PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Panasonic LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
撮像面から15cmという最短撮影距離で、いわゆる超広角ハーフマクロを実現したり、映像収録のためのブリージング抑制、フォーカスリングにてリニア/ノンリニアの設定切り替えが可能であったり、ジンバルに乗せた際の可用性を考えて全長固定ズームだったり、映像収録に強いパナソニックらしい超広角ズームレンズ。スチルで使うとどうなのか・・パナソニックのレンズは「二兎追う者は一兎も得ず」とはならないのが大したものです。ともかく描写が素晴らしい。早速、作例とともにご紹介しましょう。
( Photography & Text : K )
使用したボディのLUMIX S5IIXが、35mmフルサイズセンサーの画素数としては階調再現に美味しい2400万画素程度ということもあるのですが、本レンズの描写はビッシリ詰まった階調が寄与するのか、妙に艶っぽい描写が印象的。解像のキレも凄まじく、都市光景を捉えるには抜群の相性の良さです。
ツアートラックが駐車場に停まっていたので、少し映り込みを撮ってみようという1枚。こんなに艶があったかなあ。街から街を行くツアートラックは、毎度ラッピングでこの姿になります。アーティストの顔に泥を塗る訳にもいかず、常に綺麗に掃除されているとは思いますが、なんだか現実以上にレンズの描写がお手伝い(笑)
改装中のテナントを写した1枚。硝子の向こうに吊るされたビニールの質感描写に、このレンズのキレが伺えると思います。実はテストに使用したボディは自前のもので、映像収録用に購入したのです。未だ手持ちのレンズが心もとなく、スチル&映像の両方にこのレンズが欲しい・・というレポートとしては安直で反則なコメント。
歪曲を確認したくて撮影したカット。電子補正が入ってはいるのですが、光学レベルで実にきっちり作り込まれたレンズで、補正をOFFにしてもさほど変わりがありません。
いや、無茶苦茶に気持ち良い! このキレ、この階調再現。
17mmより焦点距離が短くなってくると少し頭を切り替える必要がありますが、狭い街中を撮るには本当に面白い画角です。光と影のコントラストがどうしたって付きやすいのですが、キレと階調の豊かさが同居しないとベタっとした画になっちゃうのです。誰も居ない廊下ですが、なんとなくその場の空気を切り取って持ってかえることができそうな描写です。
超広角で必ずやりたくなる構図。画がとにかく良くて、ともかくシャッターを切り続けてしまいます。目眩がしそうな暑さのなかで、ファインダーを覗くと、とにかく汗をかくんですよね。歩いている人々を見ていても私ほど汗ダラダラな人は居ません。まあ、恥ずかしい。それでも撮影に没頭しちゃう楽しさ。
雲の量感を再現できる露出とすると、建物は真っ黒に落ちます。ボディ&レンズのタッグの結果、現像時に少しシャドウを持ち上げるだけで違和感なく収まるのが素晴らしい。
最後に、本レンズの描写特性がある意味で最も現れている1カットを。ご当地ではあまり市民権を得ていない(?)あんかけスパゲティ、この浮き上がるような描写!ボケ味も超広角ズームとしてはかなり美しいと感じます。
持っておくと、2度美味しい超広角ズーム
映像収録において大変重宝する焦点域のズームレンズです。大変コンパクトでありながら描写性能は素晴らしいものであり、プライスの方もかなりリーズナブルに感じられます。スチル用途での超広角ズームとして使うにも同様で、かなりインパクトの感じられるレンズでした。開放F値こそ少々暗めですが、昨今の手ぶれ補正のデキを考えれば何ら問題ないでしょう。少し上の階段のカットは、シャッター速度1/3秒ですから。数あるミラーレスカメラ・システムの中でも、パナソニックは当初から映像&スチルを高次元でまとめてきたメーカーです。スチルでしか試していないがゆえに、そのクオリティの高さを余計に感じさせられました。
( 2023.09.22 )
焦点距離1mmの差が大きな広角側を14mmまで広げながらも、小型軽量で取り回しがいい実用性の高い1本です。スチルからムービーまで様々なシーンでご活用ください!
超薄枠タイプのプロテクトフィルター。大事なレンズ、しっかりと保護しましょう。