PHOTO YODOBASHI
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FUJIFILM GFX50S II / SHOOTING REPORT
富士フイルム中判デジタルカメラGFXシリーズから新たな一台となる「GFX50S II」の登場です。本機は約4年半前に発売された、GFX 50Sの後継機種になります。前モデルからの変更点は、外観デザインがGFX100Sに準じたEVFが固定式になり、センサーシフト型手ブレ補正が搭載されました。さらに、画像処理エンジンは上位モデルのGFX100Sと同じX-Processor 4に刷新されたことで、より高速の画像処理が期待されます。それでも前モデルとほぼ同じサイズ感にまとめながらも、重量では若干の軽量化(920g→900g:EVF装着時)を実現できたのは流石です。GFX50S IIのセンサーはラージフォーマット(43.8×32.9mm)の有効画素数約5,140万画素です。5,000万画素クラスのフルサイズセンサーよりも1画素あたりの受光面積が大きくなり、ダイナミックレンジの広さや、豊かな階調表現が得られます。しかも一般的なフルサイズカメラのフラッグシップモデルよりも軽量な上、中判デジタルカメラとしても極めてリーズナブルなプライスで投入されたことは正直驚きでしかありません。様々な面において確実な進化を遂げたGFX50S II。期待に胸が高鳴るその写りと、使い勝手をじっくり確かめてきましたのでどうぞご覧ください。
( Photography : A.Inden / Text : Z II )
LOOK & FEEL
上位モデルのGFX100Sを彷彿とさせるボディデザインでEVFは固定式になり、洗練されたカメラらしいフォルムです。キットズームレンズと合わせるとバランスもよく実にコンパクト。左肩のモードダイヤルにはGFX100S同様C6まで用意されていて、様々な設定を割り当てられるので、シーンに合わせて瞬時に切り替えが可能です。
必要最小限のボタンやダイヤルを配置したスッキリとしたシンプルなデザイン。タッチ操作に対応した3.2型、約236万ドット。。
3.2型3方向チルト式液晶モニター。縦位置、横位置どちらでもローアングルとハイアングルの撮影が無理なく行えます。強力な手ブレ補正とボディが小さく軽くなったことで、その出番は増えそうですね。
OVERVIEW
スペックを一見すると、変わっていないようにも見えるかもしれませんが、しっかり進化しています。まずセンサーシフト式5軸手ブレ補正が新たに搭載され、最大約6.5段(GF63mm F2.8 R WR装着時)は過酷な撮影シーンで強力な味方になってくれそうです。画像処理エンジンも上位モデルの仕様に変更されています。フィルムシミュレーションは「ノスタルジックネガ」と「ETERNAブリーチバイパス」の2つが追加されました。しっかりと軽量化も図られ、かなり完成された内容ですが、価格を前のモデルより抑えてきたのは、ボディフレームや部品の多くをGFX100Sなどと共用することでコストを抑えたと想像できます。またラージフォーマット市場に対する富士フイルムの意気込みを強く感じます。
GFX50S II | GFX 50S | |
---|---|---|
発売時期 | 2021年9月 | 2017年2月 |
有効画素数 | 5,140万画素 | 5,140万画素 |
画像処理エンジン | X-Processor 4 | X-Processor Pro |
連写 | 最大約3.0コマ/秒 | 最大約3.0コマ/秒 |
ファインダー | EVF:0.5型有機ELファインダー 約369万ドット 視野率:約100% |
EVF:0.5型有機ELファインダー 約369万ドット 視野率:約100% |
液晶モニター | 3.2型3方向チルト式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター アスペクト比:4:3 ドット数:約236万ドット |
3.2型3方向チルト式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター アスペクト比:4:3 ドット数:約236万ドット |
