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SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art

シグマからリリースされたLマウント対応の魚眼レンズ「15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art」のレビューをお届けします。本レンズは、四角い画面に対角180度の視界が凝縮される「対角魚眼レンズ」。真正面にレンズを向けて撮影する時でも、ひょいと腕を前に伸ばして構えないと自分の足元が写り込んでしまいます。周辺の情報をギュギュ~っと四角い平面上に詰め込むのですから、撮像はムギュ~となるわけです。ちょっとレンズを向ける角度を変えるだけで、見る見る印象が変わってしまうギミックフルな画。そこが魚眼レンズを使う楽しみのひとつと言っていいでしょう。ことさらスナップ撮影ではその破壊力はなかなかのものです。ということもあり、魚眼レンズの周辺画質に関しては、あまり積極的に語られてこなかったようにも思うのですが、今回はシグマ渾身のArtレンズ。それ相応の画力が期待できるのではないでしょうか。しかも開放F値は“1.4”。開放で撮れ、という開発者からのメッセージとも思えてしまうわけでして。ではその写り、見ていきましょう。

( Photography & Text : KIMURAX )

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

対角魚眼レンズのデフォルメ効果がわかりやすいカットからご覧いただきましょう。視線を下げると平らなはずの街並みはぐいっと歪曲し、雲は渦を巻くかのような変貌ぶり。フォーカスしたクレーンの先から垂れ下がるフックへのワイヤーは、本来垂直なはずですがまるで振り子の様です。遥か彼方の送電線までしっかり描き出しており、焦点距離15mmの被写界深度の深さが窺えますが、絞り開放からこの描き込みには正直驚かされました。絞り自体が必要なのかどうかと。

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

日本で初めて野球が教えられた地として建立された「日本野球発祥の地」の碑。魚眼レンズマジックにかかれば、背景の建物たちはボールを握る手を囲むが如く、いやはや劇画的な雰囲気ムンムンです。そんな視覚的効果についつい目を奪われがちですが、F1.4ですから背景はボケますし、何せ描写力の確かさが光ります。手やボールのフォルムは克明に描き出され、ブロンズの質感も余すところなく再現されているあたり、さすがです。

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

対角魚眼レンズらしい効果はありつつも、なるほどやはり単焦点レンズらしい実にクリアな描写を見せてくれます。光の捉え方から、ガラスや金属の質感描写に至るまで隙が感じられない。6100万画素のカメラボディfpLの解像力を活かしきる光の情報が、本レンズを通して存分に届けられているのでしょう。トーンの連なりも言うことなしです。


SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

何を撮ったのか一瞬理解できないカットですね。レンズを下支えする左手を石垣の角にくっつけて撮影したものです。ここに見えている石垣の幅はざっと50m前後はあったでしょうか。それがこの画面内にギュ~っと凝縮されてしまいました。石垣は前ボケで模様と化しながら、フォーカスした松林はキリッとクリアに描き出されています。

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

絞り開放から大変キレのある像を結ぶレンズですが、ダメ押しでその広大な視界で竹林を飲み込んでみました。 いかがでしょう、隅から隅までクッキリはっきり解像しているではありませんか。鋭利な葉の先まで緻密にトレース。歪曲効果で竹のしなりはより盛大に、ダイナミックさに拍車がかかります。

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

やはり既存の魚眼レンズの写りとは明らかに一線を画す解像力ですね。歪曲効果はありながらも描写性能自体にまったく荒を感じないからなのか、そんなギミックの部分にさほど気を取られないのか、なんだか大袈裟に感じないのです。スナップ撮影に連れ出しても、かなり楽しめるレンズだと思います。よく写るだけに、なおさらです。


SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

幅3~4mほどの通路を見上げれば、広々とした空間の様に広がります。狭い空間でこそ威力を発揮するというものですし、F1.4の明るさがありますからグイグイ攻め込んで行きましょう。

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX

明るいレンズだからこそナイトシーンにも連れ出せます。絞り開放から解像力がしっかりあるので、ISO感度をむやみに上げることなくトーン豊かな描写が得られるのもいいですね。画面周辺に点在する光源の整い方を見る限り、コマ収差もしっかり抑え込まれています。魚眼レンズとしては並外れた光学性能だと言っていいでしょう。

SIGMA fp L, 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art, Photo by KIMURAX


PHOTO YODOBASHI

  • PHOTO YODOBASHIただのレンズキャップではありません、カバーレンズキャップです。一体型フード完備とはいえドンと突き出した目をしっかりとカバー。内側にはご覧の様に、左右が開きシートタイプのリアフィルターが収納できます。
  • PHOTO YODOBASHI鏡胴には「フォーカスモード切換えスイッチ」「AFLボタン」「MFLスイッチ」「絞りリングクリックスイッチ」「絞りリングロックスイッチ」が備えられ、痒いところに手が届く操作性はさすがシグマのArtレンズ。

冴えわたる、対角180度の視界。

魚眼レンズ特有の歪曲した描写が楽しめながら、絞り開放から画面全体に行き渡るキレのある像で魅せてくれるではありませんか。メーカーが謳う「魚眼レンズの常識を覆す圧倒的な解像力」は確かだなと。全長157.9mmの鏡胴に15群21枚構成という、特殊硝材を含むレンズがぎっしりと詰まったこれぞArtレンズの写り。重量は1360gと今回マウントしたfpLの427gに比べてもかなりずっしりとしたものですが、本レンズが叩き出す画を見れば、持ち歩き、振り回すことなど何の苦にもなりません。むしろそこも含めて楽しみたくなりました。個人的経験を言わせていただくと魚眼レンズを手にすると、そのギミックフルな描写にまかせて勢いで撮っていた節があったように思いますが、本レンズはそういう撮り方にならなかったと申しましょうか。しっかりと周辺までよく写りますから、ワンカットずつ気を配りながら丁寧にシャッターを切っているから不思議です。魚眼と言えばある種飛び道具的なジャンルに分けられがちですが、そことは一線を画す頭一つ抜き出た存在だと感じます。超広角が好きな方はもちろん、魚眼に興味はあったけど何となく踏み出せなかった方にも、刺激的な一本となるはずです。無類の魚眼好きという方は、下のカートへとお進みください。

( 2024.03.27 )

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シグマが世の魚眼レンズたちに、ゴツンと一発ぶちかましてきました。この描写、この重量、この価格で。

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フィルターワークで表現の幅をさらに広げるのもいいでしょう。

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