PHOTO YODOBASHI

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FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/550, F1.2, ISO200, Photo by T.Takahashi

FUJIFILM XF56mmF1.2 R

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富士フイルムのXマウントレンズのラインナップにおいて、最も明るい開放値F1.2を誇る XF56mmF1.2 R。焦点距離は56mm、フルサイズ換算で 85mm 相当の画角となり、ポートレート撮影がお好きな方にはストレート・ド真ん中なレンズと言えます。もちろんスナップや風景等で 85mm 相当の画角や、明るさ・ボケを活かした撮影を楽しみたい方にも使い出のある一本です。これまでXシリーズ用にリリースされてきたフジノンをご存知の方なら、このレンズのポテンシャルの高さは容易に想像できるのではないでしょうか。F1.2 のボケ具合とはどんなものなのでしょうか?絞りを開けたカットを多めにご用意しました。じっくりとご覧下さい。

( Photography : A.Inden & T.Takahashi / Text : 4 Beats )

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/3000, F1.2, ISO200, Photo by T.Takahashi

橋の路面や欄干が緩やかにジワッとボケてゆく様子、向こう岸の建物の柔らかなボケ具合、そして犬たちとお散歩をするオジサマの立体感。どこを見ても見事ですね。人物の全身が入るような少し引いた距離からでも、F1.2という開放値のおかげで十分にボケを楽しめそうです。

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/4000, F1.2, ISO200, Photo by A.Inden

さらに近距離でネコのポートレイト?を。毛の一本一本がしっかりと分離していて、解像力の高さが窺えます。また、手前に入れたボケのグラデーションがとてもなだらかで、背景との混ざり具合も大変良好です。望遠レンズのような「切り取る」感覚を味わえる画角ながらも、圧縮感と併せて立体感のある描写を楽しめる焦点距離は、一本あるだけで表現の幅が大きく広がります。

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/300, F1.2, ISO200, Photo by A.Inden

このカットの背景は暗く潰れて見えますが、RAWデータには情報がしっかりと残ってました。カメラの性能の良さはもちろんあるのですが、レンズのダイナミックレンジの広さ、粘り強さもあってのことと言えるでしょう。照明に施されたレリーフの立体感にもご注目を。

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/125, F1.2, ISO400, Photo by A.Inden

最短撮影距離は0.7m、距離的にも画角的にもさすがにテーブルフォトには不向きかも知れません。ですが、小さな物を引き寄せることは可能です。シャープさと柔らかなボケが共存しているこの描写、背景と距離を工夫して身近な物をいろいろと撮ってみたくなりますね。


FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/200, F1.2, ISO200, Photo by T.Takahashi

タワーの鉄骨がとても緻密に描かれています。ポートレイトだけでなくオールラウンドに対応できそうですね。ボケの描写にときおり二線ボケの傾向を感じるのですが、手前に入れた枝は乱雑になることなく、シルエットとなって夜の始まりを演出してくれました。レンズが明るいとシャッタースピードも稼げるので有り難いですね。

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/4000, F1.4, ISO200, Photo by A.Inden

少し離れたところからポツンと佇む一羽の鷺を狙ってみました。この距離からでも感じられる立体感が見事です。

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/2000, F1.6, ISO200, Photo by A.Inden

金属の描写もまた見事なものです。ハイライトからシャドウまで余裕のあるダイナミックレンジと、高い解像力があるからこその豊かな質感描写と言えます。

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/4000, F1.4, ISO200, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/1000, F2, ISO200, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T1, FUJINON XF56mm F1.2 R, 1/2000, F4, ISO200, Photo by A.Inden


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F1.2という別次元の"目"

今回の撮影は高性能な EVF を搭載し、一眼レフのようなスタイルが特徴的な X-T1 との組み合わせでしたが、いつも以上に楽しい撮影となりました。なにしろボケがしっかりと確認できる大きなファインダーがあるのですから。EVF を覗いているだけでワクワクしてしまいます。またフルサイズ換算で 85mm 相当、F1.2 の大口径レンズだと考えると、とても小型軽量で、X シリーズのどのボディに装着しても取り回しの良さを実感できることでしょう。ピントリングのトルクや、絞りリングのクリック感も適度な重さと感触が気持ちよく、とてもよく作り込まれている印象を受けました。ただし、絞り開放では当然ながらピントは極薄、なかなかにシビアで多少の慣れが必要かもしれません。だからこそ使い甲斐のあるレンズでもあるのですが。

他メーカーのレンズラインナップを見ても、あまり見かけない F1.2 という明るい開放値ということもあって、開放付近の画ばかりをお届けしてみました。いかがでしょうか、この柔らかなボケと開放からシャープな描写力は。もちろん絞ればシャープさは増しますし、開放で F1.2 ということは2段半絞ってもまだ F2.8、ボケを楽しむにも十分すぎるくらいに余裕があります。距離と絞り、シャープさとボケの組み合わせをいろいろと試せる、懐の深いレンズと言えるでしょう。F1.2 という明るさは、撮ることの楽しさを再認識させられるばかりか、新たな撮影領域へと導いてくれます。撮り始めてすぐに楽しく、使い込むほどに味わい深く。撮り手を魅了してやまないレンズです。

( 2014.03.28 )

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せっかくラインナップされた F1.2 です。使わない手はありません。

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使用頻度が高そうです。描写性能を維持するためにも前玉は守りましょう。

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