PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
RICOH GR III / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2 vol.3
“スナップシューター”とは、GRシリーズのためにある言葉ではないかと思えるほど、最新モデルである「GR III」の完成度は高く、撮り手の意のままにカメラを操り、目の前にあるシーンを文字通り射抜くことができます。持てばすぐに手になじむそのフォルム、フォーカスからシャッターを切る一連の動作が右手だけで完結できる操作性の高さ。そしてそれを支える数々の技術がGR IIIに結集しています。vol.02となる今回のレビューでは、ファーストインプレッション以降、GR IIIを持ってスナップを続けてみた感触をお伝えしたいと思います。
春光
視覚と指先が直結する、これぞGR。
リコーのGRシリーズは、20年以上にわたり同一のコンセプトのままモデルチェンジを繰り返してきました。むやみに盛りすぎず、必要な機能に絞り込むことで、シンプルな操作体系も統一されてきました。またその視点がスナップシューティングに即した速写性の高いものだったことから、長きにわたり多くのファンに支持されてきたのではないかと思います。
数世代にわたりGRを使い続けてきた筆者にとってもこのカメラは特別な存在です。視覚と指先が直結したかのように眼前の光景をキャプチャーする、五感が研ぎ澄まされたような撮影感覚は他のカメラでは得られないもの。6年振りのフルモデルチェンジとなったGR IIIでは、2424万画素への画素数アップとセンサーシフト式手ぶれ補正の実装、背面液晶のタッチパネル化など時代に即したアップデートが行われました。また動作レスポンスも大幅に向上しています。これらは、これまでのGRのコンセプトから外れるものではなく、より「GRらしい」撮影スタイルに徹するためのアップデートであると感じました。
多彩な機能を盛り込んだ便利なカメラが溢れる中、被写体を前にして「どう撮ろう?」と考えてしまったことはありませんか。GRは被写体を前にしてあれこれ悩むことはありません。フルサイズ28mm相当の画角で切り取るのみ。そうして得られた撮影結果がいつも期待以上であるということが、GRシリーズが一貫して持ち続けている最大の魅力であると思うのです。(Naz)
GR IIIでは2424万画素と高画素化が進んだことで、35mm(=フルサイズ換算時の画角)へクロップしても1536万画素を確保しており、GR/GR IIと比べてディティールの描写がより豊かになっています。
さらに50mmへクロップしてみました。752万画素と28mm時の約1/3まで少なくなってしまいますが、光学性能的においしい中心部分のみを使うため、鑑賞サイズで見る限り期待以上の写りに感じます。またズームレンズよりもテンポよく切り替えて撮影に挑めるのがスナップシューティングには合っていますね。
被写体が完全な直線ではありませんが、ご覧の通りフレーム長辺側ではタル型の歪曲収差がわずかながらも見られます。なお、GR IIIでは電子補正での後処理は行っていないようです。
センサーシフト式の手ブレ補正が搭載され、片手でのラフな撮影でも、歩留まりの高い結果が得られのは嬉しいところです。こちらも日中とはいえ弱い光の下であったため、想定以上のスローシャッターになってしまいました。高感度耐性が上がったとはいえ、ISO感度をむやみに上げずにすむのは助かります。
撮り手の思いに瞬時に応える、孤高のスナップシューター
撮りたいシーンに出会った瞬間にシャッターを切り、次のシーンへ向かう。新たな構成のレンズを搭載したGR IIIは、イメージセンサーが2424万画素に刷新されたことに伴い、画像処理エンジンも新開発のGR ENGINE 6へ。そして、さらなる高みを目指す描写力を支えるのは3軸4段の手ぶれ補正機構の搭載です。薄型でコンパクト、軽量なボディではシャッターボタンを押した際にブレが生じてしまいやすいものですが、GRシリーズは初代から総じてしっかりとホールドしやすいグリップ形状になっており、ブレへの不安はさほどありませんでした。ですが、さらなる手ぶれ補正機構搭載ですから鬼に金棒とはまさにこのこと。さっとカメラを取り出して電源ON。シャッターボタンを押すだけで、シャープでキレのある描写を堪能できます。輝度差のあるシーンも青空も、右側にある各ボタンに好みの機能を割り当てれば、AFや露出補正、アスペクト比変更からクロップまで、シャッターを切るまでの一連の動作がすべて右手のみで完結。この軽快感はGRシリーズならでは。撮り手の思いがカメラに“伝わる”、カメラがそれに“応える”。それが「GR III」なのです。
( 2019.04.11 )
コンパクトカメラとしては少々値が張るように見えますが、この価格帯で買えそうな様々なカメラ達と比べてみても…劣るところがありませんよね。つまり、そういうことなのです。
カスタマイズ心を刺激する、金属製のシューカバー。GRのロゴが入った専用品です。
大型センサーにライブビュー、そして手ぶれ補正機構など、バッテリーには少々厳しくなりました、じっくりと使い込むならスペアバッテリーは必須でしょう。使い方にもよりますが、150〜200枚程度で交換となりました。
バッテリーチャージャーとしては非常に軽量かつコンパクト。コンセント一体型ではありませんが、USB-C接続したモバイルバッテリーから充電も行えますので、ひとつ持っておきたいですよね。
歴代のGRにフルサイズ換算21mm相当の画角となるワイドコンバージョンレンズがいつも用意されていました。GR21を思い出しつつ楽しみたいです。
ワイドコンバーターレンズやフィルターを装着する際に必要となります、アダプターです。こちらもお忘れなく。
ソフトな手触りのレザー製ケース。バッグやポケットに入れる際などにGRを保護してくれます。
こちらもレザー製ケースとなりますが、ベルトループが装備され、ホルスター的な使い方にも向いたタイプです。
傷つけやすいレンズ先端をガードしてくれる、レンズガード。控えめなグレーメタリックのカラーではありますが、ブラックボディのGRのいいアクセントになります。
こちらは本体付属と同じブラックのリングです。