サブ液晶モニター | 1.80型 4:3アスペクト303×230ドットモノクロメモリー液晶モニター | 1.28型 1:1アスペクト128×128ドットモノクロメモリー液晶モニター |
AF方式 | TTLコントラスト方式 | TTLコントラスト方式 |
手ブレ補正 | センサーシフト方式5軸補正 最大6.5段 | ー |
動画性能 | Full HD(16:9)(1920×1080)50Mbps 連続最大120分まで | Full HD(1920×1080)36Mbps 連続最大30分まで |
Bluetooth | Bluetooth Ver.4.2(Bluetooth low energy) 2402〜2480MHz |
ー |
フィルムシミュレーション | 19モード | 17モード |
入出力端子 | USB Type-C(USB3.2 Gen 1×1) HDMIマイクロ端子(Type D) 3.5mm マイク端子 3.5mm ヘッドフォン端子 2.5mm リモートレリーズ端子 ホットシュー シンクロターミナル |
USB3.0(High-Speed) HDMIマイクロ端子(Type D) 3.5mm マイク端子 3.5mm ヘッドフォン端子 2.5mm リモートレリーズ端子 DC IN 15V端子 ホットシュー シンクロターミナル |
電源 | 充電式バッテリー NP-W235 1個 | 充電式バッテリー NP-T125 1個 |
本体外形寸法 | W:150.0 × H:104.2 × D:87.2mm(最薄部:44mm) | W:147.5 × H:94.2 × D:91.4mm(最薄部:41.6mm) |
質量 | 約900g(付属バッテリー、メモリーカード含む) | 約825g(付属バッテリー、メモリーカード含む)、EVF装着時約920g |
PHOTO GALLERY
ラージフォーマットセンサーの画の凄さは、広い画素ピッチから生み出される階調の豊かさと滑らかさからきています。PCで100%まで拡大して見ると、文字がクッキリ読めるのはもちろん、光のわずかなニュアンスの描き分けや、ビルのディテールまで完璧に写し出されていることに驚きます。写真の画の凄さとは、階調が作り出すものだと改めて感じました。
水の透明感を見たままに出すというのは、デジタル撮影で再現するのに苦労する課題の一つです。朝、差し込む光で水が輝いていたので、透明感が際立って写るように背景や露出、シャッタースピードを変えながら何枚か撮った内の一枚です。リアリティのある描写が再現できました。
GFX50S IIとGF35-70mm F4.5-5.6 WRの組み合わせはとにかくコンパクトで軽く(900g+390g)、一日中持ち歩いても全く苦になりません。起動時間も0.4秒と速くサッと構えてサッと撮れるのは、今回採用されたセンサーシフト式手ブレ補正の信頼があるからです。エスカレーターに乗りながら上を見上げEVFでベストな瞬間をフレーミングして撮影。いつもの見慣れた場所も視点を変えるだけで新たな姿を見せてくれます。
赤の発色はデジタルでは難しく、ベタっとなりがちですが、暗部の赤から明部の赤までいろんな赤を再現してます。表面の艶感や微かな塗装むらまで触り心地が見て取れるほどの質感を描いてくれました。これはなかなか凄いです。
テレ端70mmで開放撮影。開放値はF5.6と数値的にボケ味を期待していなかったのですが、意外や意外ヌルっとした独特のボケ味がしっとりとした空気感を作り上げています。ラージフォーマットセンサーが生み出すボケ味は、予想を超える違う世界を見せてくれて面白いですね。
液晶をチルトして路面スレスレから狙うと、まるでコンデジで撮ったかのようなカットです。描き込みはさすがの高精細画質ですがラージフォーマットのカメラをこんなふうに自由なポジションで使えると撮影の幅が広がります。
窓に太陽が映り込んだ逆光の状態ですが、明部から暗部までしっかり残っています。これはセンサーのマイクロレンズに施されたカスタマイズにより受光性能が向上したことで、メリハリのある描写が直線を力強く表現し、画に強さをもたらしています。空がフジらしい色合いで気持ちがいいですね。
