PHOTO YODOBASHI
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SONY α7CR / SHOOTING REPORT
2020年10月に発売されたSONY α7Cの流れを汲む、約6100万画素の高画素モデル「SONY α7CR」の登場です。元となったα7Cも2世代目へとチェンジされましたが、高解像度版の α7CR まで同時に登場させるあたり、毎度毎度SONYというメーカーの馬力には驚かされます。ご想像のとおり α7R V が持つ機能をコンパクトなボディにギュッと凝縮したモデルであり、センサーや映像エンジンは同じものが搭載されています。 ニーズに応じて裾野の広いラインアップのαシリーズですが、「コンパクトボディ&高画素」というパッケージそのままに、気負わず普段使いするかのようにテストしてみました。気になったときにカバンから取り出してパチリ、といった軽い感覚です。気になっている皆さんの参考になれば幸いです。
( Photography & Text : K )
細密な描写を手のひらでカンタンに
同じキーデバイスを搭載すれば当たり前なのですが、α7R V同様の高精細なキャプチャが得られます。ただ、このコンパクトなボディでそれが得られてしまうことに、少し自分の頭のピントが合わない感じです。実になんの気なしにシャッターを切ってしまう。身構えずに、手ブレも気にせずに。手ブレ補正も実によく効けば、AFも躊躇なく意図したところにスッと合う。高画素機にも関わらず、まるで緊張感が伴いません。大きな木を見上げ、パチリ。「目が痛いわ」と、半ば呆れてしまいます。
これだけの画素数となれば、少々はノイズでザラつきそうなものです。雲の部分の表情を出す露出を選び、現像時にコントラストを整えて雲の輪郭を少々派手めに強調します。とすると、青空のトーンも詰まってしまい全体的に艶やかさが失われそうなものですが、大したものです。
打ちっぱなしのコンクリートの表情を再現するのはわりと難しかったりします。ペタッとした平面に、きめ細かな表面。高画素で肌を細かく捉えて、階調再現もそれなりでなければ、うまく表情が出ません。見たとおりによく再現されていると思います。
想像がつくと思いますが、普通に撮ってJPEGデータを見れば、手前の壁はもう少し黒く潰れ、空はもう少し白く飛び気味になります。ほんの少しアンダー目に撮って、RAW現像の際に空のトーンを寝かし、壁のシャドウを持ち上げています。カメラが作るデータが貧相だと、メリハリのなくなる調整なので、そのままメリハリのない画になってしまいがち。まるでカラーネガフィルムで撮影したかのように、きちんと成立します。
性能的なポテンシャルを余力として使える贅沢
コンパクトなボディは日常シーンに連れ出しやすく、高画素は解像する力だけでなく濃密な階調再現にも力を発揮します。つまり緻密な画を作ってくれるわけです。故にピントを置いた被写体を立体的に見せてもくれます。
芦ノ湖をバックに、BGMを流しつつ舞う女性。もう随分前にリリースされた55mm F1.8も、良い仕事をしてくれます。こんなに立体的に写ったかなあと感じるのは、ボディの力なのか。舞のような動きが予想できない状況ですから、試しにAFでトラッキングを行い10カット程度撮ってみました。1カットたりともピントを外さないのに驚かされます。上半身を伏せたり半身になったりと忙しいのですが、そのどれもをパーフェクトに捉えます。どんなアルゴリズムなのだろう。。感心させられます。なお、AFのトラッキングは人物、動物、鳥、昆虫、車、列車、飛行機と幅広くサポート。
やはり高画素機と明るいレンズの組み合わせは面白い。ピントを置いたポイント、そこから連なっていくボケを、いかに緻密にキャプチャできるか、ということなんでしょう。
奥からのハイライトから連なってディープシャドウまで、美しい描写です。
超広角ズームで、F2.8とはいえ、ピントを置いた男性までなかなかな距離です。この立体感!
α シリーズ中、最も贅沢(?)な1台
α7R V のボディサイズに不満がなければ、α7R V をお買い求めになるのがよいと思います。α7CR が見劣りするのは、個人的にはファインダーぐらいなものだなといったところ。ただし、それも α7R V のファインダーが図抜けて美しいといっただけで、α7CR のファインダーだって十分に感じます。あとは、たとえばオプションである縦位置グリップ等のシステム発展性の話だけだろうと思います。本気でツメツメの撮影を行うにもバッチリ答えてくれるものを持っているのに、コンパクトさを活かし、カバンに忍ばせて日常的な撮影に最高の性能を使えるなんて、ある意味でとても贅沢なカメラだと感じます。コンパクトで軽ければ、まあ持ち出しますもんね。これって本当に正義です。あとは、映像収録用途にはジンバル等への載せやすさなどを考えてもピッタリな1台であると言えます。α7C登場時、我が編集部でもオーナーが複数出現しました。御存知の通り、我々は「そこいら」を主戦場とする撮影者で、ある意味で日常的なシーンしか撮影していません。スタッフが、乗り換えるのか買い増すのか、ちょいと楽しみな1台です。高画素機ってのは、本当に魔力がありますもんね。
( 2023.10.16 )
フルサイズセンサーとしてもトップレベルの高画素センサーを採用し、世界最小クラスのボディサイズはそのままに、α7R Vに並ぶ性能を手に入れたソニーの意欲作です。
α7Cで好評だったシルバーボディがα7CRにも用意されました。軍艦部をメタリックなシルバー塗装とするだけで、クラシックでエレガントな印象になりました。
カメラボディのUSB-Cポートから直接充電できるようになっても、予備のバッテリーを備えておくことは心の余裕に繫がるものです。カメラバッグに1つは忍ばせておきましょう。
軽量・コンパクトなボディに大口径レンズをマウントするとレンズヘビーになりがちです。そんな時にこのグリップがあると、より安定した形でカメラをホールドできる優れもの。
VLOG撮影でのカメラ操作を行えるほか、足を広げればミニ三脚としてもお使いいただける、動画撮影には必須のアイテムです。
ワイド側を20mmまで拡大した標準ズームレンズ。スチル撮影はもちろんのこと、VLOG撮影にも最適な画角をカバーしています。
2型となったF2.8の大口径広角ズームレンズ。このレビューでも多くのカットで本レンズを使用しています。
フルサイズEマウントのハイエンド標準レンズ。F1.4の大口径ながら、コンパクトなサイズとG Masterレンズに相応しい写りを実現しています。
こちらは海外の電力事情に合わせたオーバーシーズモデル。ヨドバシカメラの店頭でご購入いただけます。