PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
ZHONGYI SPEEDMASTER 50mm F0.95 III vol.1 vol.2
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
「ZHONGYI」と書くより、「中一光学」の方がピンと来ると思います。その中一光学の「SPEEDMASTER 50mm F0.95 III」です。今回使用したソニーEマウントに関して言えば、発売は2019年5月。つまりちょうど3年前。さらに「III」ということは「II」や「I」があったわけで、若干の、いや、大いなる「今さら感」はございますが、ここに初のシューティングリポートをお届けします。
2022年5月現在、F1.0未満のフルサイズ用レンズは4つあります(ヨドバシカメラ取り扱い。マウントのバリエーションはカウントせず)。本レンズは、このうちもっとも買い求めやすい税込92,000円。一番高いレンズが150万円オーバーですから、そこには16倍の開きがあり、まずはこの事実だけでも相当なインパクトがあります。
というわけで相対的にはかなり安いレンズ(比較の対象が極端な例であるにせよ)ではあるのですが、92,000円という金額だけみれば、依然として高額なお金であることには変わりありません。私たちが常に気にしているのは、相対的な高い/安いではなく、この金額がお財布から出ていった結果として、それに見合う満足が得られるのかどうか? ということであるハズ。今回のリポートはそのあたりを気にしつつご覧いただければと思います。
当然ですが、オール絞り開放です。
( Photography & Text : NB )
F0.95のレンズに求めるものって何でしょうね? つい10年ぐらい前までだったら、単純に「明るさ」だったかもしれませんが、高感度特性の良好なセンサーが当たり前になった今、その答えに説得力はありません。となると、あとは「描写」以外には無いことになります。F1.4あたりのレンズには逆立ちしてもできないような写り。これが当たり前の、特徴のない写りだったら、私なら心底ガッカリします。
後ボケは遠くなるほどクセが強くなるように感じましたが、ピント面から僅かに外れたあたりのボケ方は、まさに「ピントがとろけていく」という表現がぴったりです。「蕩ける」と漢字で書いた方がフンイキでしょうか。かと思えば、被写体とのディスタンスをちょっと取れば、線の細い、シャープな写りも見せてくれます。
先に「開放の明るさそれ自体は、もはやハイスピードレンズの武器ではなくなった」という意味のことを書きましたが、それでも夜の街はこの手のレンズがもっとも生き生きする場面と言ってもいいかもしれません。特に雨の夜、アスファルトが光って縦横無尽に乱反射するさまなどは、むしろこういうレンズだからこその面白さがあるように思います。F0.95ともなると、コントラストも彩度も低い、寝惚けたような写りを想像しますが、意外にも色乗りはこってりでコクがあります。コントラストもじゅうぶんに高いので、薄いピント面が作り出す立体感をスポイルしません。でも開放での流し撮りはちょっとキビシかった(笑)
ズバリ!これは買いでしょう
「150万円は出せない。でもF0.95の世界がどうなっているのか、それは知りたい」という人がほとんどでしょう。レンズ1本に150万円をぽんっと出せる人なんてそれほど多くはないと、私は信じたい(笑)。というわけで、その大多数のみなさんに対して結論を申し上げると・・・このレンズはお買い上げになった方がよろしいかと存じます。
そりゃあ「150万円のレンズと何も変わりませんよ」なんて、口が裂けても言いません。しかしこれがF0.95の世界を知るには役不足か? と言われれば、断じてそんなことはありません。「F0.95の世界ってこうなってるのか!」ということはこれでお釣りが来るほど分かりますし、その何物にも代え難い「経験と見識」を得るための対価が92,000円だとするなら、これはとても見合った金額だと私は思います。
このレンズで満足するも良し。さらなる高みを目指して150万円の工面に走るも良し。いずれにしても「U-1.0」の入口がこのレンズにあることは、どうやら間違いないみたいですよ。
( 2022.05.26 )
これで貴方も「Under 1.0」の仲間入り!実際に使ってみないと、何も語れないのです。
0.95ですからね!奮発しましょう!(よくわかりませんが)