PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 60mm F2.8 DN | Art
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フルサイズ換算で120mm相当の画角となる中望遠レンズ。パナソニック純正の中望遠レンズという選択肢がない中で、サードパーティの存在は有りがたい限りです。散歩がてら、これは!と思った所をサクッと切りとるのにちょうどいい画角。F値の明るさと画角からポートレートが真っ先に思い浮かびそうですが、この画角でのスナップに慣れてしまうとかなり楽しいものです。絞り開放から周辺光量落ちも少なく、画面全域でしっかりとしたシャープな像を結んでくれます。その写りは線が細くてボケ味も美しく、なんといってもピント面のシャープさは痛快そのもの。精細にして立体感たっぷりに被写体を捉えてくれます。新しいレンズですから無限側の描写にも不安は無く、ヌケのよい撮像が楽しめる中望遠レンズとして1本持っておくと随分と重宝することでしょう。
( Photography : T.Nakanishi & K / Text : KIMURAX & Naz )
ISO3200ですからざらざらとしたノイズは見えますが、こういった被写体だとよりハードに感じますね。高感度でもこれだけ質感豊かに写し込めているのは、センサーへと光を導くレンズが余すことなく被写体を捉えているからです。エンジンの金属も、磨かれた部分、ざらざらとした部分、油が染みこんだ部分などそれぞれの違いが手に取るように伝わってきます。
最短撮影距離は50cmとそこそこ寄れるので、クローズアップにもいいでしょう。ピント合わせはマニュアルにて。絞り開放からラベルの凸凹まできっちりと捉えており、大変頼もしい写りです。
2段絞って白樺の紅葉を。眼前に広がる遠景もよく写ります。センサーサイズからしても必要にして十分、いや期待以上の写りといいっても大げさではない、コントラスト、色乗り、立体感。混じりけのない空気までもを、きちんと捉えているかのような透明感のある描写です。
しっかりとした解像力、ボケ味とついつい楽しくなり、開放ばかり撮ってしまう気持ちお察しください(笑)。望遠系らしい切り取り感はありますが、主役をしっかりと見せつつも、周りの雰囲気も感じられるように写し込むことができます。この画角に慣れると、きっとはまりますよ。
実焦点距離は60mmなので、被写体との距離があると被写界深度も深くなりがちです。そこでスパイス的に前ボケを入れてみましたがたっぷりとボケてくれました。フォーカスした塗り壁の質感や、電灯による陰影もよく再現されており、この立体感は素晴らしいですね。
マイクロフォーサーズですと、換算120mm相当のレンズでもこのサイズ。重さもわずか190g。
APS-Cにも対応したイメージサークルのレンズですから、マイクロフォーサーズではより贅沢に中心部だけを使います。写りが悪くないわけないですよね。