SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS | Sports

シグマから、コンパクトな超望遠単焦点レンズ「SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS | Sports」が発売されました。現在LマウントとEマウントが用意されており、こちらはLマウントのレビューとなります。本レンズの魅力はなんといっても手持ちでサクサクと撮影できる超望遠レンズということ。コンパクトであるのは先ほども申し上げましたが、最大径は約10.7cm、長さは約23.4cmと、とにかく小型。公式の謳い通り、まさしくハンディサイズになります。質量も1,370gとかなり軽量で、例えるなら、大口径中望遠レンズよりも一回り細いレンズを手にしているような感覚といったところでしょうか。また強力な手ぶれ補正のサポートがあり、俊敏なAFなど、ポテンシャルも極めて高そうです。スポーツや野鳥、鉄道や飛行機撮影などが先ず想定されますが、今回は敢えて、このサイズ感だから持ち出せる機動性と、500mmで撮れる世界を身近なシーンで楽しんでみることにしました。

( Photography & Text : TA )

やはり単焦点だけあって、コントラストが高く抜けの良い描写です。ピントの立ち具合も抜群に良いですし、繊細な描き込み具合もさすが。単焦点レンズらしい余裕を感じさせます。

小動物園の鳥コーナーにて、アネハヅルを金網越しに捉えてみました。浅い被写界深度は金網や背景を完全に溶かし、優れた集光力はゲージの中に僅かに差し込む光をしっかりと拾っています。被写体が静かに浮かび上がってくるような写りに背筋がゾクっとしました。それにしても艶かしい写りです。（画像クリックで原寸表示します。）

毛の硬いところと柔らかいところ、その手触りまで感じとることができます。猛烈なキレを持つレンズですが、それを手持ちで振り回せるというのは実に気持ちが良いものです。（画像クリックで原寸表示します。）

雲や山などにかかっているとはいえ太陽の光は強烈です。真っ直ぐレンズを向けていますが、ご覧のとおりフレアやゴーストなどしっかりと抑えられています。コントラストの低下も見られません。逆光に強い超望遠ですから太陽を主題にした撮影も面白そうです。このクラスのレンズを、特殊な光学系を使用せずにこれだけコンパクトにまとめあげているのです。すごい、天晴れとしか申しようがございません。

実直な写りで、前後ともにボケが騒がしくありません。被写体の見せたい部分を浮き上がらせるのに長けているので、美しく大きなボケを利用した画作りが楽しくもありました。引きが可能な場所であれば人物撮影なども面白いでしょうね。

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fp Lにマウントさせると、もはや超望遠を手にしている感覚はありません。fp Lマウント時は、カメラをホールドするというよりはレンズをホールドするイメージで、胸位置あたりでの撮影が心地よい印象でした。撮影ポジション次第で、切り取り方も当然変わってきます。カメラを持ち替えてみるのも一興です。

人物の背景が道路というのもなかなか新鮮でしょう？見慣れた街も、500mmをマウントするだけで新しい扉が開かれます。シャッターを切る回数も自ずと増えてしまうというもの。軽装で持ち出しやすい超望遠は、何かと使いでがありそうです。

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「あれもこれも欲しい」が叶う、超望遠単焦点

500mmともなると、まずは何にでもレンズを向けてみたくなるものですね。遠くのものにリーチできるのはもちろんですが、大きなボケや圧縮効果、強烈な切り取り感によって見慣れた街も未だ見ぬ景色のような感覚にさせてくれます。面白味に溢れたスペックですが、重厚長大で三脚必須となると使い道はおのずと限定的になってしまいます。そういった制約を一切合財取っ払ってしまったのが本レンズ。冒頭でも申し上げましたが、かなりコンパクトで軽量、そのうえ強力な手ぶれ補正が搭載されており思うがままの手持ち撮影が可能です。想定される被写体や撮影シーンは言うまでもなく、それ以外のシチュエーションでも様々に使いでがあるでしょう。「今日は50mmレンズでいくか」といった心持ちで「今日は500mmレンズでいくか」と、そんなことができてしまうのです。ラフさをとって写りは少々妥協する？そんな必要もございません。単焦点ならではの解像感や猛烈なキレに加え、繊細さを感じる写りで、コントラストや抜けの良さにおいても最高峰クラス。思わず笑みがこぼれてしまいました。自由自在に操れる超望遠レンズ、しかも写りも極上となると、こんなレンズなかなかそうありません。写りの良い超望遠が欲しい。機動力も欲しい。写欲をあげたいなどなど。「あれもこれも欲しい」は、この1本で叶います。

( 2024.04.26 )