ISO 6400で撮影。同じ画素数であればセンサーサイズが大きいほど画素ピッチが広くなり、高感度特性が上がります。暗部にほとんどノイズがないのはもちろん、色乗りもよくクリアな画に仕上がっています。強力な手ブレ補正が採用されたことで夜景撮影も三脚なしで十分に楽しめます。
日中撮影をしていると逆光で液晶が見えにくいことがあります。視野率約100%、約369万ドットのくっきり見えるEVFで画面の隅々まで注意を払いながらフレーミングできます。走り回っている小さな子どももしっかりとAFが反応し、安心していいタイミングでシャッターを切ることができました。逆光の描写もクリアで抜けがいいです。
フィルムシュミレーションのベルビア/ビビッドで撮影。画像の調子を変えるモードは各社採用していますが、リバーサルフィルムで写真を覚えた方は、フィルム名を見て直感的に色味と調子が想像できるこのモードは使いやすいのではないでしょうか。個人的には、かっこいい写真を撮りたい時はベルビアを選択します。鮮やかな発色と高いコントラストで想像通りの仕上がりを見せてくれました。
撮影画像をPCで確認すると、この約 5,140万画素のGFX50S IIの描写性はまさに異次元。屋根の色、窓の形、走行中の車全てが立体感を持って緻密に描かれています。太陽が沈んだ後の柔らかい光の中で、ここまでのリアリティが出せるのは驚きです。これは解像力と滑らかな階調表現の絶妙のバランスが紡ぎ出した、他に類を見ない世界観を感じます。(画像をクリックすると原寸大を表示します)
約5,140万画素の解像感は素晴らしいものですが、もっと解像度が欲しい方、または必要な方には「ピクセルシフトマルチショット」を使うことで約2億画素を得ることができます。(画像をクリックすると原寸大を表示します)
この機能は1回のシャッターで16枚の画像を撮影し、それを専用のソフトで生成し1枚のデータに仕上げます。16回シャッターを切るので、光が一定でない自然光での撮影では成功率が下がるなど、撮影条件は限定的なのは要注意です。もし撮影に失敗したとしても16枚のRAWデータは残るので約5,140万画素のデータはしっかりとキープされます。
新たな時代を予感させる革命的なカメラ
これまで、フルサイズを超えるラージフォーマットカメラの存在は知りつつも、大きくて重いとか、オーバースペックな上に非現実的な価格であったりして縁遠い存在だったかと思います。しかしGFX50S IIはそんなイメージを一変させてくれるボディでした。サイズや重量は、一般的なフルサイズ一眼のフラッグシップモデルよりも軽く、ミラーレス化によって厚みもずいぶん薄くなり、コンパクトで扱いやすくなりました。画素数では約5,140万画素と十分過ぎるスペックで、フルサイズ機を上回る描写性能を実現していながら価格は50万円を切って出したあたりは富士フイルムは間違いなく勝負に打って出た感があります。フルサイズを超える異次元の写りは欲しい...だけど1億画素まではいらない、という方にもちょうど良いですし、長年Xシリーズで慣れ親しんだ方にも、ボディの操作やフィルムシミュレーションはそのままの操作感を継続できます。はっきり言ってこれはチャンスと言っていいでしょう。カメラ仲間に写真の出来栄えで差をつけたい方は、まずセンサーサイズを見直してみましょう。きっと一枚一枚に奥行きが増し、見る人を惹きつける写真が得られるはずです。さあ、準備はいいですか?
( 2021.10.01 )
時代はここまできました。フルサイズを超えるラージフォーマットカメラの異次元の写りを破格のプライスで手に入れましょう。
冷静にキットレンズの価格を計算してください。その写りの良さはすでにご覧いただいた通り。はい、迷わずにこちらをポチっとしてください。どうぞお幸せに。
センサーシフト式5軸手ぶれ補正の最大値6.5段を叩き出すというメーカー推奨レンズ。もう試さずにはいられないでしょう?
かなり長持ちする電池ですが、ボディが軽量ですから朝から晩まで撮れますので、電池の予備は必要ですね。
大きな液晶に傷がついたら大変です。守っておきましょう。
記録メディアは大容量のもを用意しておくと安心感が違います。2枚以上買っておくことをお勧めします。