PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマが50mm単焦点レンズを刷新、SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art の登場です。Artシリーズとしてリリースされた同スペックのレンズとしては2世代目となります(初代は50mm F1.4 DG HSM|Art)。同社がユーザーのニーズに応えすぎて(?)同じような焦点域のレンズが複数ラインアップされ、なかなかカオスな状態だったのを「Art」「Sports」「Contemporary」3つのコンセプトのプロダクトラインに整理統合することを発表したのが2012年。当初単焦点レンズとして最初にリリースされたのが35mmだったと記憶していますが、初代の50mmが発表されるのを未だか未だかと待ったものです。思い返せば、各メーカーがデジタル対応に追われて単焦点レンズの刷新を初めた頃です。その中でもシグマが「Artシリーズ」と銘打って単焦点レンズを矢継ぎ早にリリースしていったのは、プロダクトとしての磨き上げはもちろんのこと、ブランディングの面でも、1つ頭抜けた新鮮なイメージをマーケットに植え付けたといってよいでしょう。昨今のズームレンズの描写に文句はないわけです。そんな中でわざわざ単焦点レンズを手にするユーザーは、明るさの話はあるとしても趣味で手にするプロダクトである以上、やはり「趣き」と「味わい」が物を言うわけですから。50mmといえば、レンズラインアップの中での1つの顔みたいな存在です。初代もそれまでの50mm単焦点の世界の中で、新たな境地を切り開き、魅せてくれた1本でした。2014年から10年近くの時を経て、現在のシグマが「50mm F1.4」をどのように解釈してプロダクトとして具現化してきたのかを楽しみにテストしてきました。作例を交えてご紹介したいと思います。

( Photography & Text : K )

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

趣きのある描写

メーカーさんには申し訳ないのですが、古くて四の五のうるさいカメラ&レンズ偏愛者でして、電子的な補正はあえて切らせてもらって現像を行っています。補正を切ると、軽い糸巻きの収差が見受けられます。F1.4というスペックですから周辺光量はそれなりに落ち込みますが、かなり健闘していると思います。先代よりレンズ自体のボリュームが小さくなってますから。なお、RAWを現像ソフトに読み込んだ時点で、歪曲も周辺光量もキレイに補正されています。・・が、私にとっては補正なしのほうがレンズらしい描写と感じますし、そもそもの実力が極めて高い!文字面となると、なんだ歪曲があるのか、周辺が落ちるのかと、見た目には刻まれるのですが画を見てご判断いただければと思います。生後4ヶ月の赤ちゃん、頬ずりしたくなるような肌の質感や立体感、ただすっと溶けるだけではない後ろボケ。ほどよく落ちる周辺光量。やはり、50mm F1.4というレンズは特別なレンズですよね。この焦点距離とF値だけの世界があります。

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

ん〜もう1枚。自分にもこんな時期があったとは俄には信じ難い、いつまでも眺めていられるこの手。前後のボケを見ていると、傾向としてはポートレートに向くレンズであると思います。前後で極端な違いはなく、よくバランスが取れています。

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

可愛い赤ちゃんのあとに、大変申し訳ない我が家の洗濯物。あ、光がいいなと、洗濯物ですらふとレンズを向けたくなるかどうか。単焦点レンズでそれなりの金額を払って買うって、そういうことだと思います(そうなのか?)。ボケ味は滑らかであり、それでいて存在感があります。解像力も高いのですが極限までそれを追うことなく、スキッと見える範囲で留めて意図的な残存収差も感じられます。20年前だと、もう少し一方に振れたレンズが多かったように思います。

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

春眠暁を覚えず。・・もう少しボケ味の話をすると、前より少し後ろのほうが輪郭をもたせた傾向にあります。先ほどポートレートに良いと書いた理由ですが、距離は1mから最短付近までで、睫毛にピントを置き、手前の頬が柔らかに滲むようにボケる。そして、後ろは少し滋味のある「何があるかが分かる」ボケ味。そんなイメージです。クラシカルでありながら、現代的で、どちらか一方に振れすぎない。もちろん今の水準的に「ちゃんと」写る。よいと思います!


SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

あらゆる被写体とシーンに向けられる懐深さ

レンジファインダーカメラを長く使ってきたが故に、必然的に自分自身の「標準レンズ」が50mmレンズになりました。自分にとっての標準なのだから、ありとあらゆるものを50mmで撮るわけです。しかし、50mmの大口径レンズで印象に残るものって少ないんですよね。もちろんキャラの立ったレンズはたくさんありますが、全方位に「これはいい・・・。」みたいな、しみじみと良さを感じるレンズは少なくて、突出した良さはあるものの、なんだかなあと感じる部分も突出する、そんなレンズが50mmには多い気がします。本レンズをお借りしている間、久しぶりになんでもかんでもレンズを向けて、パシャパシャと無邪気に撮って楽しめました。誤解を招く恐れがあって伝えるのが難しいのですが、何でも「過ぎない」。そんなレンズだと思います。

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

暑くもなく、寒くもなく。いちばん心地よい季節。散歩がてらにカメラを手にするのは本当に楽しい。背景はわりとゴチャゴチャしていましたが、少しクラシカルさはあっても、そのまんまゴチャゴチャと写らない。このあたりが、よい塩梅だと思います。

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

レンズには意地悪なシーンです。ダッシュは鉄板むき出しな上に白のペイント、そしてクロームのエンブレム。重箱の隅をつつくまでもなく、ボロボロと粗が出る面倒なシーン。ご覧の通り、扱いやすい。これがオールドや、そこまで行かないでも少し前のレンズなら、少し頭を使ってフレームしなければなりません。味わいを作ってくれるクセも御しがたいのであれば、使うのが億劫になることもあります。

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

SONY α7R V, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art, Photo by K

いや、大したものです。わりと強烈な斜光で、これだけ質感を伝えてくる明瞭さ、ヌケの良さ。


PHOTO YODOBASHI

Artごっこ?を楽しめる1本

特に大したものが撮れるわけじゃありません。いえ、レンズのことではなく、私が撮る写真の話です。日々カメラとレンズを手にして、ちょいと立ち止まってパシャっとやる。ちょっとしたアーティストになった気分を味わう。そして撮影画像を見てニンマリする。カメラを持ち歩こうという気にさせてくれるレンズでした。持ち歩かないと、そもそも撮らないですから。私の話はさておき、その筋の手練が手にすれば、その期待にキチッと応えてくれる実力を持つレンズだろうと思います。本文中からの繰り返しになりますが、性能はもとより高く、しかし性能一辺倒というわけでもなく、「こんな画がいいよね」といった味わいも併せ持ち、大変バランスの取れたレンズであると感じました。シグマの立てた3つのプロダクトラインも一回り近くの時間が経ち、その熟成を感じさせられる楽しいテストでした。

( 2023.05.09 )

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ソニーEマウントに最適化された「Artラインの50mm」がいよいよ登場です!

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シグマが誇るハイエンドプロテクトフィルター。Artラインレンズとの相性もバッチリです。

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こちらはライカLマウント版です。

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