PHOTO YODOBASHI

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RICOH GR IV, Photo by K

RICOH GR IV / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

リコーGRシリーズの最新型「RICOH GR IV」の登場です。フィルム時代から数えてまもなく30年、デジタルカメラとなって20年近く。気がつけばデジタルになってからのほうが長いわけで、時の過ぎゆく早さとともに、スナップシューターとして大きく姿形が変わることなく一貫して確固たる地位を築いている稀有なモデルだと改めて感じさせられる次第です。そしてGR IIIの登場から約6年、今回の「GR IV」もまさに熟成というべき内容のモデルチェンジ。ざっと変更点をまとめると、センサーは有効画素数が少し増えて2,434万画素から2,574万画素に。映像エンジンとセットで新設計のものが搭載されています。また、レンズも新設計となり構成枚数が増えて非球面レンズが2枚から3枚に。手ブレ補正機構が3軸から5軸へと大幅アップデート、さらに内蔵ストレージが2GBから53GBに大容量化、使用できるメモリーカードがSDカードからmicroSDカードとなりました。これまでのGRシリーズを見れば、モデルチェンジをしてもカメラとしての本質的なパッケージングは変わらない。そこは誰もがそう感じているところで、一体写りのほうはどうなのか、そして使い勝手はどうなのか。作例とともにそのあたりをまず伝えたいと思います。

( Photography & Text : K )

RICOH GR IV, Photo by K

さらにキレて、より潤いを感じる画に

まず前作のGR IIIも切れ味鋭いレンズでしたが、GR IVに搭載される新レンズは、さらにつけいる隙がなくなったと感じます。四隅まで実に先鋭な写りで文句なし。切れ味鋭いのにどこか柔らかさが同居するあたりはGR III同様で、GR IVではセンサーと映像エンジンのアップデートが効いているように感じます。データ上はともかく見た目的にダイナミックレンジが広がったのか、それとも階調の連なりがさらに良くなったのか。前作の特長がさらに増した印象です。最明暗付近の飛び方も唐突さがなくなったように感じます。

RICOH GR IV, Photo by K

光の回り方は肉眼で見ても写りの通りでした。ナチュラルな再現で、見た目以上にシャドーが落ち込むこともなく、光の濃淡の連なりも見た目通り。実に外連味のない画作りで美しい。つくづく、写りで感心するのは尖鋭度よりは階調再現なのだなと感じます。もちろん、そのセットに対してよりビビッドに反応するのですが。

RICOH GR IV, Photo by K

前作であれば最明暗部の救済を考えつつ、ナーバスに露出決定を行うようなシーンです。カメラの出た目の露出より少し押しての露出補正(+1/3)は行いましたが、現像時に最明暗部の救済は不要で、階調再現の豊かさを感じます。

RICOH GR IV, Photo by K

28mm相当の画角といえば、スマートフォンに搭載されるカメラも似たりよったり。最近はその写りも目を見張るものがありますが、無理難題山盛りのレンズと画像処理てんこ盛りで作られる画と、やはり「カメラの画」は根本的に違います。何にでも対応しやすい画角ゆえに、スマートフォンからのステップアップに、はじめて手にするカメラとしてもおすすめできます。まあ写真が楽しくなると思いますよ。書いていてあらためて思うのですが、そういう時代なんだなあと感じさせられますね。


RICOH GR IV, Photo by K

手で掴むように

久しぶりにGRを手にして街に繰り出し、つくづく感じるのはスナップシューターとしてのパッケージングの素晴らしさです。ストラップを右手首にくぐらせ、カメラをホールドし、人差し指にシャッターボタンを置く。基本的にその形だけで撮影が完結する各操作部の位置関係の素晴らしさ、カメラの質量、グリップ形状、まあ言うことがありません。自分の手の延長にカメラがあるようで、これは無闇やたらにシャッターを切りたくなります。両手を使いたくなれば、ポケットにスパッと入る大きさに軽さ。そして通りに出て、またカメラを出してすぐに復帰。なかなかそんなカメラ無いですよね。今作のGR IVは露出補正ボタンの扱いやすさが気に入りました。起動も明らかに速くなったし、AFの確実さも間違いなくアップしました。これは景色を掴めます。シャッターの数が重なって、ノッてくるわけです。そうなると本当に楽しい。これは実はとても大事なカメラの「性能」というべきものだと思います。

RICOH GR IV, Photo by K

正直なところ、カメラにはファインダーがあって欲しい。目と光軸が離れないこと、そして身体近くにカメラを据えるほうが腋が締まり、無用なブレを防ぎやすいわけです。特に背面液晶で撮影する場合、目と光軸のズレを解消するには、目で見たフレームに合わせるべく、一歩後退り、カメラを目の位置まで持ってくる必要があります。これはシャッター押下のラグにも繋がって、スナップではタイミングを逃すことがあります。しかしGRは許せちゃうのです。上に述べた通り、手から伸びて収まるパッケージがあまりに完成されています。むしろ、アイレベルでフレーミングを緻密に組み立てる・・・という呪縛から逃れられるとさえ思えてくるわけです。

