PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
LEICA SL2-S Launch Event Report
今年後半になってM10-R、Q2 Monochromと立て続けに魅力的な機材を発表してきたライカが、12月11日16時より、「ライカ オンラインプレス発表会」を開催しました。発表されたライカSL2-Sはそのネーミングから分かるようにライカSL2をベースにした新たな高速撮影カメラ。外見はシンプルでソリッドなデザインのSL2と全く同じで、評判のよかった操作性や高品位なボディ素材による質感の良さもそのまま受け継がれています。大きな変化は、センサーが新開発の2400万画素の35mmフルサイズ裏面照射型(BSI)CMOSに変わったことです。それによるスペックの変化を箇条書きでまとめると下記のとおりです(詳しいスペックは後半に記載しています)。
- 画素数が4730万画素から2460万画素(有効画素数は2400万画素)へ
- 最高ISO感度50000から100000へ
- 画素ピッチが 4.3μmから5.94μmへ
- 超高速撮影が20コマ/秒から25コマ/秒へ(電子シャッター使用時)
- 連続撮影枚数がDNGで78枚から999枚へ
では発表会の様子をお届けいたします。
( Text : A.Inden )
オープニングで外観のライカの文字が艶消しの黒に塗られたSL2-Sの画像でスタート後、プライベートオフイスからアンドレアス・カウフマン氏の挨拶。「みなさんの創造性を引き出すツールを提供することに使命を感じているライカから、新しい撮影ツールが出ました」とSL2-Sの紹介が。
次にステファン・ダニエル氏によるSL2-Sのプレゼンテーション。「写真撮影・動画撮影ともに最高のカメラ」。写真と動画のメニューが独立しているため、撮影中に2つのモードを使っても誤操作がないとのこと。
コンパクトで堅牢なボディで写真撮影・動画撮影どちらのスタイルにも対応と、2400万画素によってもたらされた静止画、動画どちらも最高の映像が得られるバランスの良さを強調。
2400万画素の35mmフルサイズ裏面照射型はダイナミックレンジが広く、複雑な光の中でも全ての質感を表現することができます。
高感度に強くなりISO 64000でも低ノイズで撮影することができます。さらに5軸ボディ内手ブレ補正により暗い場所でも三脚なしで撮影が可能に。
金属を多用しドイツで製造されたボディは、IP54相当の防塵防滴構造を備えています。
SLのシステムは8本のプライムレンズ、Mレンズ、Rレンズのアダプターも備え、幅広い撮影に対応してきています。
ドイツ本社のステファン・ダニエル氏とをライブで結び、質疑応答が始まりました。製品名の「SL2-S」の“S”はスピード、センシティブなどの言葉をイメージしているとのこと。黒に塗られた(無塗装ではなく黒いインクを流し込んでいるそうです)「LEICA」ロゴはステルス性を狙ったもの、SL2との棲み分けという興味深い話から、画素とダイナミックレンジの関係、2400万画素の位置づけ、ライカMマウントレンズとの相性など技術的な話まで多くの質問がありました。そして最後に発売日:2020年12月17日(木)、価格:600,000円(税別)と発表がありました。
最後に写真家 南雲暁彦氏によるトークショーがあり、動画、静止画の作例を見ながら実際に使った印象をわかりやすく解説。南雲氏によれば「カメラを持ってる存在を忘れてしまうぐらい写真を撮ることに集中できる」「夜の撮影時にその良さが一番現れる」「2400万画素の動画との相性のよさ」など撮り手にしかわからない撮影感覚を語っていました。発表会で紹介された作例は明日(2020年12月12日)からライカプロフェショナルストア東京、ライカ大丸心斎橋店で展示されるとのこと。
動画と静止画の絶妙なバランスの新しい撮影ツール「SL2-S」
2400万画素のライカSL2-S。あえて画素数を抑えることで静止画と動画のバランスをとり、両方のモードを多用する撮影スタイルに柔軟に対応できる強力な撮影ツールに仕上がっています。発表会の作例を見る限りそのクオリティーは驚くほど仕上がっている印象を受けました。そして、一番大きな点は、価格がSL2の約90万円から66万円(税込・ヨドバシカメラ価格)に大きく抑えられたところです。丁寧に作り込まれたSL2のボディと最高レベルの見えとなるEVFがこの価格で手に入る、フルサイズライカデビューを考えている方には、大きく敷居が下がったのではないでしょうか。ただ実機をまだ手にしていない段階でのお勧めはPYらしくないですね。新しくなったライカSL2-S、後日の実写レビューでじっくりとお伝えしたいと思います。お楽しみに!
最後にライカカメラ社提供の動画をご覧ください。
LEICA SL2-S | ||
---|---|---|
センサー | タイプ・サイズ | 裏面照射型フルサイズCMOS |
有効画素数 | 2400万画素(6000×4000px) | |
画素ピッチ | 5.94µm | |
ローパスフィルター | なし | |
映像エンジン | Leica Maestro III | |
バッファーメモリー | 4GB | |
ISO感度 | マニュアル時 | ISO 50〜100000 |
オート時 | ISO 100〜100000 | |
シャッター | メカニカルシャッター | 1/8000秒〜30分(X接点1/250秒) |
電子シャッター | 1/16000秒〜30秒 | |
連写速度 | メカニカルシャッター | AF・AE連動:最高5コマ/秒 シングルAF・AE固定9コマ/秒 |
電子シャッター | シングルAF、AE固定:最高25コマ/秒 | |
手ブレ補正 | センサーシフト式(5軸・最大5.5段相当) | |
マルチショット | 9600万画素相当(8枚合成) | |
静止画形式 | RAW(DNG)/JPEG | |
動画形式 | MOV/MP4 | |
動画機能 | 35mm/APS-C | C4K(4096×2160)59.94/50/29.97/25/24p 4K(3840×2160)59.94/50/29.97/25/23.98p Full HD(1920×1080)180/150/120/100/59.94/50/29.97/25/23.98p |
EVF | 0.78インチ、576万ドット、視野率100%、0.005秒ディレイ | |
背面ディスプレイ | 3.2インチLCD、210万ドット、タッチパネル | |
メディアスロット | SDカード×2、UHS-II対応 | |
外部インターフェイス | USB | 3.1 Gen1、Type-C |
USB充電 | 対応 | |
USBテザリング | Lightroom ClassicまたはCapture One 21で対応 | |
HDMI | ○ | |
音声入力 | 3.5mm ステレオミニ | |
音声出力 | 3.5mm モノラルミニ | |
バッテリー | BP-SCL4 | |
無線機能 | Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n |
Bluetooth | 4.2 (BLE) | |
GPS | Leica FOTOSと連携して取得 | |
動作範囲 | -10〜40度 | |
防塵防滴 | IP54相当 | |
サイズ | W146×H107×D83mm | |
重量 | 850g(バッテリー含む 931g) |
( 2020.12.11 )
よりお求めやすくなったライカのフルサイズミラーレス。ハイエンド機に肩を並べるスペックと、ライカらしい扱いやすさが身の上です。
SL2やQ2と共通のバッテリー。EVFはバッテリーを消費しますので、予備を持っておくととても安心です。
4億画素にまで対応するという超高解像レンズ。ライカの光学技術の粋を集めたSLレンズの写りをどうぞご堪能ください。
SL系ボディは大口径レンズをはじめとしたMマウントレンズとの相性も抜群。純正マウントアダプターはMマウントレンズの6bitコードを読み取ることができます。