PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

TTArtisan Tilt 50mm f/1.4

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

個性的で趣味性の高い光学製品を多数リリースしている中国・銘匠光学の「TTArtisan Tilt 50mm F1.4」を紹介します。本レンズはフルサイズのイメージサークルをカバーしたチルト(ティルト)レンズとなり、開放値F1.4の大口径標準レンズとしても使える1本です。チルト機構を持ったレンズというと、キヤノンやニコン等にある製品を思い浮かべましたが、EFマウントやFマウントにあったものは、光軸を曲げることで被写界深度のコントロールが可能な「チルト機構」に加え、光軸をセンサー面と平行にずらすことで歪みのコントロールが可能な「シフト機構」の両方に対応しています。一方で本レンズはチルト機構のみとなり、そのぶんシンプルな構造で済むことから、形状も一般的なレンズに近いものとなっています。

そのチルトレンズで撮影されたものとして、多くの方がミニチュア風写真を思い浮かべるであろうと思います。馴染みがないという方にはインスタグラムの「ティルトシフト」にある「直線」の加工を光学的に実現するものといえば理解できるでしょうか。複雑な構造のチルト・シフトレンズの多くはとても高価であり、興味があってもなかなか手を出しにくいものではありましたが、本レンズはなんと3万円台という驚きの価格。主力のレンズとは別に「ちょっと遊んでみたい」という需要にも応えてくれる魅力的な1本です。

( Photography & Text : Naz )

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

PHOTO YODOBASHI10m以上離れた被写体、普通に撮れば開放でもサムネイル画像(画像のクリックで大きな画像を表示します)のように周辺までしっかりと描かれてしまいますが、光軸をチルトさせ大きくぼかすとミニチュアのように見えてきます。同じ色、同じ彩度でもチルトさせた画像の方が、ミニチュアのように鮮やかに見えるのが不思議です。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

今回のロケでは、被写体を見下ろせる撮影ポイントを巡って撮影。こちらは羽田空港・第二ターミナル。フレーム内に人物を複数配置するとジオラマ感が高まる気がします。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

大きな航空機も、コックピットのウィンドウのところのみにピントを置けば、いつもとは異なる雰囲気の写真に。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Nazチルトした状態でレンズを360度回転させられますので、ピントを合わせておきたい方向やぼかしたい方向を任意に調整可能です。普通に撮ったのならば左右の看板や窓の文字に目を奪われてしまうところですが、遠くに見える高層ビルの壁面の大時計にピントを合わせ、手前にある左右のビルを大きくぼかすことで画面を整理してみました。ミニチュア的に撮る以外にも、こういった情報量が多い構図をシンプルに仕立ててしまうことも可能です。一般のレンズに比べ、チルトレンズはイメージサークルを大きく取っていますが、このカットではチルト量を最大値(8度)としたせいか、画面右側の隅が少し蹴られたようで暗くなりました。

なお、チルト量は無段階に調節可能で、ネジによりロック可能。レボルビング(回転)機能は15度毎にクリックストップがあり、こちらもネジによりロック可能でした。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

しっとり柔らかい描写をするレンズだけに、ミニチュア風の夜景も雰囲気が出て楽しいです。


SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

ここから3枚はチルトさせない状態で撮影しました。普通の50mm F1.4のレンズとなるわけですが、最新の高性能な50mmとは異なる雰囲気重視の写りといいますか、いい感じに緩さがあっていいですね。開放ではややほわっとした甘い描写となりますが、1段絞るだけでピント面がキリッと立ち上がってきます。レンズ構成は6群7枚のダブルガウス型で6~7枚目に高屈折ガラスを採用しているのとのこと。絞り羽根は12枚。レンズを覗き込み絞りを動かしてみると、ほぼすべての絞り値で円形に近い形状を保っていました。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

しっとりとしたウェットな描写がいいですね。チルト専用としてだけ使うのはもったいない写りです。張りのある革のサドルや深いグリーンに塗装されたフレームの質感、波のような加工がされたアルミの泥よけ等、それぞれの素材をうまく表現してくれています。シルバーの金属パーツの縁に色収差が見えますが、気になるようであれば後処理で解決させましょう。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

最短撮影距離は0.5m。一般的な50mmレンズより少し長い程度ですからほぼ同じ感覚で扱えます。歪曲収差はご覧のようにややタル型。

SONY α7R V, TTArtisan Tilt 50mm f/1.4, Photo by Naz

F2.8まで絞ると画面が安定してきます。このカットではF5.6まで絞りましたが、線が太くならないのはいいですね。レンズをチルトさせ、前景と後景を被写界深度外に。手前のボートを浮かび上がらせてみました。絞るとボケ量も減少し極端ではなくなるため、不自然な感じはほとんど見られないように思います。


PHOTO YODOBASHI

多くのミラーレスカメラでチルト撮影を気軽に楽しめる1本です。

PHOTO YODOBASHIいかがでしょうか。ミニチュア風の写りを楽しむチルトレンズとして、ちょっと懐かしい一眼レフ時代の50mm F1.4を彷彿とする写りのレンズとして、そのどちらを重視しても楽しめる1本に感じました。レンズ鏡胴は総金属製で質感もよく、各部の操作感も滑らかであるなど、満足度はお値段以上。メカメカしい見た目的にも格好いいフォーカスリングと絞りリングは、ギアに対応した歯車形状となっており、フォローフォーカスの装着にも対応しています。絞りリングもクリックがない無段階に調整可能なタイプとなっていますから、本格的な動画撮影での使用も想定されているようです。

今回のレビューではソニーEマウント版を使用しましたが、他にもキヤノンRFマウント、ニコンZマウント、ライカLマウント、富士フイルムXマウント、マイクロフォーサーズマウントとミラーレス系のマウントを網羅していますから、手軽に楽しめるチルトレンズとして多くの方におすすめしたいです。なお、レンズにはカメラと連動する接点はありませんので、ボディ内手ブレ補正を使用する際には、カメラ側で焦点距離を「50mm」に設定する必要があります。

( 2024.06.13 )

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価格以上、想像以上に楽しめました。ソニーEマウントはこちら。

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キヤノンRFマウントにも対応しています。

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ニコンZマウントでも遊べます。

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ライカLマウントでもどうぞ。

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富士フイルムXマウントでは、フルサイズ換算75mm相当の画角でお使いいただけます。

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マイクロフォーサーズマウントでは、フルサイズ換算100mm相当の画角でお使いいただけます。

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