PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM X-T50 / SHOOTING REPORT
富士フイルム「X-Tシリーズ」のミドルクラスに位置する「X-T30 II」の後継機「X-T50」が、フルモデルチェンジと言える進化を遂げて登場しました。センサーは第5世代「X-Trans CMOS 5 HR」になり、画素数は約2610万画素から約4020万画素へ。画像エンジンも第5世代「X-Processor 5」を採用することで高画質化を実現しています。AFは高速化と正確さが向上しただけでなく、ディープラーニング技術を用いて開発された被写体検出AF機能によって、人物の顔や瞳、更に動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車・昆虫・ドローンをAIで検出。さらに最大7.0段分となる5軸ボディ内手ブレ補正機能を新たに搭載し、さまざまな条件での撮影を強力にサポートすることでXシリーズ最高画質を実現するとのこと。特筆すべきことはそのフォルムです。新しく採用された丸みを帯びたラウンド形状のボディデザインは、コンパクトながら手にピッタリと馴染み、高いホールド性を感じました。大幅な進化を遂げた本カメラ。その性能、使い心地をじっくりと試してきました。
( Photography & Text : A.Inden )
窓から太陽が差し込む室内。明暗差がかなりある条件ですが、全くそれを感じさせないほどハイライトからシャドーまで滑らかなトーンで描かれています。高解像度=緻密な描写とまず考えてしまうのですが、本当の魅力はこの豊かな階調にあると思います。
とはいえ約4020万画素の解像感も確認しておきましょう。さすが原宿の交差点、平日の昼間から多くの人で賑わっています。 拡大してみると、標識や看板はもちろん、楽しそうにしているみなさんの表情まで読み取れるから凄いの一言。 また色再現も素晴らしく服の色合いも自然な感じで再現されています。
手にピッタリと馴染むフォルムが使いやすく、長年付き合っていたかのような感覚で扱うことができます。AFも素早くピシャッと合い、これなら街中での一瞬を確実にモノにできます。
黒一色に統一されたバイク。豊かなトーンで写し出すフォルムは、さまざまな材質で構成されていることがよくわかります。
焦点距離48mm。中央の金髪の女性以外がブレるように、シャッタースピードは1/7秒を選択。髪の質感までしっかりと描写されていました(※画像のクリックで原寸画像をご覧いただけます)。最大7.0段という手ブレ補正機能が強力で、まだまだ余裕があります。限界まで使うと背景の人物が消えてしまいそうですが。
高感度特性を確認したくISOを変え撮り比べてみたところISO 3200までほとんどノイズはなく、ISO 6400からシャドーにノイズが乗ってきました。作例はISO 12800。少しノイズはありますが、小さな人物の輪郭もクリアでギザつきもないようです。常用感度として十分使えるのではないでしょうか。
フィルムシミュレーションダイヤルが天面左肩に新たに搭載され、選びやすくなりました。フィルムシミュレーションは富士フイルムのカメラを使う楽しみのひとつですから、朗報ですね。
新たに追加されたフィルムシミュレーション「REALA ACE」は深く軟らかなシャドーと硬めのハイライトを持っているとのこと。実際少しコントラストがある、ヌケのいい写りに感じました。今回の撮影でかなり使ってみましたが、インパクトのある画が欲しいときにぴったりですね。トップの作例も「REALA ACE」で撮影しました。
手にした瞬間に使い慣れた相棒のよう
「いい器は持った瞬間に手に馴染む」などと言われますが、確かにその通りだとX-T50を手にして感じました。新しくなったラウンド形状のボディデザインは最初からピタッと手に馴染み、長年使い込んだカメラのような感覚を覚えます。カメラが手に馴染むと目線も変わるもので、今回の撮影では、動きのある被写体を狙ったカットが圧倒的に多くなっていました。手の一部のようになったカメラが瞬時に反応してくれることで、ついつい気持ちよくシャッターを切ってしまうからでしょうね。そしてこの小さなカメラがこんなにも良く写るのだから驚きます。約4020万画素の新しいセンサーが見せる高い解像感と豊かな階調。新しく搭載された最大7.0段分となる5軸ボディ内手ブレ補正機能と高速化と正確さが向上したAF。スペックを考えればこの写りも納得です。コンパクトさが特長のミドルクラスに位置しながら、高画質と高いホールド感が得られる本カメラ。ぜひ手に取ってお確かめください。
全体に丸みを帯び柔らかな印象を受けるフォルム。天面にファインダー部と一体となった自動で光量を制御するポップアップフラッシュを搭載。外形寸法123.8×84×48.8mm。バッテリー、カードを含む質量は、約438g。
カメラのフォルムが丸くなっているのがよくわかります。グリップはそこまで大きくありませんが、ラウンド形状とのバランスがいいのか、しっかりとホールドできました。写真右側のダイヤルが新たに追加されたフィルムシミュレーションダイヤル。ここで20種類のフィルムシミュレーションモードを選ぶことができます。
EVFは約236万ドットの0.39型有機ELファインダーを搭載。背面液晶モニターは184万ドットでチルト構造を採用。グリップ部の形状や背面のボタンレイアウトも変わっています。背面から見ると両肩が斜めになっているのがよくわかります。
ファインダーをセンターにしたチルト液晶は、レンズと撮影者の瞳が光軸上で重なりフレーミングがしやすくなります。
( 2024.06.10 )
新しくなったフォルムで高いホールド感が得られるコンパクトな約4020万画素のカメラ。
ブラックはこちら。
このレビューはこの組み合わせで撮影しました。このセットだとかなりお得な価格に。
もう少しリーズナブルなレンズキットはこちら。
ブラックもあります。
バッテリーがX-T30 IIやX100VIなどと共通なのは嬉しいですね。