実写インプレッション [dp3 Quattro]

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SIGMA

SIGMA dp3 Quattro | SHOOTING REPORT [2nd]

dp3 Quattro SHOOTING REPORT 01 | dp3 Quattro SHOOTING REPORT 02

フィルムが写真撮影の中心であった頃、写真が面白いなと感じ始めてきた方なら「被写体や表現したい世界観によってフィルムを変える」ということを試されたのではないでしょうか。そして同じ被写体が感材でこうも変わるのかと驚かれたと思います。デジタルの時代になって感材はセンサーに置き換わり、フィルムのように簡単には変えられないものになりましたが、それだけにカメラボディの一番の特徴は搭載するセンサーにあると思います。中でも個性あふれるのが、シグマDPシリーズに搭載されるFoveonセンサーでしょう。フィルムの頃のように「個性の違うセンサーを使い分けてみたい」という想いを持つ筆者にとって、DPシリーズはその欲求に応えてくれる希有な存在であり、だからこそ初代モデルから愛用してきました。

現行の最新センサー「Quattro」を積んだdpシリーズの中で、dp3 Quattroは焦点距離にして50mm、35mm判換算画角としては75mm相当という、中望遠レンズの感覚で使うことができるカメラです。レンズ固定・単焦点のカメラとしても珍しい存在ですし、「触れたくなるような写真を撮りたい」筆者にはピッタリ。この2ndレビューでは、じっくりと時間をかけてこのカメラを使った感覚をお伝えしたいと思います。

( 写真/文:A.Inden )



SIGMA dp3 Quattro, 1/1250, F2.8, ISO 200, Photo by A.Inden

最初はボディの形に少々戸惑いました。ただ約1ヶ月間使用しているうちに、ホールディング、AF精度、色再現等すべてにおいて「使いやすさ」を感じ、この進化にこの形が必要ならば正しかったと思えるようになりました。従来のDPシリーズのような気難しさはなくなり、誰にでもおすすめしやすいカメラになってきたと感じます。それゆえか、先代にあたるFoveon Merrilセンサーまでと比べると少し個性が薄らいだように感じたのも正直なところです。でも時間をかけて付き合っていくと、それが杞憂だったことに気が付きました。

作例を並べ細部まで楽しんでいるうちに、その写真にはやはりFoveonセンサーだから描けたものがしっかりと感じられたからです。洗練された日本料理のように、じっくりと味わうことではじめて感じられる世界。作り手による細部へのこだわり。dp3 Quattroは、そんな日本のものづくりを象徴するように、繊細な進化を遂げたのではないでしょうか。

前置きはさておき、実際の描写を見ていただくとしましょう。すべての作例にピクセル等倍で切り出したものを掲載していますので、じっくりとご覧いただいて「らしさ」を感じていただけたら幸いです。

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SIGMA dp3 Quattro, 1/320, F2.8, ISO 200, Photo by A.Inden

幾重にも重なる桜の枝を他の要素を排除しながら切り取ってみました。全くコントラストがない光にもかかわらず、ピントがあった花びら一枚一枚が浮いてくるような立体感のある描写ですね。さらに驚くべきことに、距離を感じるようになだらかにボケていく中にも一輪一輪花の姿が感じられます。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/200, F2.8, ISO 200, Photo by A.Inden

べったりとした光のなか開放で撮影。コントラストをつけにくい条件にもかかわらず手前の人物の立体的でクリアーな描写は見事です。そして遠景にいくにつれレイヤーのように重なっていく湿気の層を目で見た以上に感じさせてくれる描写はFoveonの味でしょうか。敢えてピントピークでない部分を切り出してみましたが、このあたりの層を感じていただければと思います。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/2000, F5.6, ISO 200, Photo by A.Inden

