PHOTO YODOBASHI
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SONY RX10 V / SHOOTING REPORT
コンパクトデジタルとしては大型の1型センサーと高倍率ズームで、何でも撮れてしまうSONY RX10シリーズ。先代IVから約9年ぶりに、帰ってきました!「コンデジ」におけるポストコロナは暗黒時代のようでもあり、売り場の景色も大きく変わりました。RXシリーズについても意表をついたRX1 IIIの登場を喜びつつ、1型センサー機の将来を危惧していました。コンパクトなボディに技術をギュッと詰め込んだ、ソニーのお家芸とも言えるシリーズ。こうして帰ってきてくれただけで首を垂れたいと思います。RX10 III以来となる24-600mm相当の高倍率ズームレンズと、II以来となる1型積層型センサーを踏襲しながら、処理エンジンもBIONZ XRに刷新。AFがAIプロセッシングユニットによるリアルタイム認識になり、リアルタイムトラッキングにも対応しています。動画機能や端子も今様となり、使い勝手も向上。まさに最新のαシリーズと同じ感覚で使えるネオ一眼、待っていた方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。まずはこのカットも含め、4枚連続で600mm相当をご覧ください。
( Photography & Text : TAK )

600mm相当ともなると、近づきにくい航空機にも大胆に迫ることができます。AF認識対象は、オート、人物、動物/鳥、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機。今回掲載している12カットのうち、鳥の1カット以外、全てオートで撮影しております。つまり、基本的にずっとお任せでいけてしまう。これは相当に賢いAFです。もうひとつ嬉しいのが、AF/AE追随で最高約30コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影。流し撮りの最中でもファインダー像が途切れることがないので、撮影している側から「撮れた感」が増します。まるでαを使っているような、そんな感覚さえありました。

圧縮効果も絶大です。大胆に画角を絞ることで入れたい被写体のみが抽出され、背景の建物、地上のギャラリー、そして旅客機が同じ面に存在しているようにも見え、スケール感も強調されます。手ぶれ補正の効果については数値こそ公開されていませんが、この撮影でもピタッと止まってくれたので、問題ないと言えます。ちなみにAFは、この機体がまだ遥か後方で点に近かった時から捉え続けてくれました。夕暮れ時のこの光量で、です。ISO感度は800。ノイズが少し載り始めるかなというところではあるものの、フルサイズなどと比べるのは少し筋が異なります。なお、撮って出しのJPEGはノイズ処理がちょっと強めな印象を受けたので、今回は全カットRAW現像にてノイズ処理なしで、ディテール表現もオリジナルのままでお届けしています。後ほど、ISO 6400もご覧ください。

遠距離も背景からくっきり浮かび上がらせる、確かな力があります。1型センサー最大の魅力は、サイズと画質のバランス。ヒョイと構えただけでこの画質です。この日も酷暑でしたが、どれほど助かったことか。重量はバッテリー、カード込みで1.1kgほど。実際持ってみると1kg以下にも感じられ、本当に楽です。グリップやバランスが良いのもあるでしょうし、600mmという先入観がそうさせるのかもしれません。

ワイド端、24mm相当です。自然の営みを豊かな色彩とコントラストで活写してくれました。ピント位置は、背面に新設された「マルチセレクター」をジョイスティックのようにグリグリ動かすことで、自由に設定できます。このあたりも実に「α然」としていて、使い易いことこの上なしです。

中望遠の100mm相当で、日本史関連書籍の口絵を意識して撮ってみました。十分な圧縮効果で寺院の凛とした雰囲気、重厚感も自在に表現できます。この「バリオ・ゾナー」、相変わらず全域で本当によく写ります。ツァイスレンズという神通力を宿したカメラ。それだけで、手を合わせたくなります。

美しい光条。逆光でもへこたれません。

近接スローシャッターも手持ちで十分こなせる、手ぶれ補正力です。瑞々しさといい、色の深さといい、やはりツァイスは一味違う。このレンズにこだわる理由もわかります。

遠距離もシャープそのものです。構図はここから引いて空も入れるもよし、もっと迫るもよし。あまりにも自在なので、逆に迷うことも。使いこなすには単焦点を使い分ける経験も必要かもしれません。とはいえ、まずは楽しんで写真に取り憑かれて、技術は気がついたら備わっていた、くらいでもいいのかなと思います。

