PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X100VI, Photo by K

FUJIFILM X100VI / SHOOTING REPORT

レンズ固定式の高級コンパクト、X100VIが登場。初代の登場が13年前、6世代目となります。性急な技術革新と栄枯盛衰をまざまざと感じさせられるデジタルカメラの世界において、同じモデル名で長年存続する稀有な存在の1つとなっています。それだけ市場で評価されてきた証でしょう。6世代目を迎え、センサーの画素数がアップしてX-H2やX-T5と同じ裏面照射型約4,020万画素となりました。また最新世代の画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載。これもハイライトの1つですが、シリーズで初めて5軸のボディ内手ブレ補正機構を搭載し、その効果は約6段分。AFはAIを使った被写体検出が搭載され、新たなフィルムシミュレーション「REALA ACE」が搭載されました。レンズ自体は前モデルからのキャリーオーバーですが、そもそも高画素化を見越していた設計のようです。歴代モデルを、なんだかんだと手に入れてきたわけですが、今回はなかなかなアップデートです。大変楽しみにしていたテストでした。作例を交えて、その印象をお届けしたいと思います。

( Photography & Text : K )

FUJIFILM X100VI, Photo by K

ピーキーさが無くなった、余裕を感じさせる画作り

画素数が上がったことで解像力の向上はもちろん感じさせられるのですが、それよりも階調の豊かさを如実に感じます。従来機であれば、ページトップのような、白ホリゾントに比較的フラットな光であり、画面内でさほど濃淡差が生まれない被写体を置くのは難しかったように思います。撮影時に露出等々を詰め切って撮影したカットがベストで、現像処理時に特定のパラメータを触れば、その他各種にも色濃く影響が及ぶ。そんなピーキーさがありました。新モデルでは、撮って出しの画が素晴らしいのは相変わらずなのですが、あと少しトーンを寝かしたい、あと少し色を転がしたい、そんなコントロールに余裕が生まれたように感じます。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

画素数が大幅に上がったことで、ピントを置いた部分のキレが感じられます。素の力を知りたくて、一旦ダイナミックレンジの拡張機能などはOFFで撮影していますが、輝度差があっても後処理の必要ない階調の再現力です。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

素晴らしい解像力と切れ味。硬いものを撮ってもサマになります。レンズの補正の類はOFF。周辺光量は落ちますが、OFFのほうがレンズらしい描写。必要に応じてONにすればよいと思います。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

現像時にほんの少しだけハイライト側を寝かせています。寝かせてしまうと、どこか塗ったような画になりがちなのですが、黒はきっちりと締まり、全体的にバランスの良い階調再現です。こちらもダイナミックレンジの拡張機能はOFFです。従来機に比べて、解像力と階調再現はより高い次元でまとまったなという印象。


FUJIFILM X100VI, Photo by K

フィルムシミュレーションが活きてくる

従来機でのフィルムシミュレーションも、もちろんそれぞれの銘柄のフィルムをよく再現できていたと思うのですが、それぞれのモードにセットして撮影しても、現像処理で「あとちょっと」手を入れたくなったのです。たとえば階調を少し締めたり、たとえばハイエストライトを少し寝かせるといったことです。入れたら入れたで、迷宮入りすることも多々ありました。X100VIについては、あまり後処理が必要だと感じません。上の海の写真はベルビアのモードで撮影していますが、もう本当にベルビアそのものです。むしろ当時フィルムで使った印象より良い。もちろん、フィルムとデジタルでは根本的に諸々の仕組みが違うため、厳密にはちょっと違います。フィルムならもう少しマゼンタが載り、粒状も感じられてザラッとした印象です。しかし、山ほど使ってきたベルビアの画の記憶そのもの。このように感じさせられる理由は、やはり画素数アップの余裕やその他チップセット(中身)の熟成がかなり効いているのだろうと思います。つまり撮影していて、フィルムシミュレーションの選択と結果だけにフォーカスできているわけですから。正直なところ「単なる色味と階調のセット」「映像の世界のLUTみたいなもんでしょう」と、デジタル黎明期からRAWデータと格闘してきて思っていたわけです。格闘の根底にあるのはフィルム時代の記憶で、それに近づけるべく「ああでもない」「こうでもない」と。ハード側の熟成を受けて、個人的に純粋にフィルムシミュレーションを素直に選択できるようになったなと思います。余談ですが、たとえばめちゃめちゃフラットな撮影データから、上の海のような写真に後処理で「やり切る」ことはないでしょうね。そう、ベルビアというフィルムはこれぐらい派手でした(笑)なんだか、久しぶりにこんな派手な画を見たな〜と。フィルムなら、もう少しハイライトは飛び、シャドウは潰れますが。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

こちらも「ベルビア」で撮影。自転車のフレームの色がこのカットの色味そのものなのですが、その他のモードだともっと彩度が落ちて、実車の色が再現できないのです。派手な色を再現したければ、実はベルビアが一番見た目にナチュラルに仕上がります。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

こちらは「ASTIA」。軟調気味とされたフィルムでしたが、私の記憶だとシアンに振れた色再現です。よく似ています。しかし世のレンズ開発者の皆さんは、フレアとゴーストの撲滅に躍起なわけですが、これを意図的に残しているのか、出しに行ってるのか。オールドレンズのように決して困るレベルでは毛頭ありませんが、面白いなと感じます。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

「PROVIA」。朝方撮影したものですが、窓の向こうはスカーンと飛んで仕方ないシーンです。ダイナミックレンジの補完機能はOFFです。シャドウもうっすらデータがきちんと残っています。

FUJIFILM X100VI, Photo by K

「ノスタルジックネガ」。個人的に一番好きなモードです。新モデルになって、ピントを置いたところの立体感が本当に増したと思います。実に美しいトーンと合わせて、撮り甲斐を感じます。


PHOTO YODOBASHI

完熟を感じさせるアップデート

いわゆる「高級コンパクト」というジャンルのカメラは希少な存在となりつつあります。このテのカメラはサブ機的に捉えている方も多いかと思いますが、正直なところ「これ1台だけ」というのは大いにアリだと思わされます。レンズは固定式ですが、35mm相当の画角は、見知らぬ街に持ち出すにはピッタリ。つまり最も潰しの効く画角だと思います。小さく軽いのは正義であり、納得の画作りも含めて、常に持ち歩くには本当によい1台だと思います。初代からなんだかんだ買ってきたモデルですが、AF等の進化も著しく、不満がありません。その上、映像方面の機能もなかなかなものがあります。値段の方もかなり「高級」となってしまいましたが、それに見合うリターンを感じさせられる進化でした。あれやこれやと買い続け、カラダひとつしかないのに一体何台のカメラが必要なの?と自問自答してきたわけですが、コレ1台持って、旅に出たくなる、そんな画力を感じさせられたテストでした。

  • PHOTO YODOBASHIX100Vをほぼ踏襲する外観。アルミニウムを採用した外装の質感は高く、ダイヤル類も切削加工された金属製。
  • PHOTO YODOBASHI2.5mmのステレオミニジャックはマイクとリモートレリーズ兼用。充電にも対応するUSB Type-Cに加え、HDMI Type-D端子も装備。
  • PHOTO YODOBASHI背面液晶は最大45度までチルト可能、収納時はボディとフラットになる。

( 2024.06.26 )

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