言葉はいりません。水の再現力においては他のセンサーと明らかに次元の違う描写を見せてくれるFoveon。沖にある波の煌めき一つひとつを分離する再現力はただ画素数が多いだけでは説明できないですね。レンズも素晴らしいと思います。dpシリーズの中でもdp3はFoveon Quattroセンサーの良さを一番引き出してくれるように感じました。不思議な表現になってしまうのですが、解像感が高く、それでいて柔らかく自然に写ってくれるのです。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/400, F2.8, ISO 100, Photo by A.Inden

カラフルなボトムが可愛いですね。逆光でしたが思わずシャッターを切っていました。夕方の光も手伝ってくれましたが、水の軌跡だけでなく、地面から跳ね返ってくるしぶきまで見事に描写しています。このような条件ではふつう擬似色が出やすいのですが、原理的には擬似色の出ないFoveonの3層構造は、透明な水さえ現場の色そのままに再現してくれます。見事の一言です。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/80, F5.6, ISO 100, Photo by A.Inden

画素数と解像度が高いため硬い描写をすると思っていましたが、先ほども感じたように柔らかく自然な描写をしてくれるレンズです。逆光で少しオーバーに撮ってみると、ハンモックの真っ白なロープの周りに柔らかな光を感じますね。このような光の条件を選べば、きっと優しい雰囲気のポートレイトが撮れるのではないでしょうか。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/1250, F2.8, ISO 100, Photo by A.Inden

さてAFはどんな感じでしょうか。ボールが目立つように木の上に抜けたタイミングを狙ってみました。人物にピントを合わせAFロック、少しカメラを振って撮影しています。開放にもかかわらず、見事にジャンプした人物が履いているスニーカーの質感まで描写しています。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/60, F5.6, ISO 100, Photo by A.Inden

バレー部の仲良し3人組でしょうか。遠くから楽しそうにしている姿が見えたので、後ろを通りながらシャッターを切りました。1/60と遅いシャッタースピードで、素早くカメラを構えての撮影でしたが、カメラのホールディングが良くなったため全くぶれることはありませんでした。服についている砂粒の描写がそれを証明していますね。

PHOTO YODOBASHI

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SIGMA dp3 Quattro, 1/200, F2.8, ISO 200, Photo by A.Inden

日常のスナップから使って欲しい、唯一無二のカメラ。

何気なく撮った一枚一枚の写真の、緻密な描写に驚かされるdp3 Quattro。これだけの描写力ですから三脚に据えてじっくりと撮影したくなるのですが、ご覧いただいたように手軽にスナップに連れ出しても十分に力を発揮できます。以前のモデルに比べればひとまわり大きくなったQuattroシリーズは「コンパクト」とは言いにくくなりましたが、ホールディング性が良くなったこと、AFの精度がアップしたことで速写性が格段と上がり、スナップカメラとしてのパフォーマンスは増したと思います。近接撮影などAFが迷うシーンもありましたが、一般的な距離のスナップでは全くストレスなく使うことができました。今回使用したdp3 Quattroの画角は「被写体を少し凝視する」といったイメージ。これは気になった光景を自然に切り取るスナップ撮影に、ぴったりだと思います。Foveon Quattroセンサーという他では得られない描写を手にするなら、dp3 Quattroはとても魅力的な選択肢ではないでしょうか。

( 2015.6.5 )




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この画角の単焦点レンズというのが面白いですよね。スナップはもちろん風景撮影にも使いやすく、まだFoveonセンサーの世界を触れていない方へおすすめいたします。

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例によって本体に2つのバッテリーが同梱されていますが、気兼ねなく使うなら予備もご一緒にどうぞ。

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LCDモニターを拡大表示するファインダー。こちらを装着するともはやコンパクトカメラではなくなりますが、日中の撮影では活躍します。目にしっかり押し付けて、ブレを抑えられるのもポイントです。

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dp3q用のフードです。余計な光を遮って、クリアな1枚を得たいときに。

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感触や雰囲気が変わりますから、ケースというのも大事な選択。格好いいと思います。

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三脚に据えてキッチリ撮影すると、Foveonの凄みに震えます。比較的コンパクトに収まり、使い勝手のよいマンフロットのカーボン三脚はいかがでしょうか。

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