最大望遠でも太陽でいっぱいになるフレーミングにはならないので、500mmあたりで雲と地上の風景を入れました。濃淡表現も見事で、コンパクトカメラにありがちな曖昧さもありません。
電動ズームが効いてAFも良くてコンパクトとなると、動画ユースも大いに検討したくなるカメラです。もちろん、さらに大型のセンサーを搭載したFXやZVなどのシリーズと比べると、スピードなどで及ばぬ点もあります。ただ、近づきにくい被写体にも肉迫できる電動ズームの魅力は、何物にも変え難いでしょう。MI(マルチインターフェース)シューの新搭載も、嬉しいニュースです。「ECM-M1」などのMI対応マイクなら取り付けもケーブルなしでスッキリ。デジタル信号のままの高音質録音が可能で、指向性も自在にコントロールしながら狙った被写体の音にフォーカスできます。ハンディカムの後継も寂しい状況ですが、このカメラなら十分代替可能です。

オンリーワンの、オールインワン。
600mmのリーチのまま、AF周りを含めαの領域にまで到達したこと。そこから新たなシャッターチャンスをもたらしてくれること。このカメラは唯一無二の価値を放っています。無論、レンズ交換式のαと全く同じ速さで動作するわけではなく、コンパクトなカメラにそれを望むべきではないと承知しているのですが、そこは今後の様々な大刷新を経て見えてくる世界なのかもしれません。ともかく、このカテゴリーにおいてはピカイチのパフォーマンスであることは間違いなく、ネオ一眼、コンパクトデジタルというカテゴリーの灯火を絶やさなかったことにも、極めて大きな意義があります。小さなバッグにもスルッと入り、交換レンズも不要で機動力も抜群。それでいて、並のコンパクトカメラでは到底真似のできない高画質をもたらしてくれるのですから、旅行やアウトドアなど、撮影の可能性を担保したまま極力荷物を減らしたい場面でも重宝します。登山で登頂後に、そこから見える別の山をグッと引き寄せる、なんて使い方もRX10 Vならできてしまうのです。日常の撮影でも、バッグ容量に余裕があればそのαに明るい単焦点を付け、サブとしてこのカメラを使うのも楽しいでしょうね。あらゆる被写体に、あらゆる距離に、あらゆるオケージョンに最適なRX10 V。「ただいま」の声に、応えようではありませんか。
USB端子はType C(10Gbps)に。HDMI端子はより大型のタイプDになり、扱いやすくなっています。MI(マルチインターフェースシュー)搭載で、ケーブルレスのマイク接続も可能になりました。モニターは先代同様チルト式ですが、600mmで自撮りはしないと思うので、理にかなっています。私のような自撮りをしないユーザーには、光軸上で見られるし横に出っ張らないので、むしろ嬉しい仕様でもあります。
電池がNP-FZ100型になり、スタミナがアップしています。静止画にも動画にも使いたくなるカメラなので、こちらも合理的ですね。
前モデルのIVから外観も大幅に変わり、「肩」が撫で肩からフラットに。軍艦部の液晶も無くなりました。グリップも大型化されましたが、かなり軽く感じます。電源投入から撮影スタンバイまでのタイムを競わせたところ、やはりVの圧勝でした。
武家で言う、待ち望んだ嫡子嫡女の誕生。これでRX10シリーズも安泰であります。IIまでの200mm望遠端はRX100シリーズに引き継がれているので、願わくばそちらのお世継ぎ様も、、、。RX100 VIIとか、もう大っ好きですから。
( 2026.08.02 )
コンデジ is NOT dead! 世の中は色んなタイプがあるからこそ、楽しい。こんなカメラ、他にありません。
大容量化されたとは言え、もう一本あれば百人力ですね。
これも実はツァイスです。
こちらはアイスです。一休み、いかがでしょうか。


