PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM X-M5 / SHOOTING REPORT
富士フイルムからAPS-Cサイズセンサー対応のミラーレスカメラ「X-M5」が登場しました。X-Mシリーズといえば「X-M1」以来ですから、およそ11年ぶり。前モデル同様にEVFをなくした大変コンパクトなモデルとなっています。幅は約111.9mm、高さ約66.6mm、奥行約38.0mm。質量は約355gとコンデジを思わせるサイズ感です。イメージセンサーには2610万画素のX-Trans CMOS 4を採用、画像処理エンジンには最新のX-Processer 5を搭載しています。AFの制御も最新の機能が惜しみなく搭載されており、ポケットサイズながら高画質と優れたAF性能を実現しているとのこと。また動画性能は最大で6.2K、29.97pに4:2:2 10bitの映像記録にも対応しており、静止画はもちろん、本格的な動画撮影も楽しめそうな1台です。外観やデザインについては後ほどゆっくりご説明したいと思います。まずは静止画の写り、そしてカメラまかせで撮影した動画もありますのでご覧ください。
( Photography & Text : Z II )
まずは美しいトーンの再現性と解像感をご覧ください。空のトーンの連なりや葉の一枚一枚の色の再現、細い枝や葉の細部まで見事に解像しクリアな描写を見せてくれました。この高画質は2610万画素のセンサーと最新の映像エンジンの賜物でしょう。コートのポケットならすっぽり入るサイズですから寒い日のお出かけも少し楽しくなりそうですね。
先ほどとはうって変わって、今にも降ってきそうな雲行きに。光量がおぼつかないシーンでしたが、うっかりISOオートのまま撮影してしまいISO感度は6400。ノイズの処理も良いのでしょう、高感度耐性の高さがうかがえる写真になりました。
曇天の弱い光線条件にもかかわらず、カラフルな色合いをFUJIFILMらしい自然な発色で再現します。陰影による微妙な色の変化もしっかり捉え、質感や形状をつぶさに描けている印象です。
コンパクトなカメラですから外食のシーンに持ち合わせることも多いでしょう。色乗りがよく、さまざまな具材の質感と出来立ての艶感を見事に再現できていて、見たままのリアリティを感じます。
軍艦部右側のダイヤルからセレクトできる「アドバンストフィルター」を使用してみました。こちらは「トイカメラ」を利用。周辺光量を落としたレトロな雰囲気を楽しめます。メニュー画面から呼び出す手間が省けることで直感的に操作ができるのは嬉しい仕様です。
一方こちらは軍艦部左側のダイヤルに割り当てられたフィルムシミュレーションの「アクロス」を利用しています。引き締まった黒とシャドーの粘りが特長です。瞬発力が要求されるスナップ撮影では、小さくて軽く簡単操作のカメラは大変重宝します。
同じくフィルムシミュレーション。こちらは「ベルビア」を選択。やや強めの発色により蓮の葉が生き生きと表現されています。それにしても蓮の葉の質感と立体感が見事です。ダイレクトな操作でフィルムシミュレーションを切り替えられるので、被写体に合わせて瞬時にセレクトできるのは便利ですね。もちろん撮影後に他のフィルムシミュレーションへの変更も可能です。
撮影を通じて感じたのは、雲など白からグレーの中間部のトーンに厚みがあり連なりも良いなあということ。海辺の景色も美しいトーンで描いています。空を表情豊かに描きつつ、被写体の影になった部分が完全に暗く落ち込むようなことがありません。シャドー部にも粘り強く濃淡があり、画に深みがあります。
カメラまかせの簡単なひとり動画撮影を行いました。事前準備としてやったことは、ミニ三脚（Ulanzi）とカメラオンマイク（RODE）を用意して、動画のファイルサイズ（6.2K）とフレームレート（29.97P）の設定を行なっただけです。AFは全てAF-Cで撮影しています。動く被写体に対するトラッキングも良好で、フォーカシングのスピードも自然で違和感なく撮影できました。良くできた小さなムービーカメラといった使い心地で、動画をこれから始めてみたい人にも易しい印象です。今回のような屋外での撮影で風切り音などの雑音が気になるようでしたら、マイクにウインドシールドがあるとよいでしょう。撮影後の編集作業（といってもカットして繋げるだけ）は、「iMovie」を使用。編集と聞くとちょっと難しそうですが、やってみると意外と簡単でこれがまた楽しい。テロップを入れたり音楽を入れ始めたりすると、さらに面白味が増すことでしょう。
さて、見目麗しい外観を見ていきましょう。正面の見た目も可愛らしいのですが、特徴的なのはダイヤルをシンメトリーに配した軍艦部天面。クラシカルかつミニマルで、持ち歩きたくなるようなルックスです。左手側にはフィルムシミュレーションダイヤルを配置し、ダイレクトな切り替えが可能です。右手側にはモードダイヤルを配し、撮影モードの切り替えやアドバンスフィルターの選択、動画モードやVlogモードへの切り替えが可能です。その他フォーカスポイントを8方向に動かせるフォーカスレバーの搭載や、フロントとリアのコマンドダイヤルを搭載し上級者にも扱いやすい操作系統になっています。右上の画像は今回使用した撮影のセット一式。手持ちで動画を撮る際には三脚をたたんで自撮り棒のように持つと安定した動画が撮れました。マイク/リモートレリーズ端子（3.5mm）はバリアングル液晶を開いた際にケーブルと干渉しないよう背面に、右側面にはUSB端子（Type-C）とHDMIマイクロ端子（Type D）とヘッドホン端子（3.5mm）が配置されています。液晶モニターのUIはカメラを縦位置で構えた際に縦用に切り替わる仕様となっています。
小さくて簡単操作、写真も動画もカメラまかせでOK
写真や動画を撮るのが好きでも、ちょっとしたお出かけや、日帰りの旅行などなるべく身軽に済ませたい時など「今日はスマホでいいか」となることもあるでしょう。「X-M5」なら鞄に忍ばせても嵩張りませんし、肩から下げていても様になるので、むしろ積極的に持ち歩きたくなるかもしれません。レトロで可愛いシルバーと精悍なブラックを選べるのもうれしいポイント。もちろん見た目だけでなく、上位機種に迫る写りに使い勝手も機能的で、道具として信頼できるカメラでした。Xシリーズのカメラをすでにお持ちの方でも、Xシリーズで最も小さな「X-M5」を手にいれることで、さらに軽快な撮影とファッションアイテムとしての楽しみ方もできるでしょう。小さくて写りが良い、デザインにもこだわりたい、そんな方にぴったりのカメラです。これからカメラを始めたい方にも、いろんなカメラを手にしてきた目の肥えた方にもおすすめの1台です。
( 2024.12.03 )
レトロな印象のシルバーのボディがお好みならこちら。シルバーのレンズも似合いそうです。
硬派なブラックボディも捨てがたい。さりげなくカッコよくキメたいならこちら。レンズキットが断然お得です。
すでにXシリーズを所有されている方ならボディ単体ですね。
せっかくなので2色揃えて服装や気分で持ち替えるのも全然ありです。
パンケーキレンズを装着すれば見た目はまさにコンデジ。このセットが一番格好いいのでは。
手元で録画ボタンの操作やパワーズーム付きのレンズならズーミング操作も可能です。より快適で精度の高い動画撮影になるでしょう。
今回使用したカメラオンマイク。これが有ると無いでは、出来栄えが大きく変わってきます。
屋外での動画撮影には必需品です。
暑い時期での長時間に及ぶ動画撮影にはこちらがあれば安心です。
屋外での本格的なドリップコーヒーは格別です。キャンプやピクニックにどうぞ。