PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY α1 II / SHOOTING REPORT
ソニーのフラッグシップカメラ「α1」の第二世代となる「α1 II」が登場しました。「α1」が発売されたのは2021年3月。それから4年近く経過していることからも着実に進化しているのは想像に難くありません。新たに「AIプロセッシングユニット」が搭載され、「プリ撮影機能」と「連写速度ブースト」に対応。画質面ではノイズリダクションが進化。ボディ内5軸手ブレ補正の効果は従来モデルの5.5段から中央8.5段・周辺7.0段に向上。モニターには4軸マルチアングル液晶が採用と、まさに正常進化と呼ぶに相応しいと言えます。センサーや画像処理エンジンこそ「α1」を継承していますが、これは解像力や処理スピードのほか多岐に渡るファクターを高次元で叶える域に既に到達していたからなのではないかと推察します。注目したいのは、AI AFに対応したこと。これにより動物全体を認識する力は従来モデルの3割増。鳥認識に関しては5割増とのこと。よりオートマティックに、さらに使いやすいAFシステムに進化を遂げているようです。冒頭のカット、かなりのスピードで迫ってくるオオタカを難なくトラッキングし続けることができたのも、「α1 II」のAF性能の高さがあったから(画像クリックで等倍画像がご覧になれます)。αボディではお馴染みの4軸マルチアングルモニターの採用も嬉しいかぎりです。4軸マルチアングルはチルトもバリアングルも両方可能です。初代「α1」が苦手としていた縦位置でのローアングル撮影も難なく行えるようになりました。
( Photography & Text : Z II )
強化されたAF周りはやはり気になるところ。試しに街中を走る車を捉えてみましたが、まずやはり捕捉する力が格段に上がったなあという印象です。機材の力なのでしょうけれども、流し撮りの腕が上がった気になり楽しくなってしまいました。
さらにシャッタースピードを遅くして1/10秒で撮影。手ぶれ補正が効いてるのか定かではありませんが、とにかくバシバシ決まります。手応えを感じる撮影はやはり楽しいですね。そして写りもまた良いのです。被写体の艶かしい描写に息を呑みます。
千葉県流山を拠点に活動している「鷹の庵」さんの協力の元、鷹のパフォーマンス風景を撮らせていただきました。「鳥」の認識性能の向上によりトラッキング精度は驚くほど高く、画面内に納めさえすれば瞬時に捉えてくれます。それでもさすがにスピードに乗った状態からの急激な方向転換には撮り手が追いつけないというシーンは多々あり、鳥撮影の奥深さを感じました。こちらのカットは、連写で撮影した内のワンカットです。
連写で撮影したカットを繋げてみました。こちらの撮影ではプリ撮影機能を使用したことで、シャッターを押す前の鷹の様子を捉えることができました。カメラを抱え動きながらの高速連写ですが、被写体をフレーム内に収めておきさえすれば、強力に食いついて捉え続けてくれます。その1枚1枚の描写からは躍動感を感じますし、鳥の羽の質感まで伝わってくるようです。とにかく処理スピードの速さには驚くばかり。慣れない撮影ではありましたが、機材に助けられました。
5010万画素ですから、画素数なりの解像力は当然といえば当然なのですが、それにしても良く写ります。葉の色づき途中の微妙な色合いが混ざり合うシーンですが、線、そして色や光の濃淡をあまねく拾い上げています(画像クリックで等倍画像がご覧になれます)。
身近なものを捉えてもご覧の通り。葉の厚みやしっとりとした質感はもちろん、その色味まで。実に艶かしい描写です。パッと見で分かりやすい画というよりは、よりリアリスティックな再現と言えるでしょうか。
撮り甲斐を感じさせる美しいトーン。コントラストにも気品があり陰影の表現が巧みです。難しいことをさらりとやってのける稀有なカメラと申しますか、何気ないシーンにレンズを向けた時に底知れぬ実力を感じる恐ろしいカメラです。
高感度も見てみましょう。こちらはISO 10000で撮影。メーカーによる常用感度は100〜32000とのことですので、余力を残しているとはいえ、あたかも低感度で撮影したかのようなクリアな写りに驚かされます。ディテールもしっかりと残っていますし、コントラストも上々です。
ボディサイズはα9 IIIと全く同じ(幅×高さ×奥行)約136.1 x 96.9 x 82.9 mm。重量は初代モデル「α1」より6g増の743gとなっています。マウント部のオレンジ色のリングは目立たなくなり、より精悍な印象に。
- 厚みは初代モデル「α1」よりも約2.1mm増。グリップ部も1mmほど深くなっています。よりしっかりと握りやすくなった印象です。
- モニターには新たに4軸マルチアングル液晶が採用され、チルトもバリアングルも両方可能になりました。横位置でのローアングルの際はチルトしてレンズと同軸で被写体を見ることができ便利ですし、バリアングルにすれば縦位置のローアングル撮影の際に便利です。見た目がスッキリしたのは、軍艦部右側の露出補正の目盛りが無くなったからでしょうか。
- 動画、静止画、S&Q切り替えダイヤルは二層式に変更になり、ロック機能により不意に触れても誤操作をしにくい仕様になっています。
- HDMI端子タイプA、LAN端子(2.5GBASE-T、1000BASE-T、100BASE-TX)、ヘッドホン端子、マイク端子、シンクロターミナル、USB Type-C端子、マルチ/マイクロUSB端子を搭載。
- カードスロットは初代モデル同様。SD (UHS-I/II対応)カード、CFexpress Type Aカード対応のマルチスロットが採用されています。
熟成されたソニーのフラッグシップ
新しい方を手にした時点で当然と言えば当然かもしれませんが、「もう初代には戻れないな」と思ってしまいました。初代「α1」は"THE ONE"という特別な称号を与えられたカメラ。公式にフラッグシップと位置付けられた初めてのαでもありました。もちろん基本性能は非常に高いもので、登場から4年近く経過した現在においても未だトップクラスの性能を誇ります。ですが、"THE ONE"の2世代目は更に強かった・・。AFシステムは、よりオートマティックに、さらに使いやすいAFシステムに。画は高精細で美しく、操作系は洗練されている。なにより「手応え」や「撮り甲斐」を感じられて撮影が楽しいのです。もちろん価格はそれ相応なのですが、考え方によってはある意味経済的かもしれません。「α1 II」は、スピードに特化したカメラ、高画素を載せたカメラ、高感度に強いカメラ、、、複数台のカメラを高次元にひとつにまとめあげたようなカメラです。この1台を手にすれば、あらゆるシーンを下支えしてくれる、そんなカメラに仕上がっています。
( 2024.12.26 )
フルサイズミラーレスのトップオブトップと言っていい素晴らしい出来栄えです。
今回使用したソニー初のF2通しのズームレンズ。ボケ、キレ、抜け、どれを取ってもまるで大口径単焦点レンズのような素晴らしい写りです。
ハイスピードで連写を多用するならこちらがおすすめ。ボディを購入すればちょうどポイントで購入できちゃいますね。
大事に長く愛用していただくために保護は大事です。