PHOTO YODOBASHI
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RICOH GR IV / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2
6年ぶりのモデルチェンジを迎え、いよいよ発売となりました「RICOH GR IV」。大判センサーと単焦点レンズを組み合わせた高性能なコンパクトカメラが人気を博していますが、その中でも多くの注目を集めているのがRICOH GRシリーズであることは間違いないでしょう。スリム&コンパクトなボディに28mm相当の単焦点レンズを搭載した「最強のスナップシューター」というコンセプトは1996年に誕生したフィルムコンパクトの初代GR1からブレることなく継承され続けています。GRシリーズの歴史については以前フォトヨドバシで特集した「2840 RICOH GR III / GR IIIx」でも紹介していますが、センサーがAPS-Cサイズに大型化されてから4世代目となるのが本機GR IVとなります。フィルム時代のGR1vからのユーザーである筆者としては、長い間使い込んできた先代GR IIIの完成度に加え満足度の高さもあり、2025年5月のGR IV開発発表の報に触れても「大きな違いはないかな」と高を括っていました。しかし、今回実写レビュー第2弾を担当するにあたり、GR IVを手にしてそれが間違いであったことにすぐ気づかされました。むしろ「外観以外はすべて新しい」といっても過言ではないフルモデルチェンジ。歴代GRのユーザーにこそ嬉しいアップデートが多数施されていました。
( Photography & Text : Naz )










熟成以上に洗練を感じる、GR IV
ざっと変更点を挙げていきましょう。まずバッテリーが大型化され、撮影枚数が増加し動作がよりキビキビとしました。起動時間は25%も高速化され、0.6秒に。外形寸法ではわずか0.5mm薄くなっただけですが、ボディそのものは目に見て明らかにスリム化され、ボテッとした印象がなくなっただけでなく、手に持った際の剛性感もアップしたのかと錯覚するほどに引き締まった印象です。センサーは24.2MPから25.7MPへと画素数アップはわずかですが、新型の裏面照射型となり高感度耐性が向上しました。レンズは1枚増えて5群7枚に非球面レンズが3枚。このレンズとセンサーに加えて映像エンジン(GR ENGINE 7)が一新されたことにより、ダイナミックレンジが広がった上に階調も豊かになりました。またレンズ描写についても単焦点らしいキレのよさを残しながら柔らかさも感じる上品でより自然な美しいボケ味となり、画素数以上に緻密で張りのある描写になった印象です。そしてGR IIIで省略されてしまった露出補正ボタンも復活しました。個人的にはAFの高速化はもちろんのこと、AFポイントを中心から外したときの迷いが少なくなったのも嬉しく感じたポイントです。
細かな改良を重ね、完成度がさらに高まったのはもちろんですが、筆者はこのGR IVに熟成以上に “洗練” を感じました。歴代GRを使い込んできたユーザーほど恩恵を感じとれるアップデート。不変のコンセプトを掲げスナップシューティングの道具に徹したGRがさらに無意識に近いレベルで操ることができます。手にすればよりよく馴染み、手放せなくなること必至の仕上がりといっていいでしょう。時代が求める性能は変わりつつも、常に変わらぬスタイルで撮り続けられる。6年待った甲斐のある嬉しいアップデートです。しばらくは入手困難が続くと思いますが、出遅れてしまった筆者もチャンスを探りつつ手にする時を待ちたいと思います。
画素数アップはわずかながらも画が緻密になり、新しいレンズによりボケ味がよくなったのも嬉しいポイント。ボケ量の多くなる近接域でもその恩恵が感じられました(画像のクリックで原寸画像を表示します)。
新たに裏面照射型センサーが採用され、ダイナミックレンジが広くなり画の厚みが増したように感じます。ハイライトやシャドウも簡単には情報を失わず、これまで以上に粘ってくれます(画像のクリックで原寸画像を表示します)。
( 2025.09.29 )
円安や物価高騰により価格は上昇しましたが、IIIからの進化を踏まえれば当然といえるでしょう。ハイエンドスマートフォンとだいたい同じ価格、どちらを手にする方が幸せになれるでしょうか。一考の価値はあります。
撮影枚数は増加し、USB Type-Cでの本体充電も対応していますが、予備があれば安心なのは間違いありません。
