PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM X-T200 / SHOOTING REPORT
フジフイルムの“センターファインダースタイル”を採用した「X-T200」がリリースとなりました。本モデルはX-T100の後継機で軽量コンパクトが特長のエントリーモデルです。なんと重さは約370g。日々携行して日常を撮り集めるにはピッタリのモデルではないでしょうか。大きく変わったのは、約2424万画素のAPS-Cサイズのセンサーが銅配線センサーとなったことです。データの読み出し速度が上がっただけでなくローリングシャッター歪みを低減。センサー全面に像面位相差画素が配置されたことで、AF性能も向上しているそうです。X-T100では3方向のチルト式モニターでしたが、X-T200ではバリアングル式モニターになったことも撮影の自由度をグっとあげてくれる要素のひとつ。セルフィーはもちろん、さまざまなアングルから撮影することが可能になります。デジタルカメラで動画を撮影するユーザーも増え、動画性能の向上も図られています。センサーの全画素を読み出すことにより、6K相当の情報量を活用した4K動画を実現。フジフイルムならではの美しい色、そしてフィルムシミュレーションも搭載されていますから、カジュアルにさまざまな撮影機能を試しつつ撮影を楽しんでいただきたいモデルです。
( Photography : KIMURAX / Text : Rica )
LOOK & FEEL
高さが83mm(X-T100)から83.7mmと若干大きくなっていますが、大きくフォルムが変更されたわけではないので一見しただけではわからないかもしれません。グリップが大きくなったことで厚み(奥行き)が7.7mm増していますが、ホールド感は向上しています。
背面の液晶モニターがバリアングル式になりました。さまざまなアングルでの撮影が可能ですから、これまで以上に写真表現の幅に広がりが得られると思います。タッチパネル式になっていますから撮影時にも直感的な操作ができ、ビギナーにも使いやすいでしょう。
有機ELの0.39型ファインダーは前モデルから引き継いでいます。約236万ドット、視野率は100%です。液晶モニターは3.5型で約276万ドット。前モデルでは3:2アスペクトでしたが、大型化し16:9アスペクトとなっています。
SPEC OVERVIEW
前述の通り、大きな変更はセンサーが銅配線正方画素CMOSになった点です。AF性能が大きく向上したことで、動体の追従や、顔・瞳AFを可能にし、暗い場所でも正確なピント合わせを行うことができます。銅配線を採用したことが高感度時のノイズ減少にも一役買っており、ISO感度を上げても高画質であることも特長です。連写性能は高速側で8コマ/秒と前モデルから2コマ増。アドバンストフィルターに「クリアフィルター」「リッチ&ファイン」「モノクロ(近赤外風)」が新たに追加されています。特に動画撮影でのスペック向上が顕著で前モデルでは4Kは「4K15P」までとなっていましたが、X-T200では「4K30P」に対応。電子式手ブレ補正「電子ジンバル」モードを搭載し、カメラ本体に内蔵されているジャイロセンサーが動きを検出することでブレを吸収し、スムースな映像が撮影可能となっています。
製品名 | X-T200 | X-T100 |
---|---|---|
発売日 | 2020年02月27日 | 2018年06月21日 |
センサー | 2424万画素 APS-Cサイズ 銅配線正方画素CMOS | 2424万画素 APS-Cサイズ 正方画素CMOS |
記録メディア | SDカード(~2GB) SDHCカード(~32GB) SDXCカード(~512GB) |
SDカード(~2GB) SDHCカード(~32GB) SDXCカード(~256GB) |
連写 | 高速 : 約8.0コマ/秒 低速 : 約4.0コマ/秒 |
高速 : 約6.0コマ/秒 低速 : 約3.0コマ/秒 |
液晶モニター | 3.5型 16:9アスペクト バリアングル式タッチパネル付き TFTカラー液晶 約276万ドット |
3.0型 3:2アスペクト 3方向チルト式タッチパネル付き TFTカラー液晶モニター 約104万ドット |
動画 |
■4K : 3840×2160 29.97P/ 25P/ 24P/ 23.98P 連続最大約15分まで ■Full HD : 1920×1080 59.94P/ 50P/ 29.97P/ 25P/ 24P/ 23.98P 連続最大約30分まで ■HD : 1280×720 59.94P/ 50P/ 29.97P/ 25P/ 24P/ 23.98P 連続最大約30分まで ■スクエアFull HD : 1080×1080 59.94P/ 50P/ 29.97P/ 25P/ 24P/ 23.98P 連続最大約30分まで ■スクエアHD : 720×720 59.94P/ 50P/ 29.97P/ 25P/ 24P/ 23.98P 連続最大約30分まで ■ハイスピード動画 : 1920×1080 2×/ 4×/ 5× |
