PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM X-Pro2 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2
北緯50度、東経6度。緯度的には樺太あたりに位置するドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州、ケルン。ライン川沿岸地方北部を意味する「ノルトライン」という柔らかな響きが、遠くまで来た感慨をなお一層深めてくれる。こんなところにも人々が暮らしている。当たり前のことだが、何度旅に出てもそう思う。薄手のコートやダウンジャケットを羽織った姿も見かける9月のケルンは秋。気温も最高18度、最低9度と東京の1ヶ月先をいったような気候が時差ボケの体にはありがたく、寝不足でもカメラ片手に街を彷徨ってみたくなる。
ケルン大聖堂。誰に案内されずとも必ず目に入ってくる世界最大級のゴシック建築である。他の欧州の都市と同じように、教会の周りに広場がありそこを中心に街が作られている。誰もが思い思いに過ごすことのできる聖なる場所だが、2015年の大晦日に起こった忌まわしい集団暴行事件もまだ記憶に新しい。長い歴史の中で何もなかった場所などあるのだろうか。背景の異なる人々が分かり合える日は来ないものか。平和な光景を眺めながらも様々な思いが交錯する。
そして思う。全てをあまねく照らすこの光はずっと変わらないのだと。今はただこの光をありがたく迎えよう。
人は遠くへ行くほど、独りになるほど、そしてマイノリティーになるほど、感受性のアンテナが伸びる。言葉は解らなくとも、いや解らないからこそ、被写体の表情、振る舞い、その余韻にさえ共感する。光に身を委ねつつ被写体の心やコンテクストにフォーカスする時こそが「シャッターチャンス」であり、写真を撮る喜びを感じる瞬間なのだろう。
X-Pro2はそんな瞬間にダイレクトに反応してくれる稀代のカメラだ。ファインダーを素通しの光学ファインダーに切り替えれば、表示タイムラグやブラックアウトに阻まれることなく撮影に没頭できる。超高速レスポンスのシャッターメカニズムがレリーズしたその瞬間に反応する。映像を熟知したフジフイルム仕立ての「フィルムシミュレーション」が新世代2400万画素センサーのアウトプットを印象そのままの絵に昇華させてくれる。組み合わせるレンズは高性能でコンパクトなXF35mmF2 R WRあたりが丁度良い。
次はどこへ行こうか。いや、このカメラがある限りそんな問いは必要ないだろう。どこへ行こうが、何を写そうが、変わらぬ本質というものがある。その本質に最短で到達できるカメラ、それがX-Pro2なのだ。
( Photography & Text : TAK )
( 2016.11.10 )
文中でお伝えできなかったのがブラックペイントの質感。指に吸い付くような感覚で、相当手が込んでます。ぜひ触ってみてください。色んな意味で他に比較対象の見つからないカメラですよね。
潰しのきく画角、明るさ、サイズのバランス。X-Pro2同様の防塵防滴耐低温設計。AFも高速かつ正確で描写力も抜群。スナップシューターの条件を全て満たしています。
XF35mmF2 R WR用の金属フード。前玉の保護になるのはもちろん、見栄えも一段とアップします。