PHOTO YODOBASHI

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SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

2024年のCP+開幕前日、シグマが2本の新製品を発表しました。1本は「SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS | Sports」、そしてもう1本がこれからご紹介する魚眼レンズ、「SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art」です。いずれも大きな話題を呼び、CP+の会場でも実機を手にするために長蛇の列ができていたのもまだ記憶に新しいところ。魚眼レンズには「全周魚眼」と「対角魚眼」の2種類がありますが、こちらはちゃんと(?)四角い画像が得られる対角魚眼レンズです。それにしても魚眼レンズで開放F1.4って、いったいどういうことでしょう? そのあたりもしっかり確かめてみたいと思います。こちらはEマウント用のレポート。どうぞご覧ください。

( Photography & Text : NB )

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

まずは星景から。魚眼レンズでF1.4となればやはり星景というわけで、シグマの製品紹介を見ても、やはりまずは「星」がターゲットのようです。星空をきれいに撮るにはなるべく暗い夜、つまり新月の夜がいちばんの狙い目になるわけですが、自分の持ち物ならまだしも、今回のようにお借りしている場合はその間に新月が来ること、そしてその夜が快晴であることが条件なわけで、なかなかハードルが高い。

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

レンズをお借りしている間に新月がありましたが、関東地方はずっとグズついた天候。しかし、ぽっかりとその晩だけ、雲ひとつない空が広がったのは、普段の行いが良い以外の理由が思いつきません。この時期、天の川は午前3時頃に東の地平線から上ってくるのですが、当然、それを追いかけるように太陽が昇ってくるので、撮影ができる時間は意外に短い。向かったのは茨城県の海岸。なんとか春の天の川の姿を捉えることができました。

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

このレンズはサジタルコマフレアを始めとした各収差を良好に補正し、その結果、点像再現に優れるとのこと。その言葉通り、拡大すると実にくっきり鮮やかな星たちがそこにありました(上の画像をクリックすると原寸で表示します)。星の輝きに迷いがない、とでも言えばいいでしょうか。この作例では、絞り開放、ISO 400で8秒間の露光。天体撮影の標準的なセッティングだと思いますが、頭上に広がる天体をまるごと写しとるのに「15mm魚眼+開放F1.4」の恩恵がどれほど大きいか、推して知るべしでしょう。


SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

魚眼レンズはスナップ向きではない? 確かにそうかもしれません。でも、それは撮る人次第でもあります。むしろ画面中央に被写体を置く限り、勝手に強調してくれるのでスナップにも案外向いている気がします。

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

「現実的」と「非現実的」という相反する描写が1枚の中に同居する。それが痛快であります。

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

そもそも目で見た通りには写らないレンズなのですから、いろんなところにレンズを向けてみる。「ああ、これが、こんなふうに写るんだ」という小さな発見を愉しむ。だってそんな発見、普通のレンズではなかなかさせてくれないんですから。


SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

画面の上の方に写っているのは、私の背後にある建物です。不思議。

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB

面白いアングルを探して、ファインダーを覗きながらあちこち見回していると、ちょっと酔います。

SONY α7C II, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by NB


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今のところ、世界で唯一のF1.4フィッシュアイ

魚眼レンズ。まぁ特殊なレンズと言っていいでしょう。他に「特殊レンズ」と言われて思いつくのはシフトレンズぐらいでしょうか。しかしシフトレンズが「モノのカタチ」という面で究極のリアリティを表現しようとしているのに対して(もちろんいろんな使い方ができますが)、魚眼レンズはハナから大きくデフォルメしているわけで、その意味では写真用レンズとしてただひとつ、違う方向を向いているレンズという言い方もできそうです。

シグマによれば、魚眼レンズでF1.4という明るさは、民生用としては世界初とのこと。実にシグマらしい振り切り方だと思います。そもそも魚眼レンズにそこまでの明るさは必要なのか? という疑問が湧くかもしれませんが、大事なのは「F1.4という明るさ」なのではなく、「F1.4の魚眼なのに、開放から画面の隅々までシャープ」ということのはず。だからこそ、点光源が散らばる星景写真で威力を発揮するレンズなのですね。

もちろん被写体は星だけに限りません。魚眼とは言えF1.4、前も後ろもしっかりボケますし、立体感も大したものです(本稿のトップにある作例を参照)。この特徴ある(ありすぎる)描写を生かして、あるいはうまく出し引きすることでスナップや風景にも活躍の場がありそうです。

  • PHOTO YODOBASHIシグマの定石通り、左手の親指部分には各種スイッチやボタンが機能的に配置されています
  • PHOTO YODOBASHI感心したのがこのフロントキャップ。シートタイプのリアフィルター2枚を格納できるアイディアもさることながら、着脱にまったくストレスがない。レンズ前面にそっとあてがうだけで、あたかも自然に吸い込まれるように嵌り、確実にロックされます。大きく張り出した前玉に相当な注意が必要なレンズゆえ、このキャップの出来栄えは実にありがたい。

( 2024.03.27 )

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民生用レンズとして世界初となる、F1.4の明るさを持ったフィッシュアイレンズです。

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夏場ならいざ知らず、厳冬期の星景撮影は機材にも厳しいものがあります。このレンズにはレンズヒーターリテーナー(レンズヒーターを取り付けるための段差)があるので、安全・確実にヒーターを使用できます。

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