PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL2450G FE 24-50mm F2.8 G
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フルサイズEマウント用の大口径標準ズーム「FE 24-50mm F2.8 G」が登場しました。何かと使いでのある50mmから24mmまでの焦点距離をカバーしており、全域でF2.8が使える大口径レンズでありながら質量は約440g、長さは92.3mmと小型軽量を実現しています。ズーム比を抑え、一般的な24-70mmから望遠側を短縮したことでシンプルな光学系にしやすく、構成枚数も抑えられるものと推察します。また高性能ガラスが惜しみなく採用されており、手ぶれ補正をボディに一任していることも小型化に、そして高画質の実現にまで寄与していると想像します。最短撮影距離は広角端で19mm(MF時18mm)、望遠端で30mm(MF時29mm)、最大撮影倍率は0.3倍(MF時0.33倍)と近接性能も高く普段使いにはピッタリ。出番の多そうな1本です。冒頭で「50mmから24mmまでをカバー」と、あえて望遠側から書いた理由は後ほど。付けっぱなしをイメージして気の向くままに持ち歩いてみました。
( Photography & Text : TA )
先ずはと、太陽に対してほぼまっすぐにレンズを向けてみました。演出としてかなりハイキー目に振っていますし、ビルに囲まれたシチュエーションで拡散された光も入ってくるのですが、フレアはほんのり感じられる程度でゴーストの発現はありません。不要なものを抑制しながら、そのとき感じた眩しさや煌めきといったものがきちんと再現され、画面に瑞々しさを添えてくれます。
ニュートラルでありながら深みのある色再現で、情緒的な写りです。Tシャツの柔らかな手触りまで感じとることができ、しっかりとした解像感もうかがえます。この表現力なら身近な人にレンズを向けるのも楽しくなるもの。見慣れているはずの人物の新たな面を発見できたような気さえするのです。
こちらは広角端24mmでの撮影。ディープシャドーからハイエストライトまでをフレームの中に収めてみました。シャドー側にもハイライト側にも余裕が感じられ、中間の階調も豊か。コントラストが良くまとまり、抜けの良さも抜群です。この秀逸な写りを見る限り、望遠端を縮めた恩恵をしっかりと受けているように思います。色づきも見られず真っ直ぐな線と、まあともかく気持ちの良い描写です。
同じく広角端、開放で撮影。こういった被写体の時は少し絞ると画が落ち着いてくるものですが、本レンズは開放からアクセル全開。切れ味抜群です。画面四隅を見ても曖昧さが一切ありません。斜光でエッジに光がのるため立体感は出やすいシーンですが、それがより生き生きと伝わってくる描写です。焦点距離で写りの傾向が変わることもありません。
一歩踏み込めば、明るいF値とトロンとした良質なボケが相まって望遠的な演出が可能です。ちょっと工夫すれば中望遠のようにも撮れてしまいます。
自慢の近接性能いかがでしょうか。ピントピークがしっかり立つので、トロンとした柔らかいボケが一層際立つ印象です。感心しきりだったのは、どんな状況下で振り回しても色滲みやフリンジといったものの出現がないこと。これは動画撮影においてもメリットでしかないでしょう。
小路が多い町をぶらぶらしながら撮るには28mmから35mmあたりがしっくりときます。ちなみにこのカットは33mm付近で撮影。写りの手応えから、50mmや40mm、35mm、28mm、24mmといった単焦点レンズをマウントさせているような感覚になるのですが、ズームレンズですから交換不要でその間を自由に行き来できます。小旅行などにも重宝するでしょうし、1本持っておくとなにかと出番が多くなりそうです。
薄暗い屋内であってもカジュアルにシャッターを落としていけます。そもそもが明るいレンズですし、軽量でホールド時のバランスも良好。カメラの手ぶれ補正機能は万一のために保険をかけるくらいの気持ちで、個人的にはそういうものを利用しなくても振り回せるレンズだと思います。このような後ろに引けない場面で広角側にズームアウトしていけるのは単焦点レンズにはない強みですね。
光がフラットで立体物の再現には不向きな光線状態ではありましたが、細部をきちんと描きながら奥行きを感じさせる1枚。しかもこの傾向は撮影距離を問わず不変で、どんな立体であるのかをつぶさに伝えてきます。光線状態を考えると、色再現性においても申し分ない性能であることがわかります。新緑にはじまり、少しづつ色づいていくそのグラデーションが再現されており、しっとりとした湿度まで感じられます。記憶が瞬時に呼び戻されると申しますか、なんとも艶かしい写りです。
あえて「50-24mm」と呼びたい、全てにおいて絶妙な大口径標準ズーム
冒頭でなぜ「50mmから24mmまでをカバー」と書いたか。普段使いにおいて、使いでに富む標準域から広角側へとズームアウトしていく流れは至って自然で心地良いものでした。つまるところ、ズーム収納時は50mmで繰り出すと広角になっていくセッティングの妙に唸らされたからなのです。スナップなどで普段50mm、40mmあたりを使っている方も多いかと思います。私もその一人ですが、標準域の50mmがデフォルトでセットされていると、やはり都合が良いのですね。誇張のない「普通」の画角でスタートできるからこそ、広角を使う理由も一層明確になり、画作りにも活かせる。これは純粋に楽しいですよ。描写に関しては、一言で申し上げると単焦点顔負けといったところでしょうか。開放を積極的に使いたくなるとろみを帯びたボケ味、そしてキレの良さがあり、諸収差もしっかり抑制されていて尚且つ表現力まで備わっています。高い近接性能を生かしたテーブルフォトや花撮りなども良いでしょう。もちろんAFも俊敏で、ホールド時の重量バランスも絶妙。小型ですから荷物をなるべく減らしたいお出かけなどにも重宝すると思います。いっそ普段から「着けっぱなし」が本レンズの正しいあり方かもしれません。ひとつ懸念があるとすれば、レンズ交換の楽しみを奪ってしまうかもしれないということ。是非一度、お試しください。
( 2024.06.04 )
使いでのある焦点距離をカバーした、Gレンズとしては初のF2.8通し標準ズームレンズ。小型軽量で出番の多くなりそうな1本です。
使い回すことが多いでしょうから、保護フィルターはあったほうが良いでしょう。