PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL85F14GM2 FE 85mm F1.4 GM II
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ソニーからフルサイズEマウント用の中望遠単焦点レンズ「FE 85mm F1.4 GM II」がリリースれました。初代モデルの発売から8年が経ち、その間にサードパーティメーカーにより85/1.4のコンパクト化が進んだことはご記憶に新しい方も多いことでしょう。そこに満を持して投入された今回の純正II型は、かつてないAF性能を備えました(従来比、最大約3倍の高速化)。本レンズの主戦場となるであろうポートレート撮影ではリズムが要求されます。AF性能は描写力と並ぶ最重要項目なのでその飛躍的向上は誰もが歓迎するところ。光学系も刷新された642gという重量は先代から178gも軽くなっており、よりストレスの少ないスムーズな撮影を可能にしてくれることは想像に難くありません。加えて、描写力の中でも解像力と同じように重視されるボケ味にもこだわり、より素直な傾向になったとのこと。ボケ味然り、解像力然り、先代からさすがはGMレンズと感じ入る極上のものでしたが、そこへ更に磨きがかけられているということで期待が膨らみます。
( Photography & Text : KIMURAX )
なだらかなボケの遷移、ピントピークのキレ、その相乗効果でもたらされる立体感。画面全体の広さに対して小さな主役ですが、存在感ビンビンですね。なんだかもうカルガモちゃんが飛び出してるんじゃないの?と感じてしまう程に分離しています。
さらに主役に近づけばこの通り。これまた説明不要な描写力と書いてしまえば楽なのですが、見れば見るほどゾクッとしてしまいました。そこはやはり表現力なのでしょうか。なにげない日常のワンシーンが本レンズで切り取られた瞬間、パッと特別な雰囲気を醸すものですから。多分、これこそがF1.4のGMレンズがもたらす魔力なのかも知れません。
しっかり寄り切りましょう。本レンズの最短撮影距離はAF時:0.85m、MF時:0.80mです。絞り開放でのピント面の薄さがよくわかりますが、急にボケるようなことはありませんね。柔らかで繊細な羽根の質感を緻密に再現しつつ、品のある柔らかいボケが連なります。ほとんど色と化した背景の雰囲気にも思わずニンマリしてしまうのは私だけでしょうか。
照明に照らし出されたストールの煌めきは、色とりどりにピント面から離れるほどに大きな玉ボケへと変化しています。それなりに騒々しくなってもおかしくないモチーフですが、ファンシー感漂うギミックとでも申しましょうか。最短にほど近い距離での撮影ですが、収差の類をほとんど感じることができません。本レンズの素性のよさが窺い知れるカットのひとつです。
外からの光と分厚いガラス越しの薄っすらグリーン味を帯びた光、そして反射光。そんな複雑な光が錯綜してるシチュエーションにも関わらず、眩さを表現しつつしっかり粘って細部まで描き出しているあたりは流石の一言。金属とガラスで構成された無機質な空間ですが、その硬さや温度までも伝わってきそうな感覚を覚えます。
ここまでそれなりに彩り豊かなシーンカットをご覧いただいてきましたが、もっとどぎつい色が混在したらどうかな?と試したもの。カップ一つ一つのフォルムを丁寧に描き切り、それぞれの色も干渉することなくきちんと再現しているのがわかります。しっかり寄っての撮影ですが、ボケの発生も急性にならずまとまりよろしく。ほんと、意地悪のしがいがありません(笑)。
まさかここで少女が駆けて来るとは。心の準備ができておらず正直慌てたのですが、AFは素早く応えてくれました。もちろん使用したカメラα1の俊敏さの恩恵もあるでしょうが、本レンズのAFスピード向上がなければ間に合わなかったはずです。
何を撮っても様になってしまうレンズなものですから、露出をガツンと切り詰めてみました。少々やり過ぎた感は否めませんが、これはこれで有りなのではないかと。ボケ味そして階調の豊かさに随分と助けられていますがね。
いとも簡単に。GMレンズで、腕を上げる。
ピントピークをキリッとシャープに描き出しながら、ボケは自然に溶けていく。明るい大口径レンズがコンスタントに紡ぎ出すそんな撮像を、背面モニターでチェックするたびに口元が緩んでいたことを思い出します。被写体の一番見せたい部分をすっと上品に浮かび上がらせてくれるのですから仕方がありません。開放でのピント面は薄く、フォーカスには神経を使いたいところですがAF任せで難なくクリアできました。総じて柔らかい傾向のボケを楽しめますが、距離や背景や光によってその趣きに僅かな変化を加えられますので、本レンズを手にした暁には色々と試してみてはいかがでしょうか。冒頭でも触れた通り、先代から大幅な軽量化が図られました。全長はほぼほぼ変わりなくフィルター径77mmも据置ですが、並べた比較写真(左:II型、右:I型)を見てわかるようにフォーカスリングからマウント部分にかけて径がスッキリとスリム化されています。大口径ではあるものの、断然ホールドし易くなり大仰さが随分と軽減され、実際の軽量化もさることながら気持ち的にも肩の力を抜いて振り回せたのは確かです。その軽やかさと呼応するようにAFはサクサク合焦し、ここだと思った瞬間をいとも簡単に刻むことができてしまう。この使い心地、そして画の仕上がり。さらに次元を上げてきたGMレンズを手に入れたご自分の写真生活、ぜひ想像してみてください。ほら、もう簡単に手が届くはずです。指先ひとつで。
( 2024.09.24 )
光学系を刷新してのリニューアル。スピード&コンパクトネスにも磨きをかけた新生GMレンズの極上の写りに、思わずニヤニヤが止まりませんよ。
高品質な光学ガラスを用いたこだわり仕様のフィルターです。よい写りを邪魔することなく、様々なファクターから守る頼もしさをお忘れなきよう。