PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM XF35mmF2 R WR
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
Xマウント向けレンズのラインナップに、防塵・防滴構造を採用し、-10℃の耐低温性能も備えた標準レンズが新たに加わりました。35mm判換算で53mmの画角に相当。Xシリーズで初となる防塵・防滴・耐低温仕様のカメラボディ「X-T1」が発売された以降、タフネス仕様の単焦点レンズは、広角そして望遠が先行してリリースされていましたので、標準レンズの登場を心待ちにしてきた方も多いことと思います。170gの軽量コンパクトな鏡胴内に配された光学系は、非球面レンズを2枚組み込んだ6群9枚構成。絞り開放F2の明るいレンズですから、標準レンズといえども背景を柔らかくぼかすことができ、表現の幅が広いことも特徴となっています。もちろん絞り開放から、ピント面での解像感はたっぷり。ついつい絞りを開けて撮影したくなるレンズです。
( Photography : Z II / Text : KIMURAX )
早速、絞り開放のカットからとなりますが、被写界深度の浅さがよくわかりますよね。前後のデフォーカスエリアからすっと浮かび上がる落葉。少々ギザつきのある輪郭から葉脈までキリッと捉え、紅葉のグラデーションも実に鮮やかに再現しています。全体的に少し彩度が高く、かつ深みも感じられる発色。撮って出しのJPEG画像ですからカメラボディ側の影響も多分にあり、なるほどやはりフジフイルムらしい色合いですね。
F2.5と少々絞っただけですが、距離はそれなりにあるものの毛並みからヒゲの一本一本までキリッと解像。猫ちゃんの足元辺りの落葉まで、ホントよく写っています。AFも速く、至って静か。邪魔しないように、サクッとその場を切り取れるのはスナップシュータには嬉しい限りです。
これだけ背景との距離があると分離しているというか、もう別レイヤーを重ねているみたいです。ま、ピント面の像がユルければ、その効果への驚きも半減してしまうものですが、ぐぐっと拡大して見ても曖昧さがないのですから大したものです。
不規則に吹いてくる風が、穂先を揺らすたびにAFもしっかり追従していました。それにしても、この柔らかいボケと立体感。何でもないような光景でさえも、いい雰囲気へと仕立て上げてくれるものです。
F5まで絞ってみましたが、申し分の無い解像力ですね。ご覧の通り、スカッとした空ではなかったのですが、フジらしい発色の妙で、活き活きとした様子を巧く再現できたと思います。
コントラストも十分で、明暗バランスよく描いています。画面左下のクッションを見ると、どうやら前ボケに少々硬さが出る傾向があるようです。もし気になるようでしたら、距離を変えたり絞りをちょっと調整してあげてみるとよいでしょう。
後ボケは総じて柔らかですね。マクロ風な撮影もできちゃう標準レンズ。やってくれます。
明るいF値を持った単焦点レンズが揃っているXシリーズ用のレンズの中では、少々埋没してしまいそうなF2というスペックですが、、、いえいえとんでもない、標準レンズでこれだけボケ味を添えられるのですから、さすがF2でしか描けない世界観だと感心しました。そして何といっても防塵・防滴・耐低温仕様という、過酷なシーンにも安心して連れ出せるレンズは頼もしいものです。思いがけない天候の変化で、機材のことを心配するあまり、気がそぞろになってはなかなか上手くいきませんものね。タフに使える「X-T1」を手にされた方は特に、ぜひ揃えておきたい単焦点レンズでしょう。もちろん、日頃のお手入れや扱いでもあまりナーバスにならずに済むレンズともいえますので、他のXシリーズをお使いの方にも大変おススメな一本。絞り開放からこれだけよく切れる標準レンズですから、重宝すること請け合いです。
( 2015.11.19 )
コンパクトな鏡胴にインナーフォーカスとステッピングモーターを組み合わせ、小気味よく撮影いただける1本に仕上がりました。
こちらはシルバー鏡胴。Xシリーズに多数ラインナップされているシルバーボディとぜひ組み合わせてお使いください。