PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Canon EOS R10 / SHOOTING REPORT
APS-Cサイズセンサー対応のミラーレスカメラ「EOS R10」を紹介します。一番の特徴は、幅約122.5mm、高さ約87.8mm、奥行約83.4mm、質量約429g(バッテリーパックとSDカードを含む)と小型・軽量なこと。この大きさに0.39型・約236万ドットのEVFおよびポップアップ式のストロボを搭載。手軽に持ち歩け、さまざまな撮影条件に対応できるカメラです。コンパクトなスタイルですが、EOS Rシリーズで培われてきた技術も継承。特に連写・追従性能は充実しており、メカシャッター時、最高約15コマ/秒はEOS Rシリーズで最速。AFはEOS R3から継承された被写体追尾機能と被写体検出機能を搭載し、高速連写中も被写体を捉え続けるとのこと。小さなボディですが、大型の握りやすいグリップによって撮影時の確実なホールドも担保されています。Rシリーズの高い技術をギュッと詰め込んだ本カメラ。その性能、使い心地をじっくりと試してきました。
( Photography & Text : A.Inden )
まずは高い解像感をご覧ください。新開発の約2410万画素のセンサーが建物、庭園の隅々まで緻密に描き出しています。影を濃くするために露出を切り詰めましたが、影の部分も完全に潰れることなく階調が残っています。
パソコンで拡大して落ち葉の微妙な色の変化を堪能しました。高い解像感と豊かなトーンが生み出す、丁寧な描写をじっくりとご覧ください。(画像のクリックで原寸画像を表示します)
輝度差がかなりあるシーンですが、ハイライトからシャドーまで階調がしっかりと残っています。マウント部の開口が大きいRFマウントだからこそ微細な光までセンサーに伝えることができ、その性能を余すところなく引き出しているのでしょう。
なんとも言えないしっとりとした描写です。新型のAPS-Cセンサーと映像エンジンDIGIC Xのコラボがここまで豊かなトーンを紡ぎ出すのでしょうか。フルサイズ機にも引けをとらない豊かな階調表現に驚きました。
OVFビューアシストをONにするとEVFが光学ファインダーのような自然な見え方に。このような輝度差がある条件でも、白飛びや黒つぶれが低減されファインダーの隅々まで確認できます。
ISO 2000で撮影。映像エンジンDIGIC Xにより夜景撮影も低ノイズでヌケのいい一枚に。高感度特性を確認するため、さまざまなシーンで撮影してみました。ISO 6400からシャドーに若干ノイズが乗ってきましたが、ISO 12800までは実用範囲ではないでしょうか。
メカシャッター+サーボAFで撮影。メカシャッター時、最高約15コマ/秒の高速連写はCanon Rシリーズで最速。サーボAFは一度捕らえた被写体を正確に追従します。電子シャッターに変えることで、最高約23コマ/秒の連写が可能になります。
サーボAFの追従の様子です。ピントのない状態から撮影を始めても、一度被写体を捉えると一瞬で合焦し追従を続けます。全部で14コマの連写ですが、離れていく様子がわかりやすいように5カットを選んでいます。
「流し撮り」のような経験とテクニックが必要なシーンも、モードダイヤルSCN(スペシャルシーン)を選べばカメラ任せで適切な設定にしてくれます。夜間ポートレイト、集合写真、料理など15種類のシーンや被写体をオート撮影できます。また内蔵されているクリエイティブフィルター(計10種類)を使うと、一味違う雰囲気の写真(静止画)を撮ることができます。
パノラマショット(スペシャルシーン)
キャリアに合わせた多彩な引き出しを持つカメラ
コンパクトで手軽に使えるカメラと思い撮影を始めましたが、想像以上の描写に「R10恐るべし」と素直に感じました。高画素をひたすら追求せず、センサーサイズと画素数のバランスをうまく取ることで、APS-Cセンサーでここまで高い解像感と豊かなトーンを持つ画になるとは。カメラ選びの基準が変わってきそうですね。想像を超えたといえばもう一つ、高速連写とAFの追従性能。高速連写は文中で紹介した通りメカシャッター時Canon Rシリーズで最速。それを支えるAFは、一度被写体を「つかむ」と、画面のどこに移動しようがピントを外すことがありません。またRAWバーストモードにすることで、シャッターボタンを全押しした瞬間の約0.5秒前からのプリ撮影も可能とのこと。高速連写とAFの機能だけでも、手にする価値があるのではと感じました。ハイスペックな機能に目がいきがちですが、カメラ任せで綺麗な写真が撮れるモードも充実。写真を始めたばかりの方を優しくサポートしてくれます。コンパクトなボディに多彩な機能が搭載された本カメラ。ながーく付き合うことができるパートナーとなってくれるでしょう。
- センサーと比べると大口径マウントRFの大きさがよく分かります。グリップの横にAFとMFの切り替えスイッチを搭載。
- モードダイヤル、メイン電子ダイヤル、サブ電子ダイヤルが右側にまとめられています。グリップが大きく張り出していて、ホールディング性は高いです。
- カメラの背面には大型3.0型で約104万ドットの高精細な液晶モニターを搭載。タッチ操作にも対応しています。ファインダーの右側にAFフレームを切り替えるマルチコントローラーを装備。
- 背面の液晶はバリアングル仕様で、水平方向に約175度、手前側に約90度、奥側に約180度回転。
- ポップアップ式のストロボが内蔵されています。GNは約6(ISO 100・m)、焦点距離約18mm相当までカバーします。
- 外部インターフェースはボディ左側にHDMIマイクロ端子、USB-Cデジタル端子、外部マイク入力端子、リモコン端子が配置されています。
( 2024.12.24 )
35mm判換算で29-240mm相当の高倍率ズームのセット。これ一本で一般的な被写体はほぼカバー。
そこまで望遠は使わないと思われる方は、35mm判換算で29-72mm相当をカバーするリーズナブルなこちらがお勧めです。