PHOTO YODOBASHI
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SONY RX10 II / SHOOTING REPORT
1インチサイズのセンサーを搭載したコンパクトカメラとして2年前に登場した「RX10」。F2.8通し24-200mm相当の高倍率ズームを擁し、確固たるポジションを築いてきました。その大きな理由のひとつに、高倍率ズームでありながらも緻密でクリアな描写をもたらすという点が挙げられると思います。そして今回の「RX10M2」は先代のコンセプトをキープしながら、新開発の「メモリー一体1.0型積層型Exmor RS CMOSセンサー(約2020万画素)」を積み込んできました。画素領域と高速信号処理回路を積層構造化し、裏面にメモリーチップを搭載しているとのこと。処理速度が高められたことにより4K動画撮影に対応したのと同時に、スチル撮影時には目を見張るような速写性が備わりました。緻密な描写を活かせるシーンがさらに広がったことは大変喜ばしいことです。
( Photography : Z II / Text : KIMURAX )
新しいセンサーの搭載により、データの読み出し速度が従来機から約5倍も速くなったことで、速写性能に磨きが掛かりました。電子シャッターのスピードは最高1/32000秒をマーク。目にも留まらないような一瞬を、いとも簡単に写し止めることができます。シャッタースピード優先時の連続撮影枚数は、10コマ/秒だったのもが14コマ/秒へと飛躍的に増える結果に。また、AF性能に関しては、デジタル一眼カメラのα7シリーズに採用されている「ファストインテリジェントAF」を搭載しているとあって、気持ちよいほどに素早く被写体を捉えてくれました。
中望遠域での撮影です。いい色に日焼けした中学生たちでしたが、肩や背中を見ると、濡れた艶やかな部分はもとより、日焼けで乾燥しきった肌の質感までもしっかりと捉えているのがわかります。今ご覧になっているモニター画面で、真ん中の子の頭の左側から上に向かって、白い粒みたいなものが飛んでいるのが見えるでしょうか?ちょうど頭を縦に振ったことで飛び散った水滴なのですが。データを拡大して見ると、その一滴一滴をつぶさに描き込んでいるのには正直驚かされました。
広々とした砂浜をテレ端で切り取りました。海は画面縦方向に見ておよそ4分の1ほどしかありませんが、その間でみるみる変化している色合いを自然なグラデーションで描ききっています。
手入れが行き届いていたクルマですので、映り込みがより美しく感じられるのです。シャドーエリアの階調も十分にキャプチャーしつつ、見たままの艶やかさや被写体の素材が持つ質感までも、あますことなく再現しています。
歪曲具合を見るために、ワイド端で画面周辺近くに直線部分をレイアウトしてみました。パソコンのモニターに定規をあててみるという強硬策に打って出ても、ほとんど歪曲を感じることはできません(笑)。加えて、高コントラストながら明暗バランスよく捉え、タイル一枚一枚をきっちりとシャープに描き込んでいるその描写力はさすがの一言です。
木漏れ日が差し込んではいるものの、うっそうとした木々に囲まれひんやりとした薄暗い渓流。波形をピタッと写し止めるために、ISO1600に感度アップしてシャッタースピードを稼ぎました。多少なりともノイズが乗ってくれば、ざらつき感が生じ自ずと被写体の艶感が失われてくるものですが、どうもそのようには見えませんね。照らし出された艶やかな波形を見事に再現しており、ISO1600でも十分常用レベルと考えて差し支えないでしょう。
テレ端開放で被写体に近づけば、背景のボケもMAXに。ボケ味は背景との距離や明るさも影響してきますが、総じてなめらかな印象です。ちなみにワイド端のワーキングディスタンスは約3cmと従来機と変わりありませんが、テレ端は約25cmとなり5cmも縮められています。200mm相当でこれだけ近づければ申し分なしでしょう。
フォーカスポイントをしっかりと確かめながら背景のボケ量を調整していく際にはやはり、ファインダーを覗きながらの撮影スタイルがしっくりきます。0.39型のEVFは今回、約236万ドットへとアップ。高精細化が図られたことにより益々活用しやすくなりました。場面に応じて3.0型の背面液晶モニターとの使い分けになるでしょうが、バッテリーのもちを考えるとEVF使用時の方がもちますので、そこら辺もちょっと頭の片隅に入れて旅行などに連れ出してみるとよいでしょう。ところでどうですか、この作例の仕上がり。花や葉の質感そして立体感に溢れる描写に、感心するばかりです。ホントに。
さらなるスピードを手に入れ、さらなる世界へと切り込む。
ボディの質感・操作感もしっかり。エクステリアデザインに大きな変更点は無いものの、名実ともに秀でたレンズを擁する鏡銅とエッジを効かせた流麗なフォルムは、RX10からRX10M2へと継承されたアイデンティティと言ってもいいでしょう。モデルチェンジのサイクルが比較的に短いコンパクトデジタルのカテゴリーにありながらも、2年がかりのリニューアル。そのスパンからしても、初代モデルにして既に完成度が高かったことが伺えます。約2020万画素の1インチのセンサーにF2.8通しの24-200mm相当のズームを組み合わせ、普段使いのあらゆるシーンを緻密でクリアな「高画質」で切り取る楽しさを提供してきたRX10。そこに圧倒的な処理速度が加わったRX10M2となり、新たなシーンへと切り込んでいくことが可能になったのですから、2世代目にしてもう怖いもの無しという領域に突入した感すらあります。よほど凝った撮影をしない限り、これ1台で事足りてしまう。気になってしまった方は、ぜひ手にとってみてください。
( 2015.08.09 )
4K動画記録に対応し、メモリー一体積層型のCMOSセンサーを搭載。データの読み出し速度は従来型に比べ、なんと5倍以上。静止画だけでなく動画に強いレンズ一体型コンデジは一台あると重宝しますよ。
レンズ一体型のコンパクトデジタルカメラですから、もちろんレンズは交換できません。しっかり保護して大切に使いたいですね。カール・ツァイスレンズには、やはりロゴの入った純正のフィルターを選ぶのが、オトナのたしなみというものです。
長時間の撮影にも予備バッテリーを持っていれば安心です。本体内充電よりも短時間で充電可能、携行しやすいコンパクトサイズのチャージャーはバッテリーとセットになったキットの購入がオススメ。
ケースをストラップに提げたまま撮影ができるので、持ち運びにも便利なジャケットケース。RX10専用でピッタリをフィットし、大切なカメラを保護します。