商品画像はサンプルです。
実際の商品とは異なる場合がございます。

カメラボディを作るメーカー純正レンズではなく、あのカール・ツァイスから「Touit 2.8/12」「Touit 1.8/32」という全く新しいレンズがリリースされました。レンズ銘板には、それぞれ「Distagon 2.8/12 T*」「Planar 1.8/32 T*」と記されています。どちらが正式名称??と思ってしまいますが、カール・ツァイスによると、レンズ名称は全て「Touit +"開放値/焦点距離"」となるそうです。適合マウントはFUJIFILM Xマウント、SONY E-MOUNTとなります。SONYの場合、純正のラインアップにカール・ツァイスブランドのレンズが存在します。少々ややこしいのですが、こちらはカール・ツァイス本体が直接リリースするレンズとなります。ミラーレス機が世の中に登場してからしばらく経ちますが、日本のレンズメーカーによる互換レンズの登場に次いで、カール・ツァイスまでリリースしてくるとなると、ミラーレス機もすっかり市民権を得たのだなあと感慨深いですね。両マウントともに、画角は35mmフルサイズ換算で、約18mm/50mmの2本となり、気になってる方も多いのではないかと思います。私たち編集部も、フォトキナでその姿を確認してから、テスト撮影が楽しみで仕方ありませんでした。今回3人がかりで各マウント別にロケを行いましたので、早速その模様をお届けしたいと思います。以下のバナーをクリックして作例とインプレッションをご覧ください。

 

CONTAX一眼レフ用のディスタゴン 21mm F2.8の画を一番最初に見たような、そんな興奮を覚えました。再現可能なレンジの中で、みっちりと濃密に描かれる階調。しかし美味しいのはピンポイントで、撮り手の腕も求められるレンズでした。ツボにハマった時の参ってしまいそうな美しさが脳裏に焼きついて、ともかくトライしたくなるレンズでした。本レンズは、その名玉を現代の技術で完全に抜き去ったといえるような、凄みのある1本だと感じます。しかも前述の名玉に比べ、格段にイージー。何も特別なことをせずとも、シャッターを単に切るだけで、その凄みを感じられます。絞り開放から猛烈にシャープで、ともかく文句無しのキレ。ツァイスといえば、独特の"ヤニっぽさ"(人によっては"コクのある"という表現でしょう)が特長の一つだと感じますが、素晴らしいヌケのよさ。かといって、画が薄っぺらくなるというわけではありません。このあたりは作例でご確認ください。焦点距離のわりには、嫌なデフォルメーションが少なく、安心して振り回せます。風景撮影から、都市光景の活写、開放が明るいのでワイドで撮るポートレートなども面白いと感じます。ぜひ手にして欲しい1本、このレンズのためにミラーレス機が欲しくなる、そんなヤバい画を叩き出してくれます。

Planarとはなんと甘美な響きでしょうか。レンズグルメな皆さんには、恐らく同じような印象をお持ちの方も多いと思います。元々Planarという名前は「平坦な」「まっすぐな」といったところに由来します。今から100年以上前に(記憶が正しければ1896年・明治29年)パウル・ルドルフという人が作り上げたのが最初。当時、基本的な収差である球面収差などは良好に補正されるようになっていたようですが、像面湾曲などは未だ解決されていない状態でした。画面の平坦性(均質感)を得るのが難しかった時代であったと言えます。ルドルフは、ガウスタイプの構成に幾つか手を入れることでPlanarを生み出しました。当初はPlanarも色々な問題を抱えていましたが、硝材やコーティングの進化で、それまでのレンズが抱えていた問題をクリアするに至ります。実は現代の様々なメーカーからリリースされている、いわゆる標準レンズと呼ばれるものは、このPlanarの流れを汲んでいるといえます。そんなことから、ある種「標準レンズの祖」みたいな存在とも言えるのがPlanarなのです。前置きが長くなりましたが、そんなPlanarがミラーレス機で使えるというだけでニンマリしてしまいます。描写のほうは、開放で十二分に実用的なシャープさを持ちつつも、柔らかさを伴う、期待を裏切らない描写。柔らかいボケ味も素晴らしく、Planarという名のとおり画面周辺まで均質な画を作ります。作例で確認できると思いますが、バックとの距離によってはクセが出るあたり、このあたりも実にPlanarらしい描写です。このクセも上手く味方に付けると、絵画的な表現に用いることもできます。FUJIFILM Xシリーズも、SONY NEXシリーズも、階調が豊かで、ポジフイルム的なガンマを感じさせ、シャープな像を結ぶ、好い画を作るカメラです。叩き出す画がよければ、よいレンズを奢ってやりたい。そんなときに、Planarというチョイスができること自体が嬉しいですよね。

パッケージは、やはり性能と価格を感じさせる力の入った仕上げ。レンズのデザイン自体は各マウントで同一なのですが、FUJIFILM X-MOUNT用は絞り環がレンズに備わりますが、SONY E-MOUNT用にはありません。それぞれのボディにマウントした姿はなかなかのものです。