PHOTO YODOBASHI
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Canon PowerShot G9 X Mark II / SHOOTING REPORT
高画質と携帯性を両立させたプレミアムコンパクトカメラ、PowerShot Gシリーズ。中でもG9 X系は最も携帯性に優れ、そのフレンドリーさは同カテゴリでも群を抜いています。今回はその二代目となる「PowerShot G9 X Mark II」をご紹介。レンズにセンサーは先代「PowerShot G9 X」と同じとのことですから、どこが良くなったのかが気になりますよね。カタログをざっと眺めてみたところ、 新映像処理エンジン「DIGIC 7」の採用、連写速度の向上、手振れ補正の強化、カメラ内RAW現像対応などの盛りだくさんのアップデートが施されているようです。さっそく実際の恩恵を確かめるべく実写してきたのですが、結論から申し上げますと「DIGIC 7の威力、絶大なり」。高感度耐性を含め様々な面で画質が向上し、AF追尾性能なども進化したことで先代とは別物になりました。以下、全てカメラ内生成JPEG(1枚はカメラ内現像、それ以外は撮って出し)です。どうぞご覧ください。
( Photography & Text : TAK )
先代譲りの35mm換算28-84mm、F2.0(ワイド端)レンズ。汎用性に優れた焦点域にこの明るさですから、実に使いやすいですね。 ワイド端にズームアウトしてシロツメクサに近づき、主役全体がシャープになるようにF4まで絞っていますが、相変わらずの高い描写力です。緻密なフォーカス部と、絶妙にデフォーカスされた背景により、早朝の清浄な空気感が伝わって来ますね。
こういうカメラは「何も考えなくても」撮れることも大切。 撮影モードを「AUTO」にセットし、連写モードを最速の「Hi」にして、鴨川をぷらっと歩いてみます。と、そこにアオサギが登場。とっさに構えシャッターを押しっぱなしで追います。動体撮影をしながら背面液晶を見るのは厳しいものがあり、実際ほとんど見ることができなかったのですが、31点ものAF枠に秒間約8コマの連射ですからどれかがヒットしてるかなと。結果はこの通り。パッと構えてこれなら文句のつけようがありません。
小型で常に携帯可能なPowerShot G9 X Mark IIなら行動範囲も広がり、思わぬチャンスに居合わせる確率も劇的にアップします。プログラムモードでの撮影ですが、瞬発力が優先されるスナップではAUTOとともに積極的に選びたいモードです。ご安心ください。猫さんはお昼寝中です。
こちらもプログラムモードでの撮影ですが、カメラに任せっきりにできるのもやはりDIGIC 7のおかげでしょう。絶妙な塩梅のハイライトにグッと引き締まった黒のコントラストにこの解像感です。EOSシリーズが銀塩だった頃から、キヤノンのレンズが描く絵は実に塩梅が良く非常に使いやすかった覚えがありますが、定評ある絵作りは映像処理エンジンにもしっかりと息づいているのですね。
新機能をもう一つご紹介。メニューの「高輝度側・階調優先」を「D+」に設定すると白トビが軽減され、最低感度がISO 250になります。効果はしっかりと確認できましたし、どのみち白トビが避けられない状況でさえも有効です。白トビ部分の輪郭がクッキリと出てもおかしくないケースでも、「D+」にするとこのように輪郭が消えほんわりとした趣に。シャッタースピードも稼げますし、基本的にこの設定で撮っていれば問題ないでしょう。
高感度耐性も向上しています。ちょっと前のコンデジでは狙わなかった被写体をISO 1600で。先代のISO 800相当にまでノイズが制御された印象で、よりシャキッと見えます。ツヤ感の表現力も想像以上です。
こちらが RAWデータからカメラ内で絵づくりを調整した一枚です。オリジナルの撮って出しは1段以上明るめであっさりとした色味でしたが、小雨降る早朝のしっとり感を出すために露出をアンダー目にし、黄色味を足すためにホワイトバランスをオートから曇天に変えました。また、ピクチャースタイルをディテール重視にしつつ、濃度やコントラストも上げています。とはいえこうした芸当も、データの素性やレタッチ耐性や調整時の処理などがしっかりしていないと不可能ですからね。
カメラカメラしていない、貴重な高性能スタイリッシュコンパクト
「私、写真やってます」オーラを出さずに写真を撮りたい、でもキレイに撮りたいという需要は、ユーザーのレベルを問わず必ずあると思うのです。規模の縮小も報じられる昨今のコンパクトカメラ市場の中にあって、「カメラでござい」的なルックスを捨てつつ高級機の中身を詰め込んだPowerShot G9 X Mark IIは大変得難い存在で、立ち位置もしっかりしています。DIGIC 7をはじめとするアップデートの恩恵は想像をはるかに超えるレベルで、集光効率の高い裏面照射型のCMOSセンサーの実力を一層高い次元で引き出してくれます。一応PCでの現像も試みたのですが、撮って出しJPEGを見てこれで十分いけると判断しての今回の作例なのです。「星空」や「トイカメラ」などのスペシャルシーンモードでお好みに合わせた撮影もできて楽しさも満載ですし、スマホなどとの連携もBluetoothにNFCにWi-Fiと三段構えの頼もしさ。まさにこれ一台で撮影からアウトプットまで完結できてしまうのです。技術の力はすごいですね。ふとアルバイト時代にオートボーイを売っていたことが思い出され、隔世の感に堪えません。今夜はしみじみ呑もうと思います。(笑)
( 2017.09.14 )
立派なメインをお持ちの方には、コンパクトカメラはむしろこれくらいが良いかと。とにかくカンタンでキレイに撮れて小さいものをお望みの方にもピッタリです。
今回テストさせていただいたシルバー。これがまたオシャレで、どんなシチュエーションにでも持っていけそうですよね。よりカジュアルにという方にはこちらをオススメします。
ハンドストラップ付きのケースです。色はブラックとなります。
こちらはブラウン。撮影時以外はバッグに入れておきたい方に。
装着したままで撮影ができる速射タイプのケース。両吊りタイプのストラップ付きです。
リチウムイオンの充電池です。電池のもちについて不安になることはありませんが、予備バッテリーがあればより安心して撮影できます。