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SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

タムロンのベストセラーモデル90mmマクロに、ミラーレス対応モデル「TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072」が加わりました。1979年に「マクロ域からポートレイトまでこなす中望遠が欲しい」という要望に応え発売されたのが初代Model 52B。全撮影域での高い解像感と柔らかいボケ味へのこだわりが評価され、撮影者から親しみを込めて「タムキュー」の愛称で呼ばれ、タムロンの看板レンズの1本となりました。その後、デジタル化、高画素化の流れに合わせたモデルチェンジを経て、ついにミラーレス専用設計での登場。 待ちに待ったという方も多いのではないでしょうか。

11代目となる本レンズは、初代の登場から連綿と受け継がれてきた、高い解像感と柔らかいボケ味を併せ持つ描写を、最新の技術でさらにブラッシュアップ。異常低分散ガラス4枚を含む12群15枚のレンズ構成により、軸上色収差及び倍率色収差を徹底的に抑え開放から高い解像感を実現。球面レンズのみのレンズ構成はボケ味へのこだわりを感じます。そしてタムロンで初めて12枚の円形絞りを搭載し、絞り値に関係なく美しい玉ボケが得られるようになりました。AFは、リニアモーターフォーカス機構VXDを搭載し、高速で静かな動作で確実なピント合わせができ、等倍マクロから遠景までストレスなく被写体を狙うことができます。さらに使いやすく進化した「タムキュー」を、等倍(1:1)の世界から遠景まで、その描写をじっくりと試してきました。

( Photography & Text : A.Inden )

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

開放から解像感が高いキリッとした描写です。曇りの弱い光での撮影ですが、葉脈の浮き出た様子を立体感たっぷりに写し出しています。そして柔らかくとろけるような前後のボケ味が、被写体をスッと浮き出させています。手触りや質感、温度、湿気までも感じられるようなリアリティのある写り。手で触ればカサッと音がしそうな感じですね。このカットにマクロ域の描写の凄さがギュッと凝縮されています。(原寸画像を用意しました画像をクリックしてご覧ください)

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

90mm望遠マクロの程よいワーキングディスタンスを活かしてトンボを撮影。飛ばないかとドキドキの撮影でしたが、素早く静かなAFに助けられました。拡大して驚いたのは、複眼がしっかり写っていること。画像のクリックでトンボの目のアップをご覧ください。

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

最短撮影距離23cm、撮影倍率は1:1で撮影。開放からピントピークはシャープで立体感が十分にあり、マッチの先端の凹凸までしっかりと再現されています。背景のボケも柔らかく自然で、伝統ある「タムキュー」を彷彿させる写りです。ここまで寄った状態でも、レンズ先端からピントピークのマッチの先まで約9cmあり、付属のフードを付けたままでも撮影が可能でした。

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072,A.Inden12枚の円形絞りの効果により開放から1段半絞ってもご覧の通り美しい円形を維持しています。タムロンによれば、1:1~1:4のマクロ撮影時に完全な円形の玉ボケが得られるとのこと。こだわりの球面レンズ構成により、美しい玉ボケとなっていますね。サムネイルは開放での撮影で周辺に口径食が見られますが、1段絞ることにより概ね解消しました。(拡大画像を用意しましたサムネイルをクリックしてご覧ください)


SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

サラサラとした髪の毛、日にやけた肌、シャツの柔らかな皺が、豊かな階調で丁寧に描かれています。マクロレンズというとキリッとシャープな描写を思い浮かべる中、本レンズはシャープさの中に柔らかい描写を残していて、ポートレート撮影に向いているなと感じました。細かな波が立つ複雑な背景でしたが柔らかなボケでシンプルに変えてくれました。

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072,A.Inden

中距離での描写を見てみましょう。波飛沫の様子が高精細に捉えられています。高い解像感でマクロ域と変わらないキリッとした描写が素晴らしいです。(原寸画像を用意しました画像をクリックしてご覧ください)

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

逆光ですが十分なコントラストがありクリアでヌケのいい描写です。色再現も自然で気持ちいいですね。

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden

マクロ撮影のみならず、中望遠レンズとしてシーンを切り取るのも楽しいものです。右側のミラー壁に反射し、シンメトリーな構図になっていたのでパチリ。様々な素材が複雑に絡み合う都市は、いつもと少し視点を変えると思いがけない写真が撮れるので、ぜひ持ち出してみてください。

SONY α7 III, TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD Model F072, Photo by A.Inden


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タムロンの伝統を引き継いだオールマイティーなマクロレンズ。

ミラーレスシステムに対応となった新しいタムロンの中望遠マクロレンズが持つ美しいボケ味と立体感たっぷりの描写に、マクロレンズを使っていることを忘れるような感覚が何度もありました。もちろん作例をご覧いただいた通りマクロ域のピントピークはマクロらしいカリッとした描写です。そのマクロ特有の少し硬めの描写を、中望遠マクロの被写界深度の浅さと美しいボケがいい塩梅に作用し、柔らかな描写に仕上げているからなのでしょうか。描写もそうですが、操作性の良さもマクロレンズとは思えないものでした。マクロ域から遠景までスムーズに合うAF、インナーフォーカスによって変わらない全長、コンパクトで軽量(全長126.5mm、質量630g)と気軽に扱える仕様に。今回のレビューを通じて、特殊な用途と思われがちな等倍まで撮れるマクロレンズが、美しいボケ味とスムーズな操作性を持つことでオールマイティーになったように感じました。「多くの方に愛されるマクロレンズでありたい」というタムロンの想いがしっかりと受け継がれたレンズですね。中望遠のフィールドで近接から風景・ポートレートまで自由自在に撮りたいのなら、本レンズを選んでみるのが正解なのかもしれません。

( 2024.10.24 )

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タムロンの看板レンズ「タムキュー」がミラーレス対応になってついに登場。迷わず購入ですね。

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グッと寄るマクロ撮影にプロテクトフィルターは必需品です。

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