PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
7artisans 50mm F1.1 vol.1 vol.2
九十九里浜、夜明け
with LEICA M10
夜明けを目指して国道をひた走ります。若い頃はバイク、いつからかそれがクルマへ。何度、この時間帯にこの道を走らせてきたのでしょう。
太平洋岸の九十九里浜は、海から昇る朝日が眺められます。まだ暗い東の空がわずかに色を帯び始めた頃、海岸の駐車場へクルマを停めました。日の出まであと40分くらい。カメラを抱え浜へ向かいます。夏真っ盛りの7月下旬でしたが、湿度を帯びた海風は肌に少し冷たさを感じさせます。
暗闇に目が慣れてくると、浜辺には数人の先客がいることに気がつきました。時間とともに少しずつ増えてくる人々。普段なら早朝の海岸にいるのはサーファーか釣り人といったところですが、この季節は異なります。カップルに同性グループ、そしてひとり静かに佇む人。夜通しのドライブ、行く先がこの場所という人もいるのでしょう。この日は朝霧も出ました。写真を撮りにきた私にとっては予想外の嬉しいプレゼントです。
遠景を撮るならば解像力の高いレンズを選ぶのが普通でしょう。広い海を撮るなら、画角も広い方がいいですね。でも、まだ暗い夜明けの海には大口径標準レンズがよく似合います。オールドスクールなスタイルで、あえて感度を上げず、息を潜め静かにシャッターを落とす。薄いピントに大きな周辺減光、写し撮れる対象が限られる時こそ、フレームをシンプルにまとめてくれる大口径のレンズが活きる時です。普段なら控えめなコントラストも乏しい光の中では柔らかなトーンを描いてくれます。
( Photography & Text : Naz )
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お買い得大口径標準レンズ特集
( 2022.08.31 )
柔らかくウェットな描写は昨今の高性能レンズにはない描写です。その世界をどうぞお楽しみください。
よりクラシカルな意匠のシルバー鏡胴。フィルムライカとも合わせてください。