PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL50150GM FE 50-150mm F2 GM
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
50-150mmでF2通し。同焦点距離のレンズは他社から過去に発売されていましたが、F2.8でした。当然F2.8で文句を言う人すらいなかったと思いますが、時代は変わりこちらは何とF2。世界が文字通り「一段と」明るくなっております。50mm時にF2というスペックこそ「普通」に聞こえるかもしれませんが、150mmでF2となるとボケ量的に135mm F1.8に近いものがあり、かなりの破壊力です。では何の撮影に使えるのか。「85mmあたりを起点に寄ったり引いたりできるポートレートレンズ」が王道でしょうが、それ以外の用途でも、一際明るい「超大三元」望遠ズームレンズとしても活用できそうな気がしますよね。早速ご覧ください。全弾開放です。
( Photography & Text : TAK )
150mm、望遠端です。ボケはもちろん素晴らしいのですが、第一印象として単焦点のようなヌケの良さ、空気感の巧みな演出に驚きました。とにかく、澄み切った写真が撮れるレンズだなと。白の描写が特に美しく感じます。白がしっかり写せるということは、ウェディングドレスが綺麗に写せるということです。ピントのキレも言わずもがな。アウトフォーカスからの鋭い立ち上がりが、その場にいるような気分にさせてくれます。
こちらは54mmにて。ボケの形状も美しく、リングボケも認められません。そしてフリンジも出ません!凄いレンズです。
被写体の形状や位置によってはボケに若干硬さが出てくることもあるのですが、単焦点でも出る時は出ます。個性をどう活かすかはどんな機材でも同じ。レンズ交換無しで標準から望遠まで撮れるF2、これに勝る個性は他にありません。
例えば寄ってみると、前後とも「ふわとろ」のボケに。
何という解像力でしょう。繰り返しますが、もはや単焦点レベルです。いつも見ている屋号の大看板の額がお菓子の木型で出来ていたなんて、初めて知りました。これを描写の力というのでしょう。
このレンズではあまりやらない撮影だとは思いますが、燕の飛翔シーンも撮れてしまいました。申し遅れましたが、AFも最高速級です。ボディのAFも相当賢いのは承知していますが、あのすばしっこい小鳥を捉えられた事実が全てを物語っています。そしてF2の極浅深度で、150mmとはいえ被写体の背景からひときわ浮き上がって見えるので、超望遠の長玉で撮ったかのような雰囲気もあります。150mmの画角は野鳥用としてはかなり広いので、捕捉しやすい利点もあります。
α9 IIIは動体が歪まないカメラということで、鉄道シーンにもチャレンジしてみました。のんびり走る車両が奥側の線路を通過していったので歪み自体出にくいかもしれませんが、ボケも見たかったもので。さっきまで望遠だったのに、ここまで引けてしまうのは恐れ入ります。50-150mmというズームレンジ、鉄道とも相性が良いですね。大きい被写体には150mmもあれば十分。そして50mmがこれまた万能であることも、鉄の道を歩む方なら熟知されていることでしょう。まあ最大の問題はコストなんですけどね。
この白、ヌケ、やっぱりいいレンズだなと思います。重量はそれなりにありますが、インナーズーム機構でレンズの重心が安定しているのでホールディングが良く、意外と街撮りにも持ち出せてしまいます。ピントもスパスパ決まるので、早く撮影が終わるんです。仕事レンズとしても、本当に頼れる相棒となってくれるでしょう。
ポートレートの救世主、万民を照らす。
今回の撮影中、ウェディングや家族写真の撮影現場に何件か遭遇しました。例えば河原ではカメラマンの方がモデルにその場にいるように伝えた後、太陽の照りつける中、橋の上まで小走りに向かい大三元望遠ズームでぶち抜くといった撮影もされていました。依頼主の思い出に直結する大切なお仕事で、頭が下がる思いです。50-150mmという焦点域でF2という武器があればレンズ交換の手間はもちろん、移動自体も減り、随分と楽になるのではないかと思います。光は最高なのに背景がうるさくてパスしていた場面でも、F2で消し去る力技があれば撮影効率も上がることでしょう。AFスピードもストレスフリーですしね。意外かつ腑に落ちたのは、ポートレート以外にも使える万能性です。標準の50mmからF2のまま望遠150mmまで伸びてしまうのは、ちょっとしたマジックです。スナップはもちろん風景撮影などにおいても、一味違った世界を見せてくれるでしょう。スペックを考えるとかなりコンパクトで、意外と収まりは良いですよ。ルックスもハンドリングも良好な短めのフードも含め、使い勝手の良さも光る一本でした。ボケの切り札としてFE 50mm F1.2 GMあたりを併用するケースも多いかもしれませんが、F2には深度という「保険」も付いてきます。とにかく仕事の早いプロフェッショナル。中々の出費にはなりますが、リターンは大きそうですよ。いかがでしょうか。
( 2025.05.26 )
レンズ交換も無しで、こんなに楽でいいのでしょうか?いいんです。救いの手は、ありがたく受け取りましょう。
こちらの保護フィルターは何と反射率0.1%。味付け皆無で、レンズの恩恵にどっぷりと浸っていただけます。