PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
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RICOH GR III / GR IIIx 特集「2840」
GR IIIxが採用したフルサイズ換算40mm相当のレンズ「GR LENS 26.1mm F2.8」は、GRシリーズとして今までにない画角。従来の28mmの画角を使い込んできたユーザーに新たな視点を与えてくれました。GRシリーズがAPS-Cの大型センサーを採用したことで、ボケを演出した撮影が行えるようにはなったものの、28mm相当の画角ではそのボケを積極的には活用しにくかったのも確かです。また広角レンズらしいパースもついてしまいますよね。その点においてGR IIIxでは、より被写体に迫り、その前後を被写界深度の外に置くというストレートな画を撮りやすくなりました。
40mmレンズの画角は、35mmと50mmの間の画角。わずかな違いではあるものの、50mmよりは画に緊張感を作りません。そのため、少しラフに撮ることができ、ファインダーを持たないカメラとしては扱いやすい画角になっています。40mmというと、その昔一眼レフによくあったパンケーキレンズでも採用されていた焦点距離ですし(スロウレンズ - 暗いレンズ特集のパンケーキ編もご覧ください)、ズームレンズが全盛となる前のフィルム時代のコンパクトカメラといえば、40mm前後の焦点距離を採用したものが多かったという歴史もあります。
これまでのGRシリーズが28mmだったから入れなかったという方もいるでしょう。iPhone等のスマートフォンでも馴染みにはなってきましたが、目の前をそのまま撮れば余計なものが写り込んでしまいますし、テーブルフォト等では歪みも出やすく「もう少し長いレンズだったらな」と思うこともありました。今回GR IIIxで採用された40mmという新たな画角は、「これからGRを使ってみたい」という方によい選択肢となってくれることと思います。
そのGR IIIxを実際に手にした時の印象は、持った感触から操作感に至るまでGR IIIと同一であるということ。GR IIIが手に馴染んでいる人には、GR IIIxを手にした瞬間から既に手に馴染んだカメラになってしまう…ということがまず素晴らしいですよね。それぞれのカメラに画角以外の違いはありませんから、必然的にその異なる画角でのフレーミングに集中しやすい。別のカメラを手にしたというより、一眼レフでレンズを交換したような感覚に近いということです。GR IIIxからGRの世界へ入った方が、今後GR IIIを手にする場合であっても、同様に馴染んだカメラとして扱えるというのはひとつの安心材料ですよね。
緩さと緊張感の間にある心地いい画角
35mm判では50mmレンズが「標準レンズ」とされていますが、ペンタックスのLimitedレンズには、43mmという35mm判の対角の距離を焦点距離とした「真の標準レンズ」というものがあります。GR IIIxの画角もまさにその近似値。28mm相当のGR IIIと同様のラフさで撮るというよりは、もう少し丁寧に撮る感覚が求められ、画に緊張感が生まれた結果、端正な写真に仕上がるという、標準レンズが好きな方には扱いやすい画角です。GR IIIより、ワーキングディスタンスを大きく取っても浅い被写界深度を利用して被写体を浮かび上がらせることができます。また、開放F2.8でもフルサイズに換算すれば40mm F4相当のボケ量となりますから、輪郭やディティールを残しながらGR III以上に立体感のある画も作りやすいです。
フレームを整理しやすい画角
GR IIIxの40mm相当の画角は、GR IIIの28mm相当の画角に比べると、シンプルなフレームを構成しやすく、フレームの中の被写体をより浮かび上がらせることができます。28mmだと背後に写り込んでしまう余計なものをなかなか整理できないなんてこともありますよね。それについては心配ご無用。ご覧の通り、スッキリした構図での撮影が捗るカメラです。
物語を生み出す力のある画角
GR IIIxになってもGR IIIが持つスナップシューティングの高い能力は変わりません。GR IIIではちょっと引き気味になってしまうというような場合でも、GR IIIxの画角なら緩すぎないフレームでまとめることができます。決定的瞬間を捉えた1枚が見る者を引き込み、想像力をかき立てる。このレンズには物語を生み出していく力があります。
Gallery
ご紹介した写真はごく僅か。あとの写真はこちらのギャラリーでご覧ください。画像のクリックで大きな写真をご覧いただけます。
2840
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( 2021.12.21 )
正直申しあげまして、GR IIIとGR IIIxのどちらか一方というよりも、個人的には両方を手にしていただきたい。2台合わせた金額でも、これだけの写りをするレンズ2本とカメラは他にありません。とはいえ、先にどちらを買うか。それはそれで結構大きな問題です。
ハンドストラップもいいですが、ネックストラップも捨てがたい。GRは伝統的に縦吊りができるようになっています。
GR IIIx用にはテレコンがありました。ワイコンはなくてテレコンがある、そういうことです。
GR IIIxにテレコンをマウントさせるアダプターリング。こちらも一緒にご購入を。
オプションのリング、オレンジバージョン。
オプションのリング、こちらはダークグレー。
新しく出ましたフィンガーストラップ。オシャレです。
筆者はGRシリーズではこのストラップを愛用。小指を通すのにちょうどいい大きさです。