Rollei 35AF / SHOOTING REPORT

この時代にフィルムカメラの新製品が生まれるというだけで嬉しい。しかもローライ35の復刻モデルというのですからたまりません。ローライといえばローライフレックスなど二眼レフで有名なメーカーですが、精巧なメカがギュッと凝縮されたローライ35もまた人気のあるカメラでした。今回新しく誕生した35AFは、オリジナルの意匠をしっかりと再現したうえでオートフォーカスの機構を搭載した意欲的な製品。ピントや露出合わせという撮影のハードルを下げるとともに、中古ではなく新品を手に入れられるということで、はじめてフィルムカメラを触るような方にも安心して選べるものになっています。まずはその外観からしっかりチェックしていきましょう。

( Photography : Z II / Text : Serow )

• レンズ脇のダイヤルで絞りとシャッタースピードの設定ができます。レンズは沈胴式ではないので、引っ張り出す儀式はありません。
• 電源ボタンには見慣れぬ「iso」の表示があります。こちらは装填したフィルムに合わせてISO感度を設定する機能。絞りとISOを決めたら、シャッタースピードをオートで判断してくれるわけです。
• 巻き上げレバーの下にはリワインド用のタブがあります。撮影が終わったらこのタブを引き上げることで、フィルム巻き戻しができるようになります。
• 底面にあるレバーを立ち上げてくるくると巻けば、撮影済みのフィルムがまたパトローネの中に戻っていきます。フィルムを安全に（感光せずに）取り出すための大事なお作法です。
• カバーを開ければこのような状態に。フィルムの装填はアナログならではの作業ですが、なんだかワクワクして気合いが入るから不思議です。
• オリジナルのローライ35と並べてみました。少し大きくなっているものの、なかなかの再現度と言えましょう。

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何年ぶりかのフィルムカメラでの撮影。「ちゃんと撮れてるかな・・・」という不安が一番だったのは否めませんが、撮れていました。まずはよかった。今回は上海GP3 PAN100という白黒フィルムを使って、露出オートで撮影しています。現像とデータ化はヨドバシカメラ店頭でオーダーしました。

江戸川を挟み千葉県側から見る眺めです。対岸は東京都ですが、長閑ですね。東京近郊で唯一残る渡し船、ご存知「矢切の渡し」であります。今では流石に手漕ぎということはないようです。

夏の強い日差しもありますが、結構コントラストが高い写りになりました。ただしこれがカメラの性質と一概に言えるわけではありません。撮影時の露出、レンズやフィルムの性能、現像プロセス、フィルムスキャンとデータ化など、いろいろなポイントがあるからです。これがアナログの面白さだとも思います。

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矢切から江戸川を渡るとそこは柴又です。寅さんでお馴染みの・・・というのは今の若い方には通じないのかもしれませんが、レトロな町並みがコンパクトな範囲に詰まった楽しい場所です。ローライ 35AFという新しく懐かしいカメラを使って撮影するにはピッタリのロケーションですね。帝釈天の参道は微妙に傾斜していて、団子屋の前に渋滞ができる要因だったなんていう研究があるそうです。本当かどうかはぜひ現地でお確かめください。

 

 

 

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フィルムカメラって、やっぱり楽しい

令和の時代にフィルムカメラが売れているなんていう話を聞くと少し不思議な気もするのですが、デジタルが進めばアナログの良さが見直されるということでしょう。実際に使ってみると、本当に楽しく撮影ができました。フィルムという実体のあるものを扱うことが今や新鮮ですし、装填したり巻き上げたりすることが、いちいち「操作している」という感触に溢れています。そして「撮れているかわからない」というのも大きくて、写真を撮る行為がデジタルカメラとはまったく違うものになるのですね。シャッターを押した時には少し不安で、現像に出す頃にはドキドキで、仕上がる頃には忘れてしまっている。できあがった写真を見ながら「ああ、そうだった」とか「いい感じに撮れていた」とか、お酒でも飲みながら思い出すのです。そしてその写り。今となっては高解像度のデジタルカメラの写りと比較するものではないのですが、粒子のざらつきなども含めて、やはりフィルムらしさが良いですね。何より嬉しいのはこのコンパクトさとモノ感。AFと絞り優先オートの力でとにかく写りますから、安心してフィルムカメラの世界に入れると思います。今、敢えてフィルム撮影にチャレンジしてみたい方に、おすすめしたいカメラです。

( 2025.08.29 )