PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 28-105mm F2.8 DG DN | Art
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
つい先日、2024年9月26日に発売されたばかりの「SIGMA 28-105mm F2.8 DG DN | Art」(ソニーEマウント)のシューティングレポートをお届けします。28-105mmという、従来ならF4の守備範囲であったズーム域でF2.8通しの明るさを実現した、シグマの意欲作です。一見、堂々たる体躯のように感じますが、このスペックが大きさφ87.8mm x 159.9mm、重さ990g(いずれもEマウントの場合)に収まっているのは、じゅうぶんに小型軽量なレンズと言えるでしょう。「F2.8通しの標準ズーム」で連想するのはやはり24-70mmだと思いますが、明るさはそのまま、ズーム域全体をテレ側に大きくシフトすると使い勝手はどう変わるのか。画質と併せて、そのあたりもお伝えできればと思います。
( Photography & Text : NB )
ワイド端。AUTOで爆上がりしたISO感度を落としながら、イケそうなシャッタースピードを探った結果の0.8秒。レンズに防振は入っていないのでボディ側のそれと己の気合いだけが頼りなわけですが、このレンズ、大きさと重さはそこそこあるもののバランスが良く、それはホールディングの良さに直結します。手持ちですがお星様くっきり。イケました。
ワイド端。ボディ側のレンズ補正設定は、歪曲収差補正のみON。もとより、本レンズに関してはそれ以外の補正は必要ないでしょう。
70mm付近。ひとくちに「みどり」と呼ぶだけでは片付けられない、複雑かつ微妙な濃淡や、シャドウの中にあっても失われない彩度。苔の織りなすテクスチャー。表現力は豊かです。アウトフォーカスに向かって、なだらかにボケていく様にも注目。
テレ端の最短付近。最短撮影距離はズーム全域で40cmを実現。105mmでは撮影倍率1:3.1のクローズアップ撮影が可能になります。今回のレポートではこのカットだけ、F5まで絞ってボケ具合を調整しています。柔らか過ぎず、硬過ぎず、質感、空気感をうまく表現していると思います。そして、12枚の絞り羽根のおかげでまんまるの玉ボケ。
ワイド端。ガラス越しではありますが、高周波の被写体も周辺に至るまでしっかり解像しており、曖昧さはどこにも感じられません。
テレ端開放のボケが分かるカットを。ボケ味のクセがお分かりいただけると思います。
テレ端。良好な取り回しと速いAFのおかげで、シャッターチャンスを逃しません。それはカメラの設定を確認する暇もないほどの、刹那の出来事です(ISO 1600に何ら意図はありません。前夜の撮影で設定したことをすっかり忘れていただけ。気にしない)。
70mm付近。個人的な話になりますが、若い頃は単焦点こそが正義だと思い込んでいたので、ズームの恩恵(被写体の大きさを瞬時に、無段階で変えられる)にあずかったのはだいぶオトナになってからでした。もったいないことをしたとつくづく思います。28-105mmでF2.8通し。これは「単焦点レンズ命!」の人にもぜひ手にして欲しいズームレンズです。
標準ズームの新標準(?)を、シグマは作ってしまった
今までのF2.8通しの標準ズームを、シグマは一気に過去のものにしてしまったようです。一歩先を行く、実にシグマらしいレンズです。「標準ズーム」という響きの裏に潜む、万能感の裏腹としての小さくまとまった感じは、もうありません。F2.8で105mmというテレ端が、このレンズを選ぶもっとも大きな理由になるでしょう。大きくて美しいボケ。ポートレートに使える。風景に使える。スナップに使える。クローズアップもイケちゃう。じゅうぶんな圧縮効果も楽しめる。しかも写りが良い。つまり面白い。気が付いたらテレ端ばかり使っていました。繰り返しになりますが、スペックを考えたらじゅうぶんに小型軽量だと思います。その上で、性能の担保(つまり大きさ、重さ)と使い勝手のバランスはどうあるべきか。それを考え抜いたらこうなった、というレンズ。どこにもトレードオフの要素は無いのが嬉しいじゃありませんか。実際に使ってみたら、それがハッキリと分かりました。あなたもどうぞ、実際に使って確かめてみてください。
( 2024.10.17 )
今までの標準ズームを一気に過去のものにしてしまった、シグマの意欲作です!
こういうレンズには、当然、このぐらいの保護フィルターを奢りますよね?