PHOTO YODOBASHI
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TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD Model B023
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
広い焦点域をカバーするシステムを組む時に核となるのがズームレンズです。最近では高性能な高倍率ズームも出てきていますが、それでもカバーしきれないのが超広角域。今回ご紹介する「TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD Model B023」は、キヤノンのAPS-C型センサー搭載の一眼レフカメラに対応し、35mm判換算で約16-37mm相当という幅広い領域をカバーします。同じ焦点域の前モデル「SP AF10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical [IF] Model B001」の光学系を刷新した上に、手ブレ補正機構「VC」やAFをスムーズに制御するHLDモーターなどの最新テクノロジーを盛り込み、簡易防滴構造や防汚コートで守りを固めたとのこと。それでいてコンパクトさはしっかりとキープし、さらにお値段もほぼ据え置きなのです。すでにポチっても良さそうな感すらありますが、まずは実際使ってみてどうかを検証せねばなりません。超広角が活躍しそうなシチュエーションで試してまいりましたので、ご覧ください。
( Photography & Text : TAK )
パースペクティブを生かして煽り、ダイナミックな表現を狙う。超広角ならではのアプローチですよね。地面付近から見上げるシチュエーションですからもうこれ以上は引けません。それでも広角端でここまで被写体を取り込めますから狙い通りの表現ができました。手前の幹にフォーカスして絞り込んでみましたが、奥の方まで見事な解像で、大地に根を張る逞しさが伝わってくるようです。
スローシャッターで水流を白糸のように写す。一昔前なら三脚必須でしたが、強力な手ブレ補正が搭載された本レンズなら手持ちでOK。タムロンの手ブレ補正は「ファインダー像がピタッと止まって見える」印象を持っているのですが、このレンズも同様。撮る前から像が安定しているので、自信を持ってシャッターが切れるんですね。これ、非常に大切なことだと思います。なお、このショットは回折が出る直前まで絞ったものですが、更に絞って遅いシャッターを切ってもブレは確認できなかったこともご報告しておきます。
最短撮影距離はズーム全域で24cmという短さを実現していますが、これって並の広角単焦点よりも短いですよね。開放、テレ端(35mm判換算で37mm相当)で最短付近まで梅の花に寄ってみましたが、2~3センチほどの被写体がこの大きさで写ってくれました。スペック的にボケを期待するようなレンズではないとはいえ、前後のボケも好印象ではないでしょうか。フルタイムマニュアル機構の搭載により、AFでフォーカスした後そのままMFで微調整できるのも助かります。そのAF動作も静粛かつ高速。HLDモーターの恩恵をしっかりと感じることができました。
超広角を手にすると構造物も狙いたくなりますよね。こちらは関西屈指のジャンクションの一つ、久御山ジャンクションです。歩道も整備されていて色んな撮り方ができるのですが、今回は一般道と絡めてみました。もちろん実物はこれよりもはるかに巨大なのですが、そのスケール感と複雑なネットワークを表現するのには十分にワイドな画角です。高架下部鋼板やリベットなどの質感表現も実にリアルですね。
面白いと思ったものを、丸ごと撮れるのは気持ちの良いものです。
焦点距離により若干の歪曲が出ますが、超広角ズームとしては驚くほど少ないレベルです。気になる場合はソフトで補正できます。引き換えにコンパクトになっているのですから、持ち出す機会もシャッターチャンスも増えるというものです。
最新コーティングなどを採用したとあって、逆光耐性の高さは驚異的です。このような状況でもトーン再現に厚みがあり、コントラストの低下も感じられません。直接逆光、反射光を含め色んなアングルでいじめてみましたが、よほど斜めから光が入ってこない限りフレアやゴーストの出る気配もないのです。いや、自分の目の方がよっぽどフレアが出ています。
テレ端側は35mm判37mm相当。いわゆる準広角域のナチュラルな画角までカバーしてくれます。常用レンズにもいいですね。
足早に街に切り込んでいく。広角って楽しいですよね。
クラスを超越したウルトラワイドズーム
いわゆるレンズメーカーのレンズが「安くて写りはそこそこ」などと言われていたのが既に過去の話になっていることは、昨今のタムロン製品を見ればお分かりですよね。本レンズを様々な状況で試してみましたが、全域において特に目立った欠点もなく、様々な要求にしっかりと応えてくれる印象を持ちました。このクラスのズームとしては非常に良い出来かと思います。逆光耐性も含めた描写性能は完全にクラスを超えてきていますし、強力な手ブレ補正で低速シャッターや暗所での撮影も安心。しかも簡易防滴構造や防汚コートで持ち出せる場面も増えるとあってはケチのつけようがありません。ミニマリズム漂うクールな鏡胴デザインのおかげで文字や部品の視認性も向上しているのも良いですね。超広角を始めてみたいけれど中々踏み出せない方。画質を担保しつつ持ち出すレンズを減らしたい方。ドンと背中を押しておきましょう。
( 2017.05.16 )
よく写ってお値段もリーズナブル。そしてなんといっても手ブレ補正の有り難さ。「超広角でも絶対あったほうがいい」きっとそう思いますよ。
薄枠かつ、最高クラスの性能を持つ強化ガラス、ジュラルミン枠を採用。ダストフリーコート、ZRコート、ガラス外周黒塗り加工が施されるなど、大切なレンズを保護する信頼性の高いフィルターです。