PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/5, F4, ISO 100, Photo by TAK

TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

こちらのレンズ、焦点距離だけを聞くとAPS-C型センサー専用かな?と思ってしまいそうですが、そうではありません。フルサイズ用としては世界初となる、17-50mm、F4固定のズームレンズです。タムロンと言えば昨年秋に発売され大好評の「20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)」を思い出しますが、何とそこから両端をグイ〜ッと伸ばしてきました。F2.8からF4になったとはいえ、このカバー範囲には抗し難い魅力があります。果たしてこれは広角ズームなのか標準ズームなのか。タムロンによれば「広角ズーム」とのことですが、望遠側が50mmともなればどちらのアプローチも取れることでしょう。従来のフルサイズ対応広角ズームで望遠端を長めに取ったものとしては、マウント違いですが17-40mmあたりを記憶しています。また、多くの標準ズームの広角端は24mmで、最近では先述の20mmも出てきて便利になったなと思っていたところです。そこへ、太平の眠りを覚ます17-50mmの襲来であります。大変コンパクトで(重量460g、全長114.4mm)、撮影時にもフロントヘビーにならない夢のようなレンズです。そして結論から申し上げると、びっくりするほどよく写ります。

( Photography & Text : TAK )

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/1000, F4, ISO 100, Photo by TAK

17mm端開放です。秋の訪れを告げるソバの花を地面すれすれから煽って、元気よく伸びる様子を強調してみました。ここまで寄っても根元から背景までフレーム内に収めることができます。ピントは開放から至ってシャープ。周辺の光量落ちも思ったより軽微ですが、これはカメラ補正の効果もあるのでしょう。ちなみに冒頭のカットも17mmです。17mm F4の単焦点で撮ったと言われても、私は簡単に騙されるでしょう。

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/500, F4, ISO 100, Photo by TAK

一気に50mm端までズームイン。こちらも開放です。17mmとは全くの別世界で、狙う被写体や構図取りも大きく変わります。若干の圧縮効果もあり、標準レンズが望遠的にも使えると言われる理由を普段よりも実感します。ちょっと意地悪して中距離でのピント分離も見てみました。F4とはいえ前後は確かにぼけており、ピントの解像感も良好なので、距離感の違いを感じることができます。

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/4000, F4, ISO 100, Photo by TAK

玉ボケは輝度や距離によって玉ねぎ状になる傾向があります(特に後ボケ)。非球面レンズなどを使っていることを考えればそんなものだろうなと思いますが、軽減したい時は背景との距離を長めに取り、輝度の高い点光源を使うなどすればよいでしょう。


SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/2000, F4, ISO 100, Photo by TAK

ボディ内補正をオンにしておけば歪曲を抑えることができます。RAWデータでは17mm端は樽型が目立ち、50mm端は若干の糸巻き型が認められますが、デジタル補正が浸透したご時世では騒ぐような問題ではありません。光学的に封じ込めるとなれば相当なサイズとお値段になるでしょう。

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/2000, F4, ISO 100, Photo by TAK

こちらがその50mm、歪曲補正オフの状態です。これだけ軽微であればそのまま使ってもよさそうですね。

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/60, F4, ISO 100, Photo by TAK


SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/640, F4, ISO 100, Photo by TAK

ズームならではの旨みは中間域にもあります。路傍の雰囲気を38mmの自然な画角でスナップしてみました。F値固定なので、気が付いたら「F値が勝手に変わっていた!」なんてことも皆無です。

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/20, F4, ISO 100, Photo by TAK

やはり17mmの引きは心強い。スナップはもちろん、風景をダイナミックに捉えるのもお手のものです。

SONY α7 III, TAMRON 17-50mm F/4 Di III VXD Model A068, 1/1000, F4, ISO 100,Photo by TAK

逆光耐性もずば抜けています。焦点域、F値固定、サイズ。バランスの良さが際立つ本レンズは、タムロンの新たな代名詞となるでしょう。20-40mmとどちらを選ぶか。そして純正標準ズームの20-70mmもあるだけに悩ましいですね。


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ズームのパイオニアが放つ、新たなるクロスオーバー

服を選ぶ時、SMLの境目のサイズの人はどっちを選べばいいんだという問題があります。好みの焦点距離や被写体も人それぞれで、既存のカテゴリーに全員の感覚が当てはまるわけではありません。フィット範囲が広い本レンズなら、そんなお悩みとはおさらばできます。ふと見かけた建物の全体を広く捉えたい時、17mmまでズームアウトできればほぼ困ることはないでしょう。また眼前の光景を肉眼での見え方に近い画角で収めたい時、50mmまで寄れるのは心強い限りです。そしてF値固定がありがたい。特に動画では基本的にマニュアル露出です。ズーミングでF値そして露出まで意図せず変わってしまうのは避けたいですからね。F2.8のような明るさはないものの、そもそも動画では絞って使うことが多く、むしろF4でちょうど良いくらいです。そして、タムロンユーザーならもうお気づきですね。50mmスタートの「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)」とのコンビを組めば、なんと17mmから400mmまでシームレスにカバーできます。両者のモデル番号が67、68と連続しているのは偶然ではないでしょう。タムロンは当初からこの一気通貫のようなシステムを作る計画だったのかもしれません。それもこれも全てはユーザーのため。「広角ズームは望遠が弱く、標準ズームは広角が弱い」という既成概念は今、崩れ去りました。写真人類が予想だにしなかったメリットを、新たな表現にお役立てください。

( 2023.10.19 )

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このズームレンジならではの絶大なる恩恵。使わにゃ損。使わにゃ損です。

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タムロンといえば67mm。使い回しがきくのはやっぱり便利ですよね。

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