RICOH GR IV, Photo by K

ディストーションの補正はほぼ完璧。現像時にプロファイルを当てていないと、ほんの少しだけ樽に歪みますが個人的には歪んでるとは言わないレベルです。機種によってはこれを選択できなかったりしますが、私はそのことについて「ちょっと違うんじゃないの?」と思ってしまいます。樽だろうが糸巻きだろうが画像処理でベタッと平坦にしてしまうと、画が不味くなることが多いのです。光学のことは光学で解決するのが基本であって欲しい。もちろんそのカメラの立ち位置にも拠るとは思うのですが。ちなみに、このカットだけプロファイルを当てています。外のカットと見比べてみてください。ただし、周辺減光はレンズ特性のそのままです。撮影者が撮影内容に応じて選べて、自分で処理できることが大事だと思いますが、人それぞれですかね。GRシリーズはいいですね、このあたりも。

RICOH GR IV, Photo by K

高感度の画もさらに良くなったと感じるポイントです。上限があがったそうで、なんとISO 204800! 私はそんな感度でないと撮ることができないシーンでカメラを構えることはありませんが、ISO 1600ぐらいまではよく使う感度です。キレの良さ、階調の滑らかさ、ノイズの扱い、どれも文句がありません。

RICOH GR IV, Photo by K

こちらもISO 1600で撮影。車のルーフ部分を見ると、ノイズの載り方がよく分かると思います。空のグラデーションも実に滑らかです。わりと明暗差のあるシーンですが、階調再現もよくまとまった画作りではないかと思います。


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即応活写、これ一択。

正直なところ、過去のGRシリーズには撮り手がいろいろと「使いこなす」必要があったように思います。ちょっとAFが弱かったり。今作はそのAFも含めて本当に隙が見当たらなくなったなと感じ入りました。なんだかんだとデジタル時代の各世代すべてを手に入れてきていますが、今作「GR IV」は、個人的にGRというカメラのコンセプトをまさに体現するカメラに仕上がったんだなあと感じます。少し硬さを感じてきた画にもリッチさが感じられるし、起動の速さやAFの正確さ、UIの作り込みや撮影に即した物理ボタンの練り込み、ボディ形状など本当によく作り込まれていると感じられます。使い込んだスパナのように手に馴染み、目で見ずともナットにかけたときの感触がリニアに伝わって確実に回せる。そしてその道具に与えられる圧倒的な信頼感。喩えればそんなカメラに仕上がっています。主戦場はストリートでのスナップなのでしょうし、これだけそこにフォーカスしたカメラも外を見渡してありません。しかし、ポケットから取り出したスグそこ、その場からがすべて主戦場になるカメラです。何より小さいカメラだからと何か突出して扱いにくさを感じる部分などは皆無。画角からしても、あらゆるものを捉えられます。作例にはありませんが、まあ寄れますし、この焦点距離でも寄れば大きく美しいボケを結んでくれます。「スナップなんてやらない」なんて人でも、テーブルに並んだ料理を撮ったり、旅先で見た景色を記録したり「視覚のメモ」はやるでしょう。そんな使い道にも最高のカメラ。そして手首にぶら下げて街を歩き、不意にフレームしてみてください。この振り回せる感覚、威圧感を与えないサイズ、レスポンスの良さ、景色に分け入ることのできる凄さを感じると、、、スナップが楽しくなると思います。

  • PHOTO YODOBASHI歴代GRのデザインを踏襲しているため、外観に大きな変化はありませんが、GR II→IIIでダウンサイジングに合わせて省略された露出補正の+/-スイッチ(背面右上)が復活。露出モードダイヤルにはスナップ撮影距離優先AE「Sn」が追加されました。
  • PHOTO YODOBASHIバッテリーは従来のDB-110からDB-120へと大容量化。撮影枚数も約200枚→約250枚と増加しています。対応メディアはSD/SDHC/SDXCからmicroSD/microSDHC/microSDXC(UHS-I規格に対応)へ。内蔵メモリーも約2GB→約53GBへと大容量化されました。

( 2025.09.01 )

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6年半ぶりのフルモデルチェンジとなりました。人気を博した前モデルから、更なる性能アップ、使い勝手の向上が図られています。入手できるときがよきタイミングなのかもしれません。

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GR用アクセサリーとして新たに超小型フラッシュが登場しました。

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雰囲気が変わるドレスアップも楽しみたいところ。

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シンプルな外観のカメラだけにドレスアップパーツが引き立ちますね。

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撮影枚数も増加し、USB-PDに対応した本体充電も行えますが、まさかの電池切れにならぬよう予備バッテリーはお忘れなく。

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専用充電器は嬉しい二連装型。※カメラ本体には付属しません

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