PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM INSTAX Pal / SHOOTING REPORT
デジタルの時代であればこそ楽しいインスタントフィルムの世界。富士フイルムの「チェキ」INSTAXシリーズはその筆頭といえるカメラですが、2023年10月に発売された「INSTAX Pal」はプリント機能を排した手のひらサイズのカメラです。プリント機能がなかったら、それは果たしてチェキなのか・・・と思われるかもしれませんが、そこは流石に富士フイルム。写真にはじまる楽しさをぎゅっと詰め込んだ、面白いカメラに仕上がっていました。
( Photography & Text : Serow )
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一番のポイントはこのサイズ。ざっくり4cmくらいの外形寸法に40gという重さで、大人の手のひらにすっぽりと収まってしまう丸っこい形をしています。目のように見える位置にフラッシュとスピーカーがあり、頭のてっぺんに電源ボタン、背中に撮影ボタンがあります。
35mm判換算16.25mm相当の画角ということで、手を伸ばして自撮りするにも無理がない広角レンズを備えています。撮像素子は1/5型、記録画素数は 2560×1920 ピクセルということですが、画質を云々するのは野暮というものでしょう。カテゴライズしてしまうなら「トイカメラ」。このサイズや使い勝手が、どういう撮影体験につながるのかが肝のカメラであります。
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このカメラのポイントのひとつは、スマートフォンとの連携でしょう。公式アプリを入れて起動すれば、カメラとのペアリングも簡単ですし、アプリを開くだけで自動的に写真の転送が始まります。だから基本的には、本体だけでパシャパシャと撮影をしておいて、たまにスマートフォンでアプリを開いて写真を移し、確認する、という使い方になります。
アプリの機能としてはリモート撮影、アルバム、編集など基本的な機能をしっかりと押さえているほか、生き物を思わせる本体がぴょんぴょんはねたり、仲良し度が変化していくなど遊びゴコロもたっぷり。トイカメラにこれだけしっかりしたソフトウェアが提供されるということは珍しく、小さくともしっかり「チェキ」なんだなと感心してしまいます。
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撮影自体は電源を入れて撮影ボタンを押すだけ。ファインダーはありませんから、なんとなく被写体に向けて撮影ボタンを押すしかありません。ボタンを押したときの音も「ポヨン」といった感じで、どんどん力が抜けてきます。結果として、普段では撮れない雰囲気の写真が撮れることになります。時折スマホアプリを起動して自動転送させて、写真を眺めるというタイムラグもいい。「あ、こんな感じで撮れてたか」とほっこりするしかないのです。スマホアプリからスマホ本体に写真を保存するとフチのついたPNG画像になるのですが、これもインスタントフィルムらしさが出ます。
instax mini LINK 2 を使ってプリントすれば「実物」に。やはりインスタントフィルムは、このモノ感が魅力だと思います。アプリを使ってデコレーションもできるのですが、できれば実物にペンで描きたい。チェキのインスタントフィルムは人気で品薄状態が続いているのですが、デジタルネイティブの若い世代が、わざわざコストや手間をかけてフィルムを楽しむという事実に、人類の本質を見るような気がします。
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このカメラ、子供に持たせるにも最適です。小さくて軽いから子供の手で持てますし、落としてもそうそう壊れるパーツがありません。「落とさないように気をつけて!」なんていう神経質な声がけをせず、のびのびと子供にカメラを楽しんでもらえるわけです。例えばお出かけの日、カメラを子供に持たせて、アプリは親のスマートフォンに入れておいたらどうでしょう。「どんな写真が撮れたかな?」なんて、一日の終りに一緒に眺めたら楽しいですよね。
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というわけで持たせたところ・・・さすがに2歳前の子供には難しいのか、こんな持ち方でボタンを連打。指が思いっきりレンズにかぶった写真を量産するのでした。それでも光と音が楽しいようで本人はご満悦。
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笑顔を生むカメラ
シンプルに「楽しいカメラ」だと感じました。何がいいかと考えれば「できることが少ないこと」ではないかと思います。難しいことはできないから、被写体に向けて撮影ボタンを押すしかありません。もちろん光の具合だとか、環境を整えることはできるわけですが・・・そもそもの画質に限界がありますから、そこで頑張る意味はあまりない。キッチリ自撮りしたいならスマートフォンのほうが簡単だし、高画質ですから。このカメラは「そういう撮り方」をしなくて済みます。家族や友人との時間を撮るとき、大事なのは何か。そもそもどうして写真を撮るのか。そんなことに思いを馳せると、この小さなカメラがグッと魅力を増すのです。そしてインスタントフィルムへのプリント。やっぱり写真がカタチになるのはいいですね。カメラやレンズを沢山持っている方でも、ポケットに INSTAX Pal をおひとつ忍ばせておくのはいかがでしょう。これを向ければ皆「それ何ですか?」と笑顔を向けてくれますよ。
( 2024.08.29 )
手のひらサイズの楽しいカメラ。本記事で紹介しているピンクのカラーはこちらです。
こちらはピスタチオグリーン。薄めのグリーンがどなたにも似合います。
男の子なら青色・・・という時代ではなくなりました。女の子にもぴったりのラベンダーブルーです。
かわいいカラーがラインナップされているなか、ホワイトは通好みの選択ですね。
ちょっと雰囲気の異なるジェムブラック。格好いいです。
各カラーでシリコンケースが用意されています。手にしたものを大胆に使うお子様には是非。
スマートフォンと連携してインスタントフィルムにプリントできるプリンター。これ一つで写真を楽しくシェアできます。
問題は・・・肝心のフィルムが品薄なこと。手配できるよう頑張ります。