PHOTO YODOBASHI
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SONY SEL14F18GM FE 14mm F1.8 GM vol.1 vol.2
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
レンズ一体型固定式の花形フードから覗く堂々たる前玉は、まさしく超広角レンズのいで立ち。焦点距離14mmにしてF1.8という明るい開放値を有する新しいGマスターレンズの登場です。今回レビューをお届けするフルサイズ対応のEマウントレンズ「SONY FE 14mm F1.8 GM」は大口径の超広角レンズながら、なんと重さはたったの460g。全長も99.8mmというサイズにまとめられており、撮影に持ち出すのがまったくと言っていいほどに苦にならないそのコンパクトさは、もう只々驚くばかり。ソニーが最高の設計水準で挑むGマスターレンズですからね、なおのことです。光学系は超高度非球面XAレンズ2枚、ED(特殊低分散)ガラス2枚、スーパーEDガラス1枚を組み込んだ11群14枚構成。高い解像力と、とろけるような美しいボケ味に期待は膨らむばかり。そうです、どんな画をもたらしてくれるのかが肝心ですね。前置きはこのぐらいにして、撮りためてきたカットをご覧いただきましょう。
( Photography & Text : KIMURAX )
超が付くほどの広角レンズですから、ファインダー越しに広がるダイナミックな画は実に刺激的です。肉眼で見ていた視界とはちょっと、いや随分と様変わりした画が飛び込んでくるのですから。しかもフレーミングを少し変えていくだけで、みるみる印象が変わる。もう面白いったらありゃしません。しかも絞り開放からビシッと解像するのですから、この気持ちよさは段違いです。
では少し被写体に近づいてみましょう。フレーミングを工夫して伸びやかさを若干抑えてみましたが…抑えきれないですね(笑)。絞り開放でロープにフォーカスしましたが、解像感たっぷりです。画面左下の雨滴が描き出した波紋はすでにデフォーカスエリアですが、波形の様子が程よく見て取れます。
さらに近づいてフレームすると、こんなデフォルメ効果も。それにしても実にシャープな像を結ぶものです。繊維の一本一本まで、鮮明に捉えているのがよくわかります。
前ボケいいですね。多少ざわついてもおかしくない被写体ですが。
金属の質感描写を試してみましたが、フォーカスしたマフラーのネーム部分は見たままズバリ。グラデーションも見事に再現されています。
カメラ側の歪曲補正ONでのJPEG撮って出しですが、直線が真っすぐ通っています。RAWデータを確認すると周辺は若干のタル型ですが、14mmという焦点距離ながら光学系で歪曲がかなりよく抑えられていることがわかりました。
念のため絞った画もご覧いただきましょう。ガツンと絞ってはいませんが、線が太くなるようなこともなく、絞りは被写界深度の調整に活用するくらいでしょうか。
メリハリの効いた赤と白のスチールチェアですが、色乗りが実にいいですね。
移動中、運よくほんの一瞬だけ陽が注いだところを見上げてのカット。絞り開放、逆光で最短撮影距離25cm付近の撮影ですが、破綻の見られない写りですね。玉ボケの輪郭も強くは出ず自然な雰囲気です。
水流の表情がみずみずしく描かれています。この雰囲気、シャドーの粘りがあってこそだと思います。
ややもすると持て余してしまいそうなワイドな画角ですが、たっぷりと余白があるからこそ主役をより一層際立たせることができるのです。
この軽さと小ささで、他を突き放す大口径超広角レンズに。
さすがはGマスターレンズだなと納得させられる、絞り開放からビンビンの解像力と自然なボケ味を確認することができました。そして何と言ってもコンパクトなαボディにマウントしてもまったく仰々しくならないサイズ感と軽さは、まさしく本レンズの真骨頂。描写性能に隙の見当たらない大口径超広角レンズで、よくぞここまでまとめてくれものだなと感じ入りました。純正レンズの信頼感を体感しやすいAFは、瞬時に正確に合焦してくれる反射神経でストレスフリー。ロケ中は曇天続きで雨までぱらついてきましたが、防塵防滴に配慮した鏡胴ですから難なく撮影を続行できました。前玉に付着する雨粒もフッ素コーティングのおかげで、軽く一拭きしただけで跡形なく退散です。ところで、予定していた星景撮影は連夜の雲に阻まれ敢え無く断念。Vol.2をお届けするチャンスがありましたら、その時ぜひご覧に入れたいと思います。それにしても、超広角ながら寄れば柔らかなボケを添えられ、引けば眼前の光景を丸呑みするようなダイナミックな画を写し込めてしまうという、楽しさの振り幅の広い一本。軽々スイスイと振り回せる本レンズは、近接から遠景の撮影まで確かな描写性能で応えてくれます。ことによると、撮れる画が、いや撮りたい画が、今までとガラッと変わるかも。ふと、そんな予感がしました。
( 2021.05.31 )
期待通りの写りと表現力は、さすがGマスターレンズ。ダイナミックな画を飛びっきりの画質で残すなら、本レンズで間違いなし。