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SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ミラーレンズをご存知でしょうか。ミラーレンズとは鏡胴内に鏡を配置し、その反射を利用することで全長を短く軽量化を可能にしたレンズです。近年ではあまり見かけなくなりましたが、歴史は古く17世紀に考案された天体望遠鏡がルーツといわれ、有名なハッブル宇宙望遠鏡もこの構造を用いています。今回ご紹介する「Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF」はミラーレンズ構造を採用したAPS-Cセンサー専用設計のマニュアルフォーカス式単焦点レンズです。35mm判換算にすると1350mm相当と他に類を見ない焦点距離を有していますが、これほどの超望遠でありながら全長:168mm、重量:725gと驚くほどのコンパクトサイズと軽さを実現しています。ミラーレンズは構造上、色収差が発生しないメリットがある一方でフレアが出やすい欠点があります。本レンズを含むトキナーの「SZ PRO」シリーズは遮光環の配置を最適化することにより、不要な光を最小限に抑えクリアな画質を実現しているとのことです。ミラーレンズ特有のリングボケを使った表現や最大0.4倍のマクロ撮影も可能で、好奇心をくすぐる一本になっています。コンパクトな超望遠ミラーレンズがどんな写りを見せてくれるのか確認してみましょう。

( Photography & Text : Z II )

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

1350mm相当のレンズだからこそ普段撮れないものにレンズを向けてみました。賢くて警戒心が強いハシボソガラスは近づいてレンズを向けると逃げられてしまいます。30mほどの距離がありましたが、このサイズ感で自然な姿を撮ることができました。ピントの山は見やすく止まってさえいれば、マニュアルフォーカスでも合焦に手間取ることはありません。また、トップ画像のシマリスは10cmに満たない小ささですが3〜4m離れた位置から、ここまで大きく写せるので毛並みや艶やかな眼もしっかり描写できています。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

普段撮れないものが撮れる代わりに、画角に収まりきらないものも出てきます。地上の機体全体を画角に収めるのは本レンズでは難しく、機体を切り取って迫力を表現する撮り方がよさそうです。圧縮した背景が高い気温によるゆらぎで、いっそう暑さを感じさせます。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

肉眼では豆粒ほどのサイズになる遙か遠くに飛んでいる機体も、本レンズを通して見れば尾翼の文字まで見えます。数キロ先の被写体を狙う感覚は、まさに望遠鏡そのものですね。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

では質感表現を確認してみましょう。金属メッキや塗装の艶感を豊かに表現しているのがわかります。本レンズでクルマ全体を画角に収めるには100m以上の距離が必要になるので、部分カット程度が現実的です。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

遠くにあるものをギュインと引き寄せるだけでも単純に面白いものです。なかなか近づけない特徴的な建物を大胆に切り取ってアートな作品に仕立てることもできそうですね。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

手前の提灯までおよそ100mの距離です。さらにその先の提灯まで250m離れています。肉眼とは見え方がまるで違っていて初めは頭が混乱するのですが、だんだんそれが楽しくなってくる中毒性のあるレンズです。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

ピントリングを微調整するとミラーレンズ特有のリングボケが得られます。しかし猛烈に狭い画角の中にピントの合うところと、ぼかすところを同時に収めるのは意外と難しいことがわかりました。実際にやってみないとわからないことは多いものです。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II

最短撮影距離は2.61mと、それが近いのか遠いのか、もはや感覚がおかしくなるほどの焦点距離に悪戦苦闘しました。作例は最短撮影距離まで寄った(もしくは離れた)蓮の花。立体感や質感も十分得られますが一般的なマクロレンズとは少し違った柔らかな味わいのある描写です。

SONY α7 III, Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF, Photo by Z II


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超望遠1350mm相当が軽量コンパクトに手に入るミラーレンズ

本レンズの魅力は1350mm相当の圧倒的な画角がコンパクトなサイズで得られることです。この肉眼をはるかに超える画角や圧縮効果に初めは少々困惑しましたが、慣れてくると遥か先の景色を見定めるスナイパーのような撮影スタイルは新鮮でワクワクさせてくれました。描写は近接から100mほどはシャープな線を描いていますが、それ以上の距離になると空気のゆらぎもあり少しモヤっとする印象です。とはいえ現代のミラーレンズがここまでよく写るのは正直感心しました。ですが、使用してみて気づいた注意点もあります。マニュアルフォーカスであることや手ブレ補正が不搭載(ボディ側との接点がなくボディ内手ブレ補正の効果は限定的)なため動く被写体は難しいこと、絞りがF11固定ですから光量が十分でない場面では、三脚もしくは一脚がないと手ブレが心配な点です。それらを理解した上でお使いになれば「Tokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CF」は1350mm相当の圧倒的な超望遠に加え、特有の描写やリングボケをお楽しみいただけます。

( 2024.09.25 )

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1350mm相当の超望遠で何を撮るか。驚異的な望遠域によりアイデア次第で見たことのない表現が見つかるかもしれませんね。

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「SZ PRO」シリーズの最もコンパクトタイプ。手のひらサイズですが450mm相当と、すでに超望遠域。このサイズならバッグの隙間でも嵩張りませんね。

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こちらはペットボトルほどのサイズ感で900mm相当の画角を得られます。1350mm相当は長すぎる方ならこちらをお勧めします。

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