PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 17-40mm F1.8 DC | Art
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
APS-Cミラーレスカメラをお使いの方に、嬉しい標準ズームレンズがやってまいりました。何とF1.8通しの大口径です。焦点域もフルサイズ換算で25.5-60mm相当と使い勝手が良く、というより24-70mm F2.8に近い感覚でお使いいただけます。一眼レフ用の18-35mm F1.8 DC HSM | Artの鮮烈なデビューは今だに記憶に残っていますが、同じ路線でミラーレスカメラ用に開発されたのが本レンズ。焦点域を拡大しながら、より小型で軽量化(525g:ソニーEマウント用)されるという、シグマらしい離れ技をやってのけています。そしてそこには「Art」の称号が。これは期待できそうです。
( Photography & Text : TAK )
サイズと画質のバランスの良さが光るAPS-Cセンサーですが、唯一の泣きどころがフルサイズに比べてボケにくいことです。本レンズはズーム全域でF1.8の明るさを実現。フルサイズにおけるF2.8あたりのボケ感になります。つまりあの「大三元」の標準ズームならではのボケを生かした表現が、お持ちのAPS-Cカメラでも味わえるのです。広角端17mmでもここまでぼけますからね。ピントは距離を問わず開放から実にシャープ。大きなボケとの相乗効果で、印象的な画作りも思いのままです。
望遠端40mm。開放、最短付近です。ボケが美しく、まさに「Art」の名に相応しい写りですね。玉ボケには若干の輪郭が認められ、周辺に行くに従い円形は崩れていきます。私は全く気になりません。というより、実はこれくらいがレンズらしくて情感もあって好みです(全域まんまるを目指す方々には申し訳ありません)。ミッション内容にもよりますが、これが主たる原因で撮影自体を諦めるという状況はまずないでしょう。
私個人が最も「Art」を感じたのは、この一枚でした。このリアリティ、ツヤ、そして湿度。色気があります。
雨が降っていなくても傘の要る季節になりました。輝度差の激しい状況でも、全てのトーンをしっかりと描き分けてくれるレンズは頼もしい限り。ちなみに望遠端です。これくらいの距離だとボケも少々ざわついてきますが、そもそもここまでぼかせること自体が凄いですよね。ピントの分離も言わずもがな。他のAPS-C用ズームでは得難い世界です。
中間域の23mmにて。暗い状況でもF1.8が威力を発揮します。このシーンではぼけ過ぎですが、開放での色気が捨て難く、ついつい開けてしまうのですよ。
純然たるテストとしてどうかと思ったのですが、少し曇ったガラス越しで遊んでみました。結果、どんなシーンであれ、ありのままの光を捉えてくれることが判明。レンズの最も大切な職務を全うする一本です。
望遠端では圧縮効果も出てくるので、広角とは全く違う表現が可能です。逆光耐性もつまらないくらいに抜群ですね(賛辞)。ヌケといいキレといい、単焦点クラスと言えるでしょう。1940年代の路面電車ということでゆったり構えていたら、下り坂で意外に速くて慌てて撮影しました。AFは純正と変わらぬほどに爆速。咄嗟のシーンにも即応できるので心強いです。
気温は体温並み。皆さん日傘で完全防御の上、マーラータン(麻辣湯)をお待ちです。心頭滅却すれば、辣もまた涼し。
少し絞りました。無論、文句の付けようのない写り。17mm、25.5mm相当でも十分広く感じます。
APS-Cでも大三元を。
18-35mm F1.8 DC HSM | Artもそうでしたが、純正ラインアップには存在しないスペックで、ボケを渇望するユーザーの心に刺さる、ツボを得た企画のレンズだと思います。必要なものを、必要としている人に届ける、商売のお手本のような商品です。誤差はあれど、確かに24-70mm F2.8を使っているような感覚を覚えます。それでいて大三元ではあり得ないほどに軽く、しかもインナーズームで全長も変わらないので、気軽に高画質で撮影できます。手ブレ補正こそ無いものの、F1.8の明るさがあるので、同じく手ブレ補正非搭載のカメラでも大きな問題になることはありませんでした。動画撮影には三脚やジンバルが必須かと思います。ブリージング対策も万全で(動画でお見せする必要性を感じないほど)、AFも瞬時に合うのでシーンを問わず快適に撮影できるでしょう。どこを取っても隙らしい隙のない、流石の一本でした。APS-Cミラーレスでシステムを組んでいる方は必携の、いや、自ずと手が伸びますよね。
( 2025.07.02 )
APS-C用としては貴重な大口径標準ズーム。迷う時間は0秒で結構です。
こちらはライカLマウント用。
こちらは富士フイルムXマウント用。
フィルター系は67mm径。保護をお忘れなく。
広島電鉄650形のミニカー。パンタグラフ可動でよく出来ています。651号車は走行中に被曝し半焼するも、1946年には復旧。今も営業運転されています。
わずか90gのコンパクトな折り畳み傘。撮影行の邪魔にもならず、私も愛用しております。
傘といえば、、、
その曲は、こちらのベスト盤にも入ってます。