■4K : 3840×2160 15p 連続最大約30分まで ■Full HD : 1920×1080 59.94p/ 50p/ 24p/ 23.98p 連続最大約30分まで ■HD : 1280×720 59.94p/ 50p/ 24p/ 23.98p 連続最大約30分まで ■ハイスピード動画 : 1280x720 1.6×/ 2×/ 3.3×/ 4× 連続最大約7分まで |
アドバンストフィルター | クリアフィルター/ トイカメラ/ ポップカラー/ ハイキー/ ローキー/ 魚眼/ ダイナミックトーン/ HDRアート/ ミニチュア/ クロススクリーン/ リッチ&ファイン/ モノクロ(近赤外風)/ パートカラー(レッド/ オレンジイエロー/ グリーン/ ブルー/ パープル)/ 霞除去 ソフトフォーカス | トイカメラ/ ミニチュア/ ポップカラー/ ハイキー/ ローキー/ ダイナミックトーン/ 魚眼/ ソフトフォーカス/ クロススクリーン/ パートカラー(レッド/ オレンジ/ イエロー/ グリーン/ ブルー/パープル)/ 霞除去/ HDRアート |
PHOTO GALLERY
画の仕上がりにコミットする。そんな気概すら伝わってくる。
センサーサイズや画素数といった数値だけを見ると、先代のX-T100が紡ぎだす画から飛びぬけて変わることはないでしょう。それならと試しに、輝度差の激しい意地悪なシーンをフレームしてみることに。フェンス過ごしから太陽光を反射している高速道路の防音壁。画面左のシャドーエリアを深く潰しながらも、そこにはちゃんとニュアンスが感じます。片やハイライトエリアは曖昧に飛んでしまうことなく光の表情を描いており、画全体として見るとメリハリよくフルサイズにも引けを取らにような仕上がりではないでしょうか。撮影時には視野率100%の有機ELファインダーの見えもよく、気持ちよく構図を決めることができました。ところで本機は先代モデルと同様、メーカーが画像処理エンジンについて詳らかにしていません。連写性能の向上などから推察するに、心臓部の性能アップもきちんと図られているのでしょう。軽量かつコンパクトなシステムという気軽さがありつつも、ワンランクいやそれ以上の本気撮りにも良質な画質で応えてくれるから楽しいものです。キットレンズとの組み合わせで、すでにこの仕上がりですからね。そんな頼もしさが軽快さの中にも見て取れるとあって、作り手の本気度が窺えるカメラだと言えそうです。
しつこいようですがもう一発、輝度差のある被写体での質感表現の確認。フォーカスしたところはAFでは難儀しそうなポイントでしたが、サクッと合焦するではありませんか。雲越しでもそのパワフルさが伝わる日光。写り込む周辺の雲の表情を描きつつ、ボンネットの艶感、こまやかにきらめくメタリックの塗装までつぶさに捉えているのがわかります。徹底的な情報の描き込みとでも言いましょうか、生々しさすら感じてしまうのです。そして樹脂製のヘッドライト周りのリアルさに、PCで確認してハッとしました。
必要にして十分な解像力が得られているのはもちろんのこと、画に奥行きというか深みが感じられます。こういったところにはやはり階調特性が重要になりますが至って滑らか。再現性が見事だなと感じ入ります。
フジフイルムのカメラは、クラスに関わらず色のよさが一貫していますね。
警戒させないように、バリアングルモニターで確認しながらそおっと接近。モニターに触れるだけでAFとシャッターレリーズができるタッチショットを使えばご覧のとおり。本機には手ブレ補正機能がないのでレンズ側の機能を利用する前提ですが、頼もしいいキットレンズです。立体感にドキッとさせられました。
キレのある描写ですね。なんら不足を感じませんが、大口径の単焦点レンズあたりを付けたらどんな写りを見せてくれるのでしょうか。大いに期待できます。
シャッタースピードが1/7秒と、それなりの暗がりでありましたがAFは迷いませんでした。
試写の基本はフィルムシミュレーションモードの「PROVIA/スタンダード」にて撮影しています。クリックすると「モノクロ」モードで撮影したものと切り替わります。ハイコントラストなシーンによく似合いますね。画像を再クリックすると、元の画像に戻ります。
※下の2枚も、同じようにクリック毎に画像を切り替えて表示できます。じっくりと見比べてみてください。
こちらは「PRO Neg.Std」モードでの撮影カットと切り替わります。少々濁ったような独特のくぐもった雰囲気がプロネガらしい色合いだと感じます。単に暗めなだけではない、その仕上がりの違いは空を入れるとわかりやすいと思ったのですが、いかがでしょうか?
本機にはアドバンストフィルターもあります。こちらは「リッチ&ファイン」を利用して撮影したものと切り替わります。画面中央のコントラストを上げて若干周辺落ちした雰囲気に仕上がる感じでしょうか。X-T200になってアドバンストフィルターの選択肢には、こちらのリッチ&ファインをはじめとする3種類が加わり15種類とさらに充実しました。がらっと印象を変えるもよし、さりげなく雰囲気を整えてみるもよし。うまいことハマるシーンはいっぱいありますよ。遊びましょう。
エントリー機以上のパワフルなモデル
X-T200はエントリーモデルとして、スマートフォンやコンパクトカメラからのステップアップを考えているユーザーに対し、初めてのレンズ交換式カメラとしてももちろんオススメですが、フジフイルムの英知がコンパクトなボディにぎっしりと詰まっており、小型軽量なサブ機としても十分な役割を果たしてくれます。ベイヤー配列ではありますが銅配線のCMOSセンサーとなった本機は、ISO 6400でも拡大しなければ感度が上がっていることに気づかないほど。冒頭の濡れた路面標識のカットでもノイズが少ないことから艶感や立体感が失われておらず、クリアかつ自然な画を得ることができました。また、AF性能の向上は撮影中に体感としてハッキリとわかりました。思った通りのところにサクサクとピント合わせができるのは非常に心地よく、撮影リズムも自ずとよくなるものです。顔・瞳AFは動きがあっても追い続けてくれますから、家族や仲間たちとの思い出の一枚もしっかりと顔にピントが合った状態で収めることができますよ。エントリーモデルとはいえ電子ビューファインダーが搭載されているため、ここぞというときにはファインダーから被写体をしっかりと見ながら撮影に集中することが可能ですし、明るい昼間に液晶が見えにくい場合などにも有効です。写真はいつでも、そのときどきの撮り手の思いも記録してくれます。小型軽量で携行しやすい本機とともに、日常のなかにあるさまざまなシーンを写真に残してください。X-T200なら、エントリーモデルとは思えないほどコントローラブルで、パワフルに被写体を捉えてくれます。もちろんフジフイルムならではの色で美しい画を生成してくれますから、きっと毎日のなかに新たな発見ができるでしょう。
( 2020.02.28 )
軽量コンパクトながら上位モデルに肉薄する性能で、最初の一台としてだけでなく、優秀なサブ機としてもオススメしたいモデルです。こちらは標準ズームレンズ「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」がセットになったレンズキット。往年のカメラスタイルともいえるシルバーモデルです。
標準ズームレンズ「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」と望遠ズームレンズ「XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II」の2本がセットになってこの価格。レンズを装着しても1kgに満たない軽量さが魅力のX-T200でこの春カメラデビューはいかがですか?
スタイリッシュで精悍な印象のダークシルバーモデル。こちらも標準ズームレンズがセットになったレンズキットが用意されています。小型軽量の機動力を生かして、日常だけでなく旅先やイベントなどさまざまなシーンを撮影してみては。
もちろんこちらにもダブルズームキットがラインナップされています。最初の一台に選ぶなら標準と望遠ズームレンズがセットのこちらがとっても重宝します。このキットでスケール感ある風景から、運動会まで幅広い撮影ができます。
X-T200には、前モデルX-T100同様に3色のカラーバリエーションがラインナップされています。こちらは品のあるシャンパンゴールド。男性だけでなく、女性にも人気のカラーです。もちろん標準ズームレンズがついています。
たったの370gという小さくて軽いボディに、XCシリーズのこれまた軽量なレンズ2本がセットになったダブルズームレンズキット。しつこいようですが、シャンパンゴールドにもこのキットが用意されています。