PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
LAOWA 65mm F2.8 2X Ultra Macro APO
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ラオワは中国で2013年に光学業界のエキスパートと写真愛好家達が集まり産声をあげた新進気鋭の光学メーカーです。すでに20本以上の写真用レンズとシネマ用レンズを発売していて、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いと言える存在。そんな勢いのあるメーカーが手掛けたLAOWA 65mm F2.8 2X Ultra Macro 2Xの最大の特長は、2倍のマクロ撮影ができることです。レンズ構成は特殊低分散ガラス3枚を含む10群14枚で軸上色収差、倍率色収差などを最小限に抑える設計で、長さは約100mm、最大径は約57mm、重量は約335gと大変軽量コンパクトに仕上がっています。若くエネルギッシュなメーカーが送り出した2倍マクロレンズがどんな写りなのか作例とともに見ていきましょう。
( Photography & Text : Z II )
APS-Cサイズ用で65mmですから35mm判換算で約97mm相当の画角になります。マクロレンズの魅力はなんといっても接写できることですので、道端で見つけたコガネムシに寄って撮ってみました。全身を収めましたが、まだまだ寄れる余裕があるあたり流石は2倍マクロ。それにしてもメタリックな質感や色の再現は見事で、肉眼では気づかない細かな凹凸にただただ見入ってしまいます。
米粒ほどのヒシバッタ。とても警戒心が強くあっという間にジャンプしていなくなるので、そーっと限界まで近づいてパチリ。眼にピントを置いていますが後脚のあたりはぼけてしまうほどの浅い被写界深度です。こういったシーンでは被写体のサイズを決めたらカメラを寄せたり引いたりして、よい位置にピントが合った瞬間にシャッターを切るという撮り方も有効です。虫採りに明け暮れた子ども時代のように、しばらくの間、夢中になってピント合わせに没頭してしまいました。ふと、写真で虫を撮ることは実際に捕まえるよりも虫に優しいな、などと思うようになったのは歳のせいですかね。(笑)
百日紅の小さなおしべの様子を撮ってみました。最短撮影距離付近で撮ると肉眼では見ることが困難なほど小さな形状や質感がよくわかります。ぼけも柔らかくしっとりとした写りなので、こういった柔らかなものの撮影で活躍しそうです。
マクロレンズですが中距離での撮影も試してみました。フォーカスした葉は、同系色の背景に紛れることなく、また、空に抜けた部分の色収差も抑えられ十分なキレのある描写を見せてくれました。
開放から絞りを2段ほど絞って撮ると印象ががらりと変わりますね。岩やコンクリートなど硬質なものは絞って撮ると良さそうです。
本レンズがどれほど寄れるのかを身近なわかりやすいものでテストしてみました。左のカットではよく見かけるサイズ感で、豆はもちろん布地の質感さえも十分に伝わってきます。そこからさらに最短撮影距離17cmまで寄った右のカットを見ていただくと、一粒でセンサーサイズいっぱいに撮れてしまいます。2倍マクロとは要するにAPS-Cセンサーに対し2倍の大きさで写るということです。
金属の質感描写を見てみましょう。空冷エンジンのフィンの部分ですが、丸みのあるフィンの形状まで的確に描写していますね。質感が出にくいシャドウ部でも見たままをしっかり再現できています。
同じくオートバイのマフラーです。車体の下になって光が入りにくい条件でしたが金属の艶感や形状までしっかりと描いており、溶接部の隆起はまさにリアル。前ぼけにも収差やくせはなく、ピント面に自然な奥行きを感じさせてくれます。
コンパクトでコスパに優れた2倍マクロ
見た目もスリムでα6500に装着するとバランスは良く、重量もボディと合わせて800gを切るほどの軽さなので、持って歩くにもバッグに収めるにも大変コンパクトです。このサイズでありながら、あらゆる倍率範囲で質感の再現、色のり、ぼけは素晴らしく、描写において妥協がありません。本レンズがあれば、これまでスマートフォンのカメラなどではどうしても寄って撮れなかった小さな被写体に、好きなだけ寄って撮ることができます。例えば冬なら雪の結晶、春は草花、夏や秋は小さな生き物など一年中出番はあります。また、オールタイムでマニュアルフォーカスですが、全長が伸びないインナーフォーカス設計でもあり、微妙なピントを追い込む際にはむしろ使い勝手がよいでしょう。しかも一般的なマクロレンズにも引けを取らないお値段以上の写りと言えます。どのマクロレンズを選べばよいか悩んでいる方や、すでにマクロレンズは所有していても2倍マクロは未体験だという方には是非お勧めのレンズです。
( 2020.11.19 )
最大倍率2倍から無限大までピントが合います。つまり米粒から風景まで、ある意味なんでも撮れちゃいます。
被写体に寄れるということは、それだけ危険は増します。安心を買えるなら買っておきましょう。
被写体を知りレンズを知れば百戦危うからず。宝石のような虫たちを撮るためにまずは予習から。
外に出にくい時期にこそ基礎的なことから学びたい方はこちらもどうぞ。