したようなイメージで撮りました。

PHOTO YODOBASHI池へと倒れかかった大きな木。これから少しずつ朽ちていくのでしょうか。この公園は他の公園と異なり、手入れしすぎていない気がします。それが自然への距離を近く感じさせてくれるところかもしれません。

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こちらは鏡のように反射する池の水面。静寂を感じます。トーンだけで見せるモノクロームならではの世界です。


PHOTO YODOBASHI再びカラーへ。足下にも目を向けてみました。こういった小さな植物たちも見逃せません。

PHOTO YODOBASHI倒れた木は少しずつ分解され、土へと還っていきます。こういったものも「自然」を連想させてくれますね。

PHOTO YODOBASHI外周の通路。所々に1枚目の写真のような森の中へ入っていく小道があります。

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秋ヶ瀬公園 (埼玉県さいたま市)

荒川河川敷に広がる広大な公園で、グラウンドやバーベキュー場なども整備されています。今回紹介しました森は「ピクニックの森」と呼ばれるエリア。公園北部にあります。広さは散策だけなら20分もあれば1周できる程度。このエリアは公園の中でも人が少なく、散策や野鳥観察をしている方と時々すれ違う程度。実際に行ってみると無音のような静けさはなく、国道を通る車の音が聞こえてきますし、樹木の後方には荒川に掛かる羽根倉橋も見えてきます。しかし、そういった人工物をうまく避けて撮ってみると、自然の中で撮られたような写真になります。スニーカーでも大丈夫ですが、雨後はぬかるんでいるのでご注意ください。また夏期は虫除けスプレーもお忘れなく。人気の少ない場所であるため、女性の方は複数人で行動するとより安心でしょう。


実は作例にも

フォトヨドバシの膨大な作例の中には、実は秋ヶ瀬公園で撮影された作例がいくつも。ここでは2枚ご紹介したいと思います。
アポ・ズミクロン35mmの撮影では、とにかく高い解像力が売りのレンズでしたから、細かく写り込んだものを開放でどこまで写し込めるのかと、M10 Monochromにマウントしてこの森へ行きました。50mmレンズに比べると少し引いた距離感で、森を広く捉えるのにちょうどいい画角でした。

( 2022.04.15 )

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今回使用しました大口径標準ズームレンズ。このレンズがカバーする画角で、森の撮影はほとんどこなせてしまいます。F2.8でボケも活かせ、しかも写りは一級品です。

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より埼玉県を楽しみたい方に!

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