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FUJIFILM X-T2, XF23mm F1.4 R, 1/1000, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

FUJIFILM X-T2 / SHOOTING REPORT

X-Pro系と並んでフジフイルム・Xシリーズのフラッグシップ機となるX-T系も第2世代となりました。今回はその「X-T2」の実写レビューをお届けします。発売からしばらく経っていますので、既にユーザーの方々が数多くの名作を生み出されていると思いますが、今回は私の愛機のレビューということでどうかご容赦ください。まずは先代X-T1から2年半を経て登場しましたX-T2についておさらいしてみましょう。大きなトピックとしては (1) X-Trans CMOSセンサーが16MPから24MPへアップ、(2) ボディサイズがわずかに大型化、(3) デュアルSDスロット搭載、(4) AFを含めた動作速度の大幅な向上…といったところでしょうか。細かなところをみれば、シャッター速度が1/4000秒から1/8000秒へ、コマ速が最高8コマ/秒から最高14コマ/秒へ、測距点が49点から91点へ、映像エンジンがEXR Processor IIからX-Processor Proへ、動画撮影がフルHDから4Kへ…等々、スペックは時代に合わせて全体的にひとつ上の次元に引き上げられています。ぱっと見ればあまり変わったように感じられないかもしれませんが、実際にはほぼすべてに手が入っていると言っても過言ではないでしょう。X-T1をお使いだった方がX-T2を手にして、その進化に“ニヤリ”とされた方も多かったのではないかと思います。これはX-Pro1からX-Pro2の時もそうでした。落ち着きのあるシャッター音やキビキビとした動作のキレ、より立体的になった背面のボタン形状、明るく見やすくなったEVFはブラックアウトする時間も短縮されるなど、写真機としての完成度をより高め、扱いやすく心地いい操作性のカメラへと更に進化しています。スペックのおさらいはこのくらいにして作例をご覧戴きましょう。

( Photography & Text : Naz )

FUJIFILM X-T2, XF23mm F1.4 R, 1/1600, F6.4, ISO 200, Photo by Naz

1.5倍の高画素化を果たし飛躍的に向上した解像感。
センサーサイズなんてどうでもいい画質レベル。

まずは2430万画素にアップしたセンサーについて。X-T1の1630画素から実に1.5倍という大幅な画素数アップを実現しました。これまで同様、ローパスフィルターレスらしいキレのある画に、より高い解像感が加わることで画に曖昧さがなくなり、凄みさえ増したように感じます。これまでもAPS-Cセンサーながらフルサイズセンサーに迫る厚みのある画が特徴でしたが、X-T2から生み出される画は「迫る」とか「並んだ」とかではなく、もはやセンサーサイズなんて画を見る限りどうでもいことだという印象です。画素ピッチでいえば24MPのAPS-Cセンサーは3.9μm、50MPのフルサイズセンサーで4.15μm程度ですから、ローパスフィルターを廃しX-Transテクノロジによって加わるキレを考えれば、それも頷けるものではないでしょうか。この作例では、画像クリックで等倍のクロップ画像を表示しますが、画像の隅までも実に克明に写し出しています。またこれだけ大幅な性能アップを果たしたセンサーにも見劣りしないXFレンズの光学性能も見事としか言いようがありません。

FUJIFILM X-T2, XF50mm F2 R WR, 1/2000, F4.5, ISO 200, Photo by Naz

こういった被写体まで距離のあるカットでは、画素数アップの恩恵を強く感じます。光の捉え方も期待通り。


FUJIFILM X-T2, XF56mm F1.2 R, 1/8000, F1.2, ISO 200, Photo by Naz

FUJIFILM X-T2, XF50mm F2 R WR, 1/5400, F2, ISO 200, Photo by Naz

フジフイルムらしいヌケがよく気持ちのよい発色もこれまと変わりません。普段はモノクロ写真を好んで撮る筆者ですが、X-T2はカラーを撮るのが実に楽しくなるカメラです。

FUJIFILM X-T2, XF56mm F1.2 R, 1/22000, F2, ISO 200, Photo by Naz

FUJIFILM X-T2, XF18mm F2 R, 1/60, F4.5, ISO 400, Photo by Naz

花の写真のから一転、森の中へ。緑色の再現の美しさもXシリーズ共通の強みでしょう。風景写真を撮られる方にユーザーが多いことも頷けます。

FUJIFILM X-T2, XF35mm F1.4 R, 1/250, F1.4, ISO 400, Photo by Naz

FUJIFILM X-T2, XF18mm F2 R, 1/250, F11, ISO 400, Photo by Naz

レンズが持つ力も多分にありますが、少し湿度の残る木肌と地面に散らばる乾いた枯れ葉の再現、どちらも見事です。画素数アップによる情報量の増加はこういった繊細な描き分けにも効いてくることでしょう。


FUJIFILM X-T2, XF23mm F1.4 R, 1/3800, F6.4, ISO 200, Photo by Naz

これだけ高画素化が進みましたらから、ダイナミックレンジは多少狭くなったかと思いましたが、これを見る限りそれも杞憂のようです。むしろ、情報の密度は高まりましたから、階調は緻密で豊かになった印象です。空のハイライトから城壁のシャドウ部まで情報を取りこぼさずにしっかりと描いてくれます。

FUJIFILM X-T2, XF18mm F2 R, 1/18000, F2, ISO 200, Photo by Naz

明るい陽射しの下で開放を使える最高1/32000秒までの電子シャッターはこれまで同様。加えて、メカニカルシャッターも1/8000秒へと高速化。第2世代の余裕でしょうか、剛性の高いボディから響くシャッター音も抑制された「いい音」になりました。

FUJIFILM X-T2, XF50mm F2 R WR, 1/8000, F4, ISO 200, Photo by Naz


FUJIFILM X-T2, XF23mm F1.4 R, 1/125, F1.4, ISO 3200, Photo by Naz

最大ISO感度は12800(拡張時51200)。X-T1より1段アップしました。最大感度を常用することはないでしょうが、上限が上がれば常用する感度にも余裕が出ます。こちらのカットではISO 3200を使用しましたが、このくらいの感度ですと欠点もほとんど見当たりません。照明に色がついていましたので、石材を切り出した刃の跡が浮かび上がるようモノクロに。X-T2にも加えられた「ACROSモード」かなりいいです。

FUJIFILM X-T2, XF23mm F1.4 R, 1/125, F1.4, ISO 3200, Photo by Naz

ボディ側の手ブレ補正は採用していませんので、高感度に強いのは嬉しいところ。暗闇の地下空間でも人物の入ったスナップ撮影を難なくこなせてしまいます。


FUJIFILM X-T2, XF23mm F1.4 R, 1/2200, F1.4, ISO 400, Photo by Naz

FUJIFILM X-T2, XF18mm F2 R, 1/1000, F2, ISO 800, Photo by Naz


FUJIFILM X-T2, XF18mm F2 R, 1/250, F5.6, ISO 400, Photo by Naz

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ハンドリングのよいシステムサイズと絶妙なパッケージング
X-T2は撮影フィールドを選ばない

日頃様々なカメラを手にしていますが、プライベートで持ち出すカメラを思い返してみると、X-T2を手にするまではX-T1が最も稼働率の高いカメラでした。その理由を考えてみると、画質に対する信頼とシステムサイズの小ささ・軽さなんですよね。フジフイルムのXシリーズはどのカメラもそのバランスがすごくいい。ガッツリ撮影に出るような場合はカメラやレンズの大きさ・重さなんてさほど気になりませんが、日常を含め様々なシーンで持ち出すとなると、やはり大きさや重さはとても大事。X-T2では、X-T1と比べて幅3.5mm×高さ2mm×奥行き2.5mmアップ、重さも+67gとわずかに大きく重くなり、その差は手にすると感じ取れるものではありますが、許容できる範囲には収まっていると思います。またフラッグシップモデルという性格上、大口径レンズを使う頻度も高いでしょうから、ボディサイズと重量の増加は、そういったレンズとのバランスをむしろ改善してくれたのではないでしょうか。

APS-Cセンサーだからこそ実現できた高い性能とコンパクトなサイズと価格のバランス。この性能をより大きなセンサーで実現しようとすれば、カメラやレンズは大きく重くなり、価格もずいぶんと高くなってしまうでしょう。フジフイルムのXシリーズに感心するのは、これがカメラだけとかレンズだけというのではなく、カメラとレンズの両方を合わせたパッケージとして高いレベルになっているということ。これはXシリーズがリードしていると言っていいところでしょう。

今回のレビューではご紹介できませんでしたが、他のメーカーに比べると少しのんびりしていた動画対応もX-T2では4K対応となり、またミラーレスカメラの弱点と言われていた"動体"や“速度”についても、AFの単純な速度だけでなく、食いつきも向上しています。またEVFの応答速度やコマ速からシャッタータイムラグまで、カメラの動作に関わる様々な速度が高速化され、バッテリーグリップと組み合わせることで更にブーストが掛かるというギミックまで加わりました。少し前まではよく耳にした「ミラーレスカメラじゃ仕事にならん」というのも既に過去の話。仕事レベルの厳しい要求にもしっかり応えてくれる頼もしい1台。悩みどころは、X-T2にするか、X-Pro2にするかというところではないでしょうか。

( 2017.08.24 )

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一眼レフ的スタイルの“X-T系”も第二世代に。X-T1もいいカメラでしたが、X-T2を手にしたらその進化に驚きと喜びを感じていただける1台に仕上がっています。

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もちろんグラファイトシルバーモデルもございます。本革ストラップやボディと同色のシューカバーが付属するなど特別なパッケージとなっています。

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これはらXシリーズを始める方におすすめのキットレンズつきモデル。フジフイルムの標準ズームは気合いの入り方が違います。

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ハイエンドカメラにはハイエンドの保護シートを。従来の樹脂製に比べて、強度や汚れのつきにくさ(取りやすさ)クリアさなど、満足度は価格以上です。

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ブースト機能が使える専用グリップ。本体内蔵の1個に加え、バッテリーを1〜2個収納してカメラを駆動させられます。

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付属品と同じバッテリー。スペアも必要です。X-T1でお使いだったバッテリーもそのままお使いいただけますが、高温環境下での安定度が向上しています。

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ダブルフラッグシップのもうひとつ、こちらはより趣味性の高い1台に仕上がっています。さてどちらにしましょうか。

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このグラファイトカラーはずるい(笑)。ボディと同色のXF23mmF2 R WRがセットになっています。

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