PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SAMYANG AF 50mm F1.4 FE
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
SAMYANG(サムヤン)は韓国で創業されたレンズメーカーです。ケンコー・トキナーが国内代理店となってからは販路も広がり、そのコストパフォーマンスの高さからも近年注目を浴び、特に広角レンズに定評のあるのは周知の通りです。フォトヨドバシの編集で現在発売中の「ソニーEマウントレンズ 完全レビューブック」にサムヤンのレンズも掲載しています。今回レビューをお届けするのは、サムヤン初のAFレンズとして登場した「AF 50mm F1.4 FE」です。本レンズは開放F値F1.4による数多くの恩恵を受けながらも、ミラーレスカメラの特性を生かした専用設計ならではのコンパクトな設計となっており携帯性にも優れています。重量もわずか585gとペットボトル一本分程度。焦点距離50mmは最も汎用性の高い焦点距離の部類ですから普段から持ち歩きたいもの。普段から持ち歩くことを考えれば、少しでもレンズは軽くあって欲しいものです。携帯性に優れているというのは最大の利点でもあります。さて、単焦点50mmといえば伝統の焦点距離。数多の銘玉がひしめき合うフィールドです。ところがEマウントで使える50mm F1.4というスペックの選択肢はあまり多くはなく、コストパフォーマンスは、携帯性は、AFはどうなのかとみていくと、その選択肢もごく限られたものとなります。そこで本レンズの存在がクローズアップされるわけです。その写りや使用感はどうなのか? とても気になるところですよね。日常のシーンから、ふらりと街にも持ち出してみましたので、実際の写りをじっくりとご覧ください。
風といっしょに
台風が過ぎたばかりの東京の空は快晴そのものでしたが、時折強い風が吹きつけていました。建物の間を歩くとさらに強い突風。手ブレどころの話ではく、カラダブレ状態でした(笑)。ここまでのカットはストリートスナップを中心に行ったので、開放から絞り込んでの撮影です。開放からよく写るレンズですが、F4あたりまで絞ってくると画面の隅々にまでシャープさが行き渡るという印象で、キレのある描写に心踊らせつつ軽快なスナップがこのうえなく楽しいのです。多少絞り込んだとしても、背景との距離があれば主役を浮かび上がらすには十分なボケが得られます。絞り羽根は9枚の円形絞りを採用しているそうで、確かに開放から3段ほど絞り込んでも玉ボケの円形が保たれています(女性のカットの右側ビル)。AFはまずまずのスピードで、迷わず合焦。動作音からするとムービーよりはスチル向きという印象でしょうか。歪曲に関しても良好に補正されているようです。(KIMURAX)
こんな日だって
寝転がった、やる気ゼロの表情どうですか?「子供=元気」というステレオタイプじゃ、面白くないですよね。大人じゃなくたって、気だるい日はあるのです。そうです、犬だってね(笑)。そんな、気力がうせてしまった表情を開放で追いかけてみました。開放からめちゃめちゃキレのある描写とはならないものの、フルサイズF1.4がもたらす大きなボケを持ってすれば、たちまち主役を浮かび上がらせてくれます。特にポートレート撮影においてはキレよりもむしろ、柔らかさ主体の描写がふさわしいのではないでしょうか。決してユルイわけではなく、どことなく柔らかさを感じさせてくれる。こういった描写が、本レンズの真骨頂なのではないかと思いました。日常の何気ない表情や、ありふれたシーンまでもが、シャッターボタンを押すごとに心惹かれる一枚へと昇華してしまう。これこそがF1.4の魔法、いや魔力なのかもしれませんね。(KIMURAX)
絞り開放で、左目にフォーカス。ピント面の薄さがよくわかりますよね。まつ毛の一本一本までしっかりとキャプチャしています。
前ボケ後ボケともに良好です。空気の湿気も感じさせながら、プルンとした雫の艶まで忠実に再現してくれました。
色乗りバッチリ。バンパーのメッキ感もよくでています。
F8まで絞り込んでみましたがペタンとした画にはならず、それなりに立体感も感じられます。画全体の風化した雰囲気もうまく捉えていますね。
気軽に楽しめるF1.4の表現力。
レンズ構成は8群9枚。撮影最短距離は45cm。標準レンズとしてはまさに標準的なスペックですが、ご覧いただいたように絞り開放から十分なシャープさが感じられ、前後共になだらかなボケ味が、それぞれのシーンを印象的に仕立ててくれています。さらに2〜3段絞れば、画面全体のシャープさに磨きがかかってきますからね。表現力、実用性共に申し分なしといえるでしょう。しかも外観デザインは金属製でビルドクオリティは高く、Eマウントボディとのマッチングも良好。大口径ながら軽快に使えるサイズ感ですから、持ち出す機会も増えること間違いなしでしょう。そしてなんといっても、お小遣いの範囲でなんとか工面できそうな価格設定。この気軽さも手伝ってか、F1.4の世界にどっぷりとつかるにはもってこいの一本だと思います。いつでも持ち歩きたくなるようなレンズなら、おのずとシャッターチャンスに恵まれる確率もグンとアップするはずです。何気ない日常を切り取るにはまさにうってつけ。F1.4の瞳で、新しい毎日をスタートしましょう。
( 2018.09.13 )
お小遣いの範囲でなんとか工面できそうなこの価格設定。この気軽さも手伝ってか、F1.4の世界にどっぷりとつかるにはもってこいの一本です。
広角レンズから望遠レンズまで、絞り値も制限なくお使いいただける光のにじみが美しい非常に滑らかなソフト効果が得られるフィルターです。
冒頭でもご紹介いたしましたフォトヨドバシの「ソニー Eマウントレンズ 完全レビューブック」。ムック発売当時、Eマウントレンズとして発売されていたレンズをもれなく網羅しています。レンズ選びの参考にどうぞ。
こちらは持ち歩ける電子